二人の始まり
本日まさかの2本投稿です!!!
宜しければ高評価や感想やどお願いします……ランキング入り本気で目指します……(ง ˙-˙ )ง
「K9……あなたは何をしているのですか?」
「はい……申し訳ありません……。なかなかタイミングが掴めなく……」
円卓に再び呼び出されたリイスは、A2と一体一で話していた。
「あなたには人間の姿になる力を与えたはずです。なぜそんなに拒むのですか」
「いや……その……恥ずかしいと言いますか……主様に嫌われたら……とかを考えてしまい……」
照れながら答えるリイスにため息をついたA2は、こう答えた。
「あなたは可愛い。きっと主様もお喜びになる。だから心配せずに能力を使いなさい。特に急ぎとはしませんがなるべく早めにしてくださいね?」
「……分かりました」
優しい口調のA2に頭を下げたリイスは、どうしよう……。と自分のぺったんこな胸を抑えながらプツリと静流の頭の中へ戻っていくのであった――
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「はぁはぁ……っちくしょう、アイツずっと追ってくるじゃねぇか!」
「静流さん……ごめ――」
「謝んな! お前は悪くない! なんなら俺が一番酷かった!」
右往左往した結果着いた小さなルームで休憩をとる静流とナナは、お互いに手を握りながら震えていた。
小さなルームと言っても一辺200m程のもので、対面的にある細道に行くのに時間がかかる。
どちらの道からヤツが現れてもいいようにちょうど真ん中のところにいる静流達は、両方の細道をじっと眺め、奴の奇襲を警戒する。
「なぁナナ、実際のところダンジョン何回入ったことあるんだ? なんかその経験を生かして倒せたりしない?」
頼りはキミだけだとばかりに質問する静流に対し、ナナは少し考えた後に口を開いた。
「10回位あるかな……。ゴブリンも倒したことあるけど、その時は失敗してもソティアちゃん達が倒してくれるって思えて……」
「…………」
いや、俺が弱いから心配で戦えないってこと!?
と、ちょっと傷ついた静流は、うっうんと咳払いをしたあと再度質問をする。
「そうだ、魔法とかは? それこそシードだってあるだろ」
そんな静流の質問に顔を曇らせたナナは俯きながら答える。
「私の魔法は全属性あっても、下級の物ばかりだよ……それにシードは、ソティアちゃんの劣化版で、コピーした人間を召喚できるけど、触られたら壊れちゃう……。だから、私のことは頼りにしないで、捨て駒にでもして……」
ツインテールをだらりと下げたその姿は敗北者そのモノだった。
ナナは分かっていた、いつも己の能力を言うと皆が離れていくことに……。だから今回も離れられる、そう思っていた。
「え? いやいや、全属性の魔法使えるとか凄すぎだろ! それにそのシードだって、使い方によっては便利だったりするんじゃねぇの? 俺と比べたら何億倍もすげぇよ」
「え……」
「あと捨て駒になんて絶対しないぞ? ナナが動けないなら、それまでは俺が変わりに動く! 俺はお前を信用してるからな!」
「なんで……なんで私のことをそんなに信用するの?」
思いもよらない静流の反応に目を丸くしたナナは、杖をギュッと握る。
乾いた風がルームに流れ込むなか、二人だけの変な世界にもナナは緊張していたのかもしれない。
声が勝手に上擦る。
そんなナナの問いに静流は笑いながら答えた。
「悪い。実は昨日の夜見ちまったんだよ、皆が寝静まったあとリビングでお守り? みたなもの作って、部屋の掃除して、モンスター図鑑を見て勉強して……誰よりもお前が仲間思いで仲間のためになにかしたいっていうのはすぐに分かったよ」
「え、そんなに長く見てたんですか……?」
「あ、あ、あ、いや、うん、まぁね? 寝れなくてさ? 二階から吹き抜けだし丸見えでさ!?」
やっべぇ! 胸元ゆるゆるでずっと見入ってたなんて言えねぇ!!!
墓穴を掘りかけた静流は、だからまぁそういうことよ! と誤魔化しながら立ち上がる。
「それでも私が動けなかったら荷物だよ……最悪の時は私を置いて逃げて……」
口が震え足の震えが収まらないナナは、そんなことを口にする。
遠くから聞こえるモンスターの鳴き声を聞く度に肩を上げ、魔法日石がたまに鳴らすパチパチという音にも敏感に反応するナナにはもう限界だった。
それでも静流は見捨てない。
それが彼から学んだ“当たり前“だから――
「んじゃ分かった。地図だ」
「ん?」
静流は、ナナのポーチに指をさしながら答える。
「地図をナナが持っている限りダンジョン初見の俺は地上に帰れない。だからお前を置いてったり、見殺しには絶対しない」
「う……ずるい…………」
そう言われては仕方ない……と、ゆっくり立ち上がったナナは少し笑っていた。
緊張が無くなった訳では無い。
緊張はしていた。
それがダンジョンによるものなのか、目の前の彼によるものなのかは分からない。
それでもナナの心には、何か温かいものが広がっている気がした。
あの偽りの家族から除外されたあの時から二度目の温かさを感じた気がした。
私は変わる。変われる。と自問自答したナナの目の色は、先程の可愛らしい街の女の子から冒険者への目と変わっていた。
そんなナナの目を見た静流は、もう心配ないかと笑い、意識をダンジョンに集中させ、双剣を握る。
「よし、早速だが、戦略としては俺が速攻をしかけてナナが魔法で援護射撃する。っていうのでいいか?」
「分かりました。基本的にゴブリンは火に弱いので火属性の魔法を使いますね……あとは……」
言葉に続け自分のたわわな胸に人差し指を突きつけたナナは、モンスターの核と呼ばれる所が最大の弱点であり、一撃でしとめられる場所と教えてくれた。
分かった。と双剣を持つ手に力を入れた静流は、唾を飲む。
正直内心怖いし、ナナに任せればなんとかなると思っていた自分にも嫌気がさした。
人を守ると言ったくせして人に守られようとする自分が嫌だ――
今度こそやり直してやると、歯を食いしばった静流は、タイミングを見計らったようにルームに足を踏み入れたゴブリンを睨みつけた――
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