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第11話 恐怖の縄師 Aパート

 人は常に縛られている。

 赤ん坊の頃は体をうまく動かせない不自由さに縛られ、子供のときは権利のなさに縛られ、大人になれば義務に縛られる。

 そもそも生物は誕生した時点で、時間に縛られるのだ。


 そして私も、晴子姉さんも、それぞれ学生や教師とった本分と、悪霊退治の二重生活に縛られているわけで。


 なんで初っ端から縛られ話をしているのかと問われれば、


「ブラきつくなってきたわね……」


 朝から成長期故の締め付けられる苦しみ(喜び)に浸っているからである。

 まいったなあ、ただでさえ同級生の中では胸大きい部類に属しているのに、このままじゃ校内、いや町内、いやいや県内一の巨乳になってしまうかもわからんね。

 あー、つら。おっぱい大きいから肩こるし重たくて動きづらいわ〜。

 ふひひ。


「ねりー、まぐろのぶつのおさんぽに行ってきて〜」


 キッチンから晴子姉さんの声が聞こえてきた。

 まぐろのぶつを一日二回、朝と夕方に散歩をするのが私の日課である。

 窓から外を見れば夕日が地平線に沈み始めていた。


「よーしまぐろのぶつ、行くかね」


 まぐろのぶつは基本大人しいチワワだが、メスや美味しそうなものを見つけるなり全力ダッシュするアホ犬な一面もあるので、しっかりと首輪とリードで繋いで置く必要がある。


 マンションのエレベーターに乗り込んで一階のホールへ降りたとき、晴子姉さんから着信が入った。


『ごめんねり! 悪霊の反応を感じたわ!!』


「え、いま!?」


『駅の方よ。先に行ってるから!」


 一方的に通話を切られ、私はまぐろのぶつを見下ろしながらため息を付いた。


「まったく、この生活に繋縛されているのはあんたも一緒ね」


 リードを適当な場所に括り付け、ロリティングスーツを装着した。


「漏らしちゃダメよまぐろのぶつ、絶対漏らしちゃダメだからね!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 駅前に到着した私は、異様すぎる光景に思わず目を疑ってしまった。

 悪霊に取り憑かれている初老を迎えた男性、その周囲に、縄で縛られた女性たちが横たわっているのだ。


 手を後ろで縛ったり、宙吊りにしたり、無駄に縄を太ももに食い込ませていたり。

 非常にマニアックなプレイが駅前で繰り広げられているのである!


「うげっ、変態系のあくりょーじゃん!」


「縛る……女を縛りたいよおおおお!!」


 その奇声と共に、老人は偶然通りかかった女性たちを稲妻が如き早業で次々と縛っていった。プロの縄師なのか。

 身動きが取れなくなった女性に囲まれて、老人はご満悦な笑みを浮かべている。


「早く倒さないと。そういえば晴子ねーさんはどこだろう?」


「ねり〜、ここよー」


 声の方を向くと、む、向いてみたら……。

 あわ、あわわわわ。

 あ、あれは、亀甲縛り!? 晴子姉さんが亀甲縛りをされている!!!!


「うおおおおおおおお!!!! エラリー、録画モードに切り替えて!!!!!!」


 縄が食い込み強調された爆乳、足!! それに晴子姉さんがえっちな拘束をされている事実ッッ!!

 こんなレアなお姿もう二度とお目にかかれない!!


「ひぃぃん、助けてよー」


「くっ、助けなくてはいけないか……」


 縄を切ってあげようとすると、上空から高笑いが聞こえてきた。

 先日敵に加わった悪霊、紅蓮菜だ!!


「はっはっは、無様なものだな魔法少女。その悪霊は私が見つけてきた地縛霊。せいぜい恥をかきながら敗北するがいい!!」


「ちっ、誰がこんなヘンタイあくりょーに負けるもんですか。あんたも倒して就縛してやるんだからね! 明智紅蓮菜!!」


「私の名前を知っているのか? ふん、どうでもいいが」


 私が縄を切ると、晴子姉さんは頬を膨らませて老人を睨んだ。


「もう許せないわ! いくわよ、ねり!」


 2人で協力して老人を気絶させるよう試みる。

 しかし私達が攻撃のモーションに入った直後、老人の神速縄芸で腕を縛られてしまった。


「ちっ、こんなもの!」


 ただの縄なので、力を込めれば容易く引き千切ることができた。

 紅蓮菜が不快そうに鼻を鳴らす。


「小賢しい。パワーアップしろ、悪霊!」


 老人が纏う悪霊のオーラが増加した。

 紅蓮菜のやつ、ただでさえ本人が強いのに、他の悪霊を強化できるのか。


 老人が雄叫びをあげた。


「うおおおお!! 秘技、女の子同士縛り!」


 巨大な投げ縄が放たれ、私と晴子姉さんの体が一つに縛り上げられる!

 ぐえ、苦しい。でもなんだろう、この気持ちよさ。

 顔が、顔がちょうど晴子姉さんの胸に当たって、うぅ、ドキドキしちゃう。


「ねり、大丈夫?」


「う、うん。こんな縄、すぐ引きちぎって……あれ? 切れない!」


 お前わざと手を抜いてるだろとか思わないでください。マジモンで千切れないんです!!

 紅蓮菜がクククと喉を鳴らした。


「その縄は力を込めれば込めるほど強度が増す。自分たちの力によって拘束されるとは、まさに自縄自縛だな」


「ど、どうしよう晴子ねーさん!」


「とにかくこのまま戦うしかないわ!」


 私も晴子姉さんも自由に身動きが取れない状態で戦えっての?

 どんな縛りプレイよ、それ!!

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