オーダーメイド
( ̄^ ̄ゞ
――翌朝
ごく普通の朝食を済ませた静流達は、朝一番で全く目立たない陰気臭い武器屋へ来ていた。
正直こんな所でいいのだろうかと思ってしまうが、モモ達のオススメならば信用せざるを得ない。
それでも、本当に大丈夫か? と、静流は店の周りを疑いの目で観察する。
木をベースにした家であることは一目で分かるが、コケや雑草が生えまくっているせいで、もはや廃墟の域やん。というのが素直な感想だった。
しかし、『ガンドの武器屋』と書かれた看板は鉄のような物で出来ており、毎日磨かれていることがわかるくらいピカピカだった為、静流はなるほど……。と目を閉じる。
「己の名は磨き続ける……ってことか……悪くねぇ…………」
そんな変なところでプロ感を出す静流を見たナナが、何を言っているんだこの人という純粋な目で見つめる。
(あ、やべ、なんか死にたくなってきた……)
急に現実に戻された静流は、何食わぬ顔で、さぁ、行こうか! と上ずった声を出して切り替える。
すると、ずっと財布をいじっていたモモが、私が先に入るから静流くんは後ろからついてきて! と、先陣をきって勢いよく中へ入っていった。
妙にテンションが高いのは気のせいだろうか……。
なんか嫌な予感するんだが……と建物同様に疑いの目をモモに向けた静流も、ギシギシなる扉を開け、中へ入った――
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――ガンドの武器屋
中は案外普通で、様々な武器が並んでいる皆が想像できそうな内装だった。
特にショーケースに入っている様々な色をした刀身の武器や、宝石が埋め込まれた防具は高価なものの様だった。他にも端の方に篭手や胸当てなどの防具品が置いてあったりと、善し悪しは分からないが十分に役立ちそうなものばかりだ。
「お! モモ! らっしゃい! よーくこんな地味な店に毎回来るねぇ」
「どうもー、まぁ、穴場ってやつでしょ? ここ」
店に入るとすぐに店主のハゲのおじさんはモモに挨拶をし、慣れたようにニヤつきながら返事をするモモ。
それらの一連の流れから大分仲がいいように思えるが、静流はなんでだ? と首を傾げる。
「なぁ、正直モモならもっと派手な所とか行きそうだけど……なんでこんなハゲのおじさんと仲良いんだ?」
軽くおじさんに会釈を済ましたソティアにそんなことを聞くと、昔モモがここを救ったから……。と教えてくれた。
それじゃちょっと説明不足だよソティアちゃん! と横から顔を覗かせたナナは、静流の耳に顔を近づけ、
「それから安く武器とか売ってくれるようになったの……それにこのおじいさん、凄いシード持ってて普通にすごい人なんだよー!」
「ほ、ほーん。なるほどねー」
そんな真っ当な答えに合点と頷く静流。
(女の子の息が耳に! 耳に! ふぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!)
それどころでは無かったが――
すると、話を聞いていたのか、モモと話していたおじさんが静流に声をかける、
「おいおい、連れのあんちゃん、店入ってそうそう悪口かぁ? ま、あんちゃんの言う通り陰気臭いし、胡散臭いし、地味だがな! ガハハッ!! それにワイは、ハゲのおじさんではなくガンドや! よろしくな!」
「自虐がすぎるわよ……」
やべ、聞かれてた! と、ギクッとする静流を置いて笑い飛ばすガンドに、モモはため息をつくが、変わらないわねと笑う。
あれ……なんかめっちゃこの雰囲気よくね?
そんなことを思う静流は、脈が少し早くなり、興奮したのが自分でもわかった。
厨二スキルが発動したのか分からないが、やっぱ仲間とか知り合いとかって……いいもんだよな……。と、改めて人の温かみを感じた……。
ちょっと今まででは考えられない感動的な場面に、感情が高ぶっている静流に、ガンドは、んで今日は何用だ? と質問する。
すると、モモが静流の腕に飛びつきながら答えた。
「静流くんにちょーちょーカッコイイ武器を作って欲しいの! ……いいでしょ?」
「カーーーーーッ!!」
上目遣いのモモに天を仰ぐガンドは、お手上げだとばかりに笑う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、作ってってことは……オーダーメイド的なやつ!?ちょ待て待て! 俺金とか持ってないぞ!」
「大丈夫大丈夫! 私に任せて!」
想像以上にかかりそうな金額に顔を青くする静流に対し、舌を出して答えるモモは、確実に何かを企んでいた。
「ったく、仕方ないなぁ、よし! あんちゃん! モモの嬢ちゃんに免じて本気出したるわぁ! その代わり名上げてくれよ!!」
「お、、おうよ!!!」
そんなこんなで、ガンドによる静流だけのオーダーメイド武器制作が決定した――
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