デアイ
やっと、あの化け物が……
「おい……どういうことだよそれ」
「文字通り、ここの世界の言葉はわからないんだ……」
「じゃあどうやってゲームしてんだよ!」
達也の言葉に疑問しか浮かばない静流は激昂する。
まぁ無理もないだろう。異世界転生や異世界転移ならまだ分かるが、ゲームでこれはハード過ぎる。
そんな静流に、落ち着いて聞いてくれと達也は俯く。
「じゃあ聞くけどよ、達也……いやターヤはどうやってゲームしてきたんだよ」
「あぁ、だから今俺の知ってる限りのことを静流……お前に託す」
「……どういうことだ?」
何故か悲しそうに笑う達也に、静流は何かを察していた。
それが何かはわからない。ただ、友達、いや、親友である彼の事を一番わかるのは静流しかいない。
「ターヤ……とりあえず全て話してくれ」
「あぁ、分かった……」
その後、達也が口を開いてからは想像よりも早く話が終わった。この世界の言葉を知っているプレイヤーはいなくて、プレイヤーが勝手に作ったルールがあること。カードを使えば初期設定で名前が変えれること。ちなみにそれを聞いて、すぐに雫から静流に変えておいた、そこはいいとして、一番の問題が、カードに性別が登録されている事だった。察するとおり、静流は女と表示されていた。ちなみに性別を変える方法はまだ発見されていないそうだ。そして大問題の能力についてだ。これがどうにもわからないことが多いらしく、達也もあまり知らないらしい。ただ1つわかっているとしたら、
カードに能力名と詳細は書いている。
というものだ。
そう言われ、静流はカードに穴が空くほど確認したのだが……。
「なぁターヤさんよ……俺なんも書いてねぇぞ……」
「不正したからじゃねぇの……」
悲しかった。
死ぬほど悲しかった。
まさかの無能力静流だった。
なんの為にこの世界に来たのかわからなくなってきた静流は、
――泣いていた
「うがぁぁぁぁ! 頑張ってきたんです! ずぴぃ、色んなことから逃げて頑張っでぎだんでず! ずるずぴぃ、これくらいいいじゃいですかぁ! ずずず、不正なんてしてないってぇの!」
「なぁ静流。お前それ、一切鼻高くして言えることじゃねぇぞ……」
静流をゴミを見るような目で見る達也は、仕方ねぇなぁと溜息をつきながら、懐から黄色のペンダントを取り出し、静流に手渡した。
「……ん、何これ。ださくね」
「お前ぶっ飛ばすぞ」
父の靴下を持つような持ち方でペンダントを持つ静流に、バカほど高かったんだぞ! と怒鳴る達也にあいやー! と意味のわからない反応をする静流。
「それは俺の最後の贈り物だ、大事に付けておいてくれ」
「……なぁ、さっきからなんなんだよ、託すとか最後とか、訳わかんねぇぞ」
「……………………」
そんな静流の疑問に、何も言わずに無言を貫く達也。
そんな態度にイラついた静流が、なんとか言えよ! と、達也の胸当てを叩いた時だった――
『ククッ……わーわーうっせぇなぁ。ガキ共』
暗闇から現れた声の主は、白い仮面を被った巨体な人間……いや怪物だった――
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