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第3話 悪の女幹部登場!! Aパート

 とある一軒家の薄暗い一室。

 芳香剤や可愛らしいクッション、男性アイドルのタペストリーなどが飾られている部屋で、背の小さい金髪の少女が白い浮遊物と相対していた。

 浮遊物は、ドラム缶のようなずんぐりむっくりとした体型で、小枝のような腕が生えた不気味な風体で、禍々しい凶兆さを放っていた。

 紛れもなく、悪霊。その名は、『ウー』といった。


「気をつけろアムーニア。魔法少女だけでなく、奇妙な鎧を着た子供もでてきた」


 アムーニアと呼ばれた少女が不敵に笑う。


「どうでもいいわよ。誰だろうがこの私がぶっ倒してやるんだから!!」


 アムーニアが手を挙げると、数体の悪霊が集まってきた。


「ふふ、いい気になってるやつは痛い目に遭わせないとね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっと完成した……」


 銀行事件から1日、疲れた身体に鞭打って徹夜した末、私はついにロリティングスーツ完成させた。

 プロトタイプと違い四肢や背中にもアーマーが装着されるうえ、ロリ化による効果もアップ。さらに様々な兵装を取り揃え、最強のパワードスーツとして爆誕させたのである。


 肝心の魔力についても、私が発明した特殊合金、ルミポニウム合金が幸運にも魔力との相性が良く、伝導率が大幅に上昇。さらに普段、冷気のように勝手に晴子姉さんから流れ落ちてしまう微量のもったいない魔力をその合金で吸収し、ロリティングスーツの生命力増強効果で活性化した姉さんの抜け毛に転送。そこからスーツに行き渡るようにしたのだ。


 魔力は地球にはない物質であったが、私の手にかかればこんなもんである。


 自分で言うのものなんだが、すごいな〜これ。誰が作ったの? え? 豊田ねり、さん?

 あの豊田ねりさん!? 1000万年に1人の逸材、フェルマーの最終定理を5歳で証明し、レオナルドダヴインチとトーマス・エジソンの子孫でありながら、最初に火をおこす方法を確立した原始人の生まれ変わりとも噂されているあの豊田ねり・E・ダ・ヴィンチさんが作ったの??

 すっごーいい!! センスある〜!!


 実物出してもっと詳しく説明しろって? 慌てなさんな慌てなさんな。

 肝心なとこでババーンと出しちゃるけん。


「ねり〜、今日は学校行くの〜?」


 ダイニングから研究室にいる私へ晴子姉さんが声をかけてきた。


「あ、うん」


 ダイニングでは、シャノワがソファに座りながらまぐろのぶつを撫でていた。

 一応、あの子宇宙人なんだよね? すっかり我が家に馴染んでるけども。


「シャノワ、あんたずっと家にいるんだから掃除とかしときなさいよ」


「掃除?」


「家を綺麗にするの。トイレ洗ったり、ゴミ片付けたり、窓拭いたり」


「でもトイレいつも綺麗。なんか勝手に掃除されてる」


 そうだった。この家はロボットやら高機能家具のおかげで全自動で掃除されるのだった。

 ミスった。まさか私が天才であるが故にレスバで敗北してしまうとは。


「ねり」


「ん?」


「今日も美人だね」


「な、なに言い出すのよあんた」


「怒ってる人はとりあえず褒めておけばいいってテレビで言っていた」


「こいつ……」


 ったく、相変わらず生意気なガキだこと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私はこれでも花も恥らう女子高生である。

 仕事をしていないときの私は、地元の少し偏差値が高い学校に通う、ただの学生なのだ。


「ねり、眠そうだね〜」


 幼馴染の凛と自転車を並走しながら登校するのがお決まりになっている。

 ちなみに、私クラスの天才ともなると、どの国のどんな学校に通おうと暇つぶしの域を超えないため、家から近くて凛もいる高校を選んだのだ。


「ちょっと徹夜したから」


「今日から2年生か〜。クラス一緒だといいよね」


「急に話変わるじゃん。時間飛んだんかと思った」


 私が幼女になって戦っていることや、晴子姉さんが32歳の魔法少女になったことは、誰にも言っていないし言わせていない。

 下手なトラブルを避けるためだ。


 その後、フラフラしながら自転車こいでいたら車に轢かれそうになり、凛と縦一列になって慎ましく学校に到着した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 お昼休み。

 私はぺっこぺこのお腹を満たすために凛と食堂に向かっていた。


「そういえばねりの親戚元気?」


「晴子姉さん? あー、うん。まあ。相変わらず元気で可愛いよ」


「ねりってばホントその人好きだよねー。なんで?」


 その問いに答えようとしたとき、


「うじうじじてんじゃないわよ〜」


「このウジ虫がよ〜」


 廊下の曲がり角からなにやら不穏な言葉が聞こえてきて、私たちはこっそり覗き込んだ。

 2人の女子生徒が、気弱そうな少女に突っかかっているようである。


「いいから金だせっつってんのよ〜」


 この令和の時代にカツアゲをしているらしい。しかも、こんな人目につきそうな場所で。


「お、お金、持ってません……」


「嘘つくなよ〜。paypayの残高かなりあるんだろ〜?」


「Googleプレイカードでもいいわよ〜」


 カツアゲの時代も変わったもんだな。

 さすがに黙ってみているわけにもいかないので、止めに入ろうとしたそのとき、


「やめてください!」


 もうひとり、女生徒がやってきて、気弱そうな子を庇った。


「ゆん先輩に意地悪しないでください!!」


 上履きとリボンの色が私たち2年生が赤なのに、彼女は緑だった。どうやら新入生のようだ。


「けっ、1年に庇われて恥ずかしくねーのかよ加藤。しらけちまったぜ〜」


 いじめっ子たちがいなくなると、1年生が加藤という女生徒を抱きしめた。


「もう大丈夫だよ!」


 が、加藤さんは1年子の腕を振り払い、


「私に関わらないで……」


 涙ながらに立ち去ってしまった。

 なにこの青春の一コマ。ドラマの撮影でもしてんの?


「待ってゆん先輩! ……はぁ。……あ」


 1年子と目があってしまった。


「も、もしかして豊田ねりさんですか!?」


「あ、うん」


「本物だ〜! ファンなんです!! この前の雑誌のインタビューも読みました! 私この学校に進学するって決めたとき、ねりさんがいるってわかってテンションバク上がりでした!! あの稀代の大天才、ベストメガネっ娘毎年受賞のねりさん、いやねり様と同じ校舎で学べるなんて夢みたいです〜」


「ど、どうも」


 賛辞や美辞麗句の類はさんざん貰ってきたが、同年代の女子に褒められるとすっかり照れてしまう。

 凛は良くも悪くも私を普通の女の子として扱うので、こういった経験は少ないのだ。


「あのあの! 地球に飛来した巨大隕石を人工衛星で撃ち落としたって本当ですか?」


「あ〜、5年前にね」


 たまたま軌道が逸れて当たっただけなんだけどね。


「マヤ文明が予言した人類滅亡シナリオを食い止めたのも?」


「え、うん」


「第3次世界大戦勃発を阻止したり、近頃サンマがよく獲れるのも」


「も、もちろん私よ」


 凛が呆れたように目を細めた。

 いいじゃん見栄を張ったって! ファンの期待を裏切るくらいならいくらでもついてやるわよ、優しい嘘ってやつをね!!


「あ! そうだ! じゃあきっと大天才豊田ねりさんならゆん先輩を助けてくれるかも!!」


「……は?」

何話まで書くか未定です。

ドキドキするね!


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