異世界への誘い
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「何故こんな所に・・・」
どうしても確かめたかった訳ではなかった。ただ、束の間の暇潰しに。そう、ちょっとした好奇心だったのだ。本棚の隠されたスイッチに手が触れる。それは長年誰にも触れられなかったであろう、歴年積もった埃がどれくらいの間放置されていたかを物語っていた。
カチっという音と共に書棚は大きな音を発て独りでに動きだす。僅かに動いた後には隠された道が姿を現した。道は暗く一歩先すら闇に包まれている。俺はこの道が何処に続いているのか、この先に何が隠されているのか押さえきれない好奇心に囚われた。祖父の部屋を見渡し灯りになるような物を探したが期待に応えてくれそうな物はなかった。居間まで戻り懐中電灯を取りに行こうかとも思ったが不意に冷たい風が横顔を撫で隠された道へと再び視線を移す。先程見たときは漆黒の闇に足下すら見えなかったと思ったが再び視線を移すとうっすらと遠くから光が差しているように思えた。道は下へと続く階段になっており一つ一つの段差まで確認が出来る。これならばと俺はゆっくりと隠された道の奥へと進んで行った。