初ダンジョンの敵は!?
6万文字突破しましたーー!
「来てしまった……」
「ちょっと……私も緊張が……!」
――ダンジョン一階層
採取用のアイテムポーチを貰ったあと、ダンジョンの入口をくぐった静流達は、一気に緊張感を高めていた。
入口である扉を抜けた先は下りの階段になっており、少ししたら広いルームに繋がっていた。
そしてそこには鉄の檻が施しており、魔物が逆流して外へ出てしまうのを防いでいるようだった。
静流達は鉄の檻を管理するギルドマネージャーに一礼した後、ちょっと怖いなとビビりながら細道を進みダンジョンへと足を進める。
「もう魔物登場とかあるのか?」
「いえ、まだだと思います。それに、この階層で現れる魔物はスライムにゴブリン、稀にマウントレックスが現れるくらいらしいので……」
「その稀ってやつが現れないことを願うよ」
名前からして強そうな魔物が現れないことを願いつつも、ナナが所持している地図を見ながら毒消し草を探す。
ちなみに今回探している毒消し草は、コールと呼ばれる一番手に入りやすい薬草なのだそうだ。
静流ほどの下級冒険者でも余裕である上にプラスアルファでナナもいるため、正直今回のクエストは容易である。
そんなことを分かっていても、初めてのダンジョンに興奮が止まらない静流は、ドキドキしながら乾いた岩壁をキョロキョロと見渡す。
「なんか意外に石ばっかでつまんねぇな……」
「まぁここは一階層ですからね、下層になればなるほどトラップなども発生して厄介になります……ってあれは……魔物……じゃないですか!?」
それは石壁に等間隔で設置されている魔法日石と呼ばれる灯りが丁度きれている場所。
一番灯りが薄くなり次の灯りまでハラハラするちょうどそこに、
奴はいた――
「あれは……ご、ゴブリンか?!」
それはもうアニメやラノベで見た事のあるゴブリンだった。
緑の体で木の棒を持つそいつは、赤い目をギラつかせながら静流達を見るなり襲いかかる!
「ちょ、ナナ! や、やるぞ!」
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」
「ナナさぁぁぁぁん!!!」
『ゴブブブブッ!』
意外にキャッチーな鳴き声のゴブリンが走り込んで来る中、ナナは無理無理無理無理と足を震えさせながら立ち止まる。
ちなみに静流は反射的にナナの背中に隠れていた。
『ゴォォォォブッッッ!!』
「おわぁぁぁぁぁっっ!!!」
ジャンプと共に手に持った木の棒を振り上げるゴブリンを見た静流は、ナナを抱きしめながら横に転がる。
「ちょちょ、なんかこいつ威力やばくね!?」
木の棒が空を切り、たどり着いた先の地面はビキビキと割れていた。
こんなの聞いてない――
軽装で速さ特価の静流が脳天にぶち込まれたら一発KOである。
そんな考えたくもない未来を想像した静流は、これはまずいっ! と、即座にステータスを平均振りからSTRとAGI特価に変更する。
静流。逃げの一手っ!
震えながら動かないナナを抱え、静流は全速力で逃げ出したっっっ!!!
「リイス助けてぇぇぇぇぇ!!!」
ギルドに入ったあたりから一切話さなくなったアドバイザーに助けを求めるも、それはダンジョンに虚しく響くだけであり、後ろから追ってくるのはヨダレを垂らし魔物臭を倍増させたゴブリンだけだった――
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