キモがられた鍛冶師
40話目だー!!!!
「んじゃちょっと失礼するぜー」
「いてっ!」
オーダーメイドが決まったあと、カウンターの奥の部屋に案内された静流は、ガンドと一体一で椅子に座っていた。
少しガタガタする木の椅子に座った静流が、好きな武器とか聞かれるよな、どうしよ! とウキウキしながら悩み込んでいる所への、シンプルに髪の毛を毟る攻撃。
不意打ちすぎて素のリアクション大放出である。
唖然とする静流に、軽く謝ったガンドは、大量大量! と笑いながら髪の毛を器用に結び始める。
怪奇極まりない。
「10円ハゲできるクラスの毟りじゃねぇかよ……」
1本では無く完全に10本くらい持っていかれた髪の毛を見て半べそをかく静流は、何かに使うのか? と質問をする。
そんな質問にガンドは、ガハハと再び笑い、
「そうや! これが俺のシードにはかかせないものや! 気持ち悪いだろ!」
「はぁ? どこに人の髪の毛毟る能力があんだよ! くそ使えねぇじゃねぇか!」
ずっと髪の毛をいじくり回すガンドに牙を向ける静流。
すると、静流の大声を聞いて心配になったのか、モモが大丈夫? と、部屋に入ってきた。
「またおじさん無言でやったの?」
「…………な、なんの事かなぁ?」
モモに睨みつけられたガンドは、下手な口笛で誤魔化しながらも、手は立派に動いていた。
「全くもう、ちゃんと説明してからした方がいいって言ったじゃん…………痛かったねぇ。よしよし。おっぱい揉む?」
「うん!」
《キモっ》
「……」
反射的に頷いた静流に毎度毎度水を刺すリイス。
その度に毎回真顔に戻る静流には効果抜群だ。
すると、静流の頭をいい子いい子と頭を撫で始めたモモが、仕方ない、私が変わりに説明するわ。と、ガンドの能力について話し始めた。
「この人の能力は、自身武器って言ってね、その人だけの武器を作るの。性能も形もその人次第。それで、その武器を作る時に髪の毛が必要なんだって。家計が鍛治一族で、その中で初めて鍛治用のシードを持った子が生まれたんだけど、それがこの人。まぁ、プレッシャーに負けてこんな所で鍛冶屋やってる訳なんだけどね……」
そんな説明を聞いていたガンドは、全くその通りだと笑い飛ばす。
静流は、いや十分すげぇじゃねぇか! と声を上げるが、髪の毛毟っていい? って聞いたら大抵キモがられてお釈迦になるんだ……。おじちゃんキツい。と、初めて暗い顔を見せるガンド。
やだっ! すごい申し訳ないっ!
だから無言で髪の毛毟ったのかァァと、内心派手に謝った静流は、勢いよく親指をグッと立て、椅子から立ち上がる。
「大丈夫だ! 俺は全く気にしないし、おっさんの全力見せてくれよ! その腕は偽物じゃないんだろ? 最高の武器作ってくれるって信じてるぜ!」
そんな静流の素直な言葉を聞いたガンドは、そうか……と俯いたあと、
「ああ、任せろ。最高の武器は俺が作る」
と、完全に目の色を鍛冶師そのものへと変えていた――
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