さよならの始まり
日間ランキング2位ありがたやぁぁぁ
「計算通り過ぎて嫌になってくるな……」
そんな達也の乾いた声が響く。
『ククッ、てめぇは確か、この間ダンジョンの記録更新したやつだよなぁ? ククッ、待っててよかったぜぇ』
「……俺も有名になったもんだな」
「いやお前らで話進めんな、なんも分からん……」
腰につけていたナイフに片手をかけながら苦笑いを浮かべる達也と、己の白い仮面に手を当てながら、高らかに笑うマッチョ仮面。ちなみにマッチョ仮面は上半身裸の為、傷の数でどれほどの場数を踏んできたのかが目に見えて分かった。
そんな2人の会話をキョロキョロする事しか出来ない静流は、達也の腕をちょんちょんとつつき、
「ターヤさん、このマッチョ仮面はどちら様ですか? 北〇の拳にいそうな体格ですけど……」
「まぁ、俺もよく分からないけど……巷で話題の『吸収の白面』さん……ってところかな?」
そんな達也と静流の会話を聞いたマッチョ仮面は、奇妙に笑いながら両手を広げ、
『なんだなんだ、俺の事知ってんのかぁ!?そりゃ話がはえぇや、じゃあ今からやることわかんだろ? ククッ、お前らを喰ってや――』
「厨二病なのかこいつ。笑い方やばすぎだろ……」
「静流。多分お前だけには言われたくないと思うぞ……厨二病に関しては……」
『…………………………』
話を遮られたマッチョ仮面は気まづそうに腕を上げたままフリーズ。
そんな姿を見た静流は、さらに追い討ちをかけるようにここぞとばかりに馬鹿にする。普段お淑やかに生活してる分、ゲームの中ではやりたい放題だ。
「おいおい、マッチョ仮面黙っちゃったぞ、大丈夫そ?」
「静流。一つだけ言わせてくれ……この目の前にいるやつ……」
やぁ、デカイのは体だけで心はおちょこってか! がはは! と笑う静流に対し、やれやれと頭を抱える達也。
「……え、まさかこのゲームの運営者とか言わないよな!?いやすいませんねぇ、違うんですよぉ、あなたの事を馬鹿にしてる訳じゃなくて、小馬鹿にしてるんですよ?」
『………………………………』
どこまでも煽り散らかす静流を見た達也は、さすがにマズいと、静流の耳に口を近づける。
「こいつはプレイヤーを殺し、プレイヤーの能力を奪う、絶悪プレイヤーなんだぞ静流。まぁそれだけならいいんだが、噂によるとこいつは本当に人を殺せるらしい……」
「え…………いまなんと?」
この時静流は、この目の前の人物の本当の怖さを理解していなかった。
それは当然な事であり、静流は何も悪くない。ただ、他のプレイヤーは口を揃えて言うだろう。
こいつは頭がおかしいだけではなく、ただのウイルスだと――
そんな達也の話を聞いて、え、まずくね? とあたふたする静流を見た仮面マッチョは、首を鳴らしながらやれやれと口を開く、
『クククッ……これだからルーキーはおもしれぇ……何もわからないゴミ共は、弱者と強者の判断もつけることが出来ねぇ……ゴミ以下……いや、塵以下だな……まぁ、どうでもいい……どうせ俺が喰っちまうからなぁぁぁぁ!!』
直後だった――
「え……」
そんな情けない静流の声が漏れる。
一瞬だった。
本当にコンマ1秒。
瞬きをするよりも早く加速した怪物は、あっという間に達也との距離を詰め、豪速の回し蹴りを食らわせていた――
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次回、バトルシーンの予定!
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