【仲間】
宿題に追われ更新が遅くなってしまいました……
ごめんなさい!m(_ _)m
「おいナナ! しっかりしろ! 急にどうしたんだよ、そんな謝りまくって……。何も言わなかったら分からないぞ?」
「……ごめん……なさい」
その場でうずくまったナナは、涙目で答える。
何がどうしてこうなっているのか分からない静流は、俺なんかしたかなと今までのことを思い返すが、あるようでない……。
すると、困り顔の静流の袖を掴んだナナはゆっくりと顔を上げ、小さく口を開いた。
「私……ソティアちゃん達がいないと何も出来ないの……いっつもミスするし、転ぶし、それに……」
私は劣化者だから……。と、また涙目になった。
「…………」
静流は初めて見たナナの弱い部分に動揺していた――
達也ならなんと声をかけるだろう。
いつもされる側にいた自分には何ができるだろう。
どこか自分に似ているのかもしれないと感じた静流は、昔の自分と重ねてしまっていた。
思い返される。
いつも達也に隠れて自分も明るく強くなっている気がしてた、
だけの自分を――
実際それはただの錯覚で、自分なんか一切成長してなかった。
弱い。
自立精神がなく、成長しない。
人は一人になった時初めて力を発揮する。
強さがわかる。
弱き者は現実に押しつぶされる。
それらを知っている静流はナナの気持ちが痛いほど理解出来た。
だからこそ力になりたい。
そう思った静流はペタンと座るナナと目線を合わせるようにしゃがみ、今自分がかけられる最大の言葉を過去の達也とひねり出す。
「大丈夫。失敗しても俺がフォローするだけだし。……まぁ俺は力も不足気味だからあれだけど。ちゃんとナナには仲間がいるだろ? 最悪本当に無理そうだったらソティアのとこに行けば――」
「それはダメ! ……せっかく私に任せてくれたのに……やり遂げなきゃダメ!」
言葉を遮るように顔を上げたナナは直ぐに顔を下へ向けた。
言葉だけでナナがどれほど苦しんでいたのかなんて到底量れない。
それでもナナは変わろうとしていた――
昨日会ったばかりの静流には全てを理解することは到底出来ない。それでも彼女が立ち上がろうとしているなら自分も力になりたい。
それに。
自分とは違う――
自分がかけられて嬉しい言葉をかけたつもりだった静流は、再度動揺していた。
他の仲間がいるという安心感。頼ると言うこと。それは【仲間】という言葉の中に隠れる毒だ。
もちろん仲間なら支え合うのが当たり前。傷ついた時はお互いに励まし合う。
本当に?
それがもし過度なものになったら?
それは信頼という言葉から甘えという毒に変わる瞬間だ。
もちろん静流は失敗した所で逃げ道はあるから自信を持て! という意味で言ったつもりだった。
つもり。だった――
「静流さん……行きましょう」
「お、おう」
ぼんやりと考える静流を他所に、ナナはちゃんとしなきゃと立ち上がり、先を歩く。
その足はちゃんとしているように見えたが、手が震え、唇も震えていた。それに、先程まで普通に見えていた背中も、小さく感じた。
「あ……………………」
先をゆくナナの後ろ姿をぼーっと見た後、静流はゆっくりと足を動かしたが、ナナの背中から何故か目を背けられなかった、
お前は弱い。
そんな言葉がナナの背中に張り付いているのではないかと思ったからだ――
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