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Bパート

 まぐろのぶつさまは人気のない小路地で止まり、こちらを睨んでいる犬の群れに目をやりました。

 野良犬でしょうか、小汚いポメラニアンが2匹。その後ろに、具合の悪そうなダックスフンドが横たわっています。

 まぐろのぶつさまが問います。


「さっそく見つかったぜボケどもが。……そんなとこでなにしてる」


 威圧するような姿勢に、ポメラニアンたちは威嚇で返しました。

 犬歯を見せてガルルルルと……かわいいです。


「なるほど、自分たちがこの街のトップだと思い込んでいる口だな」


 さすがまぐろのぶつさま。犬の言葉がわかるのですね。

 いくら私が超高性能とはいえ、犬の気持ちは完全に読み取れません。

 その瞬間、まぐろのぶつさまは高速で1匹のポメラニアンに近づき、頭突きを喰らわせました。さらに間髪入れず、2匹目には首元に思いっきり噛みついています。


 身体強化されたまぐろのぶつさまの頭突きは強烈でしょう。しかもヘルメットがあるからなおさら痛いはずです。

 2匹のポメラニアンがあっけなく気を失うと、倒れていたダックスフンドが起き上がります。

 頭を何度も下げて、まるでまぐろのぶつさまに感謝しているようです。


「いいから、はやく家に帰りな」


 まぐろのぶつさま、なんだかカッコイイです。

 まぐろのぶつさまはダックスフンドを助けたにも関わらず、一向にこの場を去ろうとしません。じっと倒したポメラニアンを見つめています。


「どうかしました?」


「ほぅ、こいつが悪霊ってわけかい」


「悪霊ですか!?」


「あぁ、あんたには見えないのかもしれねぇが、俺には見える。白くてもやっとした、犬の形をしたヤツが1体よ」


 体内に魔力が宿っているから、見えるようになったのでしょうか。ということは、触れることも可能に?


「ねりに連絡しましょう」


「いらねぇよ」


 余裕のある態度で、続けます。


「俺がここで始末する」


 言いながら、まぐろのぶつさまは駆けだしました。

 再び頭突きのモーションをしましたが、どうやら悪霊にかわされてしまったようで、舌打ちをしながら後退しました。

 どうにかして私も悪霊が見たいです。

 あ、そうでした。まぐろのぶつさまの魔力をヘルメットのアイシールドに流せばいいんでした。


「おぉ。これが悪霊ですあ」


 まぐろのぶつさまはの言う通り、犬の形をしている白い影が、目の前に立っていました。

 しかもかなり素早く、瞬時にあちらこちらへ移動しています。

 そのとき、今度は悪霊が頭突きをしてきて、まぐろのぶつさまは50センチほど転がされてしまいました。


「大丈夫ですか!」


「あぁ、まだな」


 反撃しようにも、悪霊はシュバ、シュバ、と瞬間移動を繰り返し、狙いを定めることができません。そのうえ、隙あらば頭突きや噛みつきの攻撃をしてきます。

 動きを止めることができたらいいのですが。


「エラリー、なんとかならないか」


「私は戦闘用ではないので」


「最高の頭を持ってるんだろ」


 そうです。ねりの名にかけて、しっかりアシストしなくては。

 先ほどまでの攻撃から、悪霊の攻撃パターンを予測しましょう。

 今日の天気、明日の天気、風圧、気象データ、株価から計算して……。


「まぐろのぶつさま、いまから7回目の瞬間移動の後に、左斜め前から来ます」

「7回か!」

 

まぐろのぶつさまと一緒に、悪霊の瞬間移動の回数を数えていきます。


 1回、2回、……6回。


「7回目です!」


 それに合わせてまぐろのぶつさまは斜め前に向かって爪を立てました。

 そして予測通り斜め前から突っ込んできた悪霊にぷにぷに肉球パンチを喰らわせ、怯んだ隙に胴体を噛みついたのです。


 力強く、顎の力いっぱい牙を食い込ませていると、悪霊はふわっと散っていきます。

 悪霊を倒したようです。


「やりましたね、まぐろのぶつさま」


「エラリーのおかげさ。ありがとよ」


「そんな。私などこれっぽちも貢献していません」


「謙遜するなよ。男が女を褒めてんだ、素直に喜んでくれ。……ありがとよ」


 ま、まぐろのぶつさま……。

 なんでしょう、プログラムがバグバグします。ウイルスでしょうか。


「このことはマスターたちには内緒だ。余計な心配事を増やしたくねえからな。2人だけの秘密だぜ」


「はい。2人だけの秘密です」


 その後、私たちは街を散歩しながらデートを楽しみました。

 人工知能と犬の恋愛、みなさん、応援してくれますよね?

まぐろのぶつは白毛黒ブチのロングコートチワワです。


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