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第20話 サイドカーと新型ロリティングスーツ Aパート

 最近晴子姉さんの様子がおかしい。

 妙にソワソワしたり、何度もスマホ画面を確認したり、めちゃくちゃオシャレに気を使ったり。

 何かがおかしい(恋か?)。

 いったい何があったのだろう(恋じゃないだろうな)。

 心配だ。悪霊退治と仕事の両立に参っちゃっているのか(恋じゃなきゃいいけど)。

 魔力隕石の魔力を吸って桃色になって依頼、晴子姉さんの魔力量は桁外れに上昇したので、また存在が消えてしまうことはないはずだ(もしかして恋の相手は……私!?)。


「ねり、相談があるの」


「……ごめん晴子姉さん。新型ロリティングスーツの開発作業で忙しいから」


「あ、うん。ごめんね」


 聞きたくない。晴子姉さんに好きな人ができただなんて。

 晴子姉さんには幸せになってほしい。婚活も認めている。でも本心としては、ずっと一緒に暮らしていたいのだ。

 とはいえ、もし恋愛関係の悩みじゃなかったとしたら……。


「や、やっぱり大丈夫だよ。どうしたの?」


「実はね。私、同僚の男性に告白されたの」


 ぬわああああああああああ!!!!!!

 死ぬ! 死ぬう!! ひっ、ひぃい!! 息が、息ができない!!!!

 け、血流が止まっていくのがわかる。細胞が、溶けて……。


「ど、どどどど、どどどどどど、どんな人なの?」


「年下の子でね、真面目で明るくて、子供たちにも人気なの。気が効くし、笑顔も素敵で、清潔感もある人」


「本当に大丈夫? あの鉄一郎先生も表向きはそんな人だよ?」


「うん……」


「い、いつ告られたの?」


「先週、先生たちで飲み会があったんだけど、その帰りに」


 おいおいおい、それあわよくばお持ち帰りするつもりだったんじゃないだろうな。

 晴子姉さんのナイスなボディー目当てだったとしたら許しませんよ。許しません。


「だけど私、そこまでその人と仲が良いわけじゃないし、でもね、告白される前からよく目があってたの。もしかして私、すでに彼のこと好きになっていたのかなって。それとも、恋に恋してるだけ? 彼とのLINEのやり取りを何度も読み返しちゃう、だけど本当にお付き合いしても良いのか迷ってる。……どうしよう、ねり」


「晴子姉さん(来年33歳)がまだ学生みたいな価値観で恋愛してることにビックリだよ」


 鉄一郎先生にはブランド物所持してるだのなんだのと、資産を気にしていたのに。

 これはもしや、マジのマジで相思相愛だったりするのか。


「と、とりあえず期間を設けよう。しっかり考える期間」


「そうね。うん、わかった」


 私はプライベートラボに入ると、まっさきにエラリーを呼んだ。


「エラリー、その男を調べて! 徹底的に!! 犯罪スレスレのグレーゾーンレベルで」


「わかりました」


 ひとまず、ロリティングスーツ強化のプログラムいじりで気持ちを落ち着かせよう。

 あ、やばい、なんか目がうるうるしてきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 どんな人間にも裏の顔があるものだ。

 鉄一郎先生がロリコンであるように、ナヨっとした優しそうな男に限って平気で女の子を殴ったりするように。

 ところがどっこい、件の男は私生活においても非の打ち所がない完璧な男だったのだ。


 名前は中川時雨。趣味はバイクで、倹約家、おまけに料理も上手い最良物件である。

 友達も多く、人付き合いも良好。週3でジムにも通っている。

 

 あぁ、わかりましたよ。認めますよ。

 この人は晴子姉さんに相応しい。きっと幸せにしてくれる。

 気が早い話だが、彼をお義兄さんと呼ぶ日も来るのだろう。


 ……ぐすん。


 それから数日して、晴子姉さんは中川時雨とデートをすることになった。

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