アドバイザーの役割
( ̄^ ̄ゞ
――ゲームと現実世界の狭間
「それで、K9。あなたの担当者がアドバイザーと会話する事が可能ということですが、本当ですか?」
ドーナツ型の円卓の中央で立たされているのは、K9と呼ばれたリイスだ。
円卓を囲むのはアドバイザーを指揮している上位アドバイザー9人。それぞれには姿があるが、電磁波のようなもので囲まれ、姿を見ることは出来ない。
無論、リイスにしっかりとした姿は無いが、人間としての形はある。そのため、女性らしい体つきはくっきりと浮かび上がっており、スタイルがいいことはすぐに分かる。
「はい。私の主様はコミュニケーションをとることが出来ます」
上位アドバイザーの中でリーダーの位置にいるA2に質問されたリイスは、軽く頷いた後、ハッキリとした口調でそう答えた。
「そんな馬鹿な」
「こんなこと初めてだぞ……」
「何かが動き始めているんじゃないのか……」
前代未聞の事例に、上位アドバイザー達は各個人見解を述べながら、驚きを露わにする。
「本当でしたか……まぁいいでしょう。それでは、今からあなたを上位アドバイザーに任命したいと思うのですが……」
「え……」
連続で続く異常な自体にまたもやザワつく7人。
その中でも一人冷静に手を挙げた女性が声を上げる。
「そんな簡単に上位アドバイザーにしていいのでしょうか。規則として一年に一度のはずですよね。まだ今年は始まったばかりですよ?」
そんな意見にまた簡単に流された他のアドバイザー達は、確かにと頷く。
それはA2も同じで、確かにそうですね……と困り顔を見せる。
「あ、あの、私の意見は……」
リイスも事の運びがいきなり過ぎて困った顔を見せるが、A2は無視して話を進める。
「では、こういうのはどうでしょう。中位アドバイザーに任命するというのは」
その一言にまたざわめくアドバイザー達。
「中位アドバイザー!?そんなの存在するのか?」
「いいえ、私も聞いたことがありませんね」
「おいおい、どんどんおかしなことになってくじゃねぇか」
そんな声が次々に挙げられる中、先ほどA2に質問した女性(B2)は、いいのでは無いのでしょうか、と頷く。
この女性もまたA2の一つ下の位であるサブリーダーのポジションに居るため、権力もそこそこある人だ。
勿論適当にリーダーを決められている訳でもないため、この世界の事などは他のアドバイザーに比べれば熟知している。
「ありがとうございますB2。それでは、K9。あなたを今日から中位アドバイザーに任命します!」
特に中位アドバイザーが分からない他のアドバイザーは、勢いのあるその言葉に流され、何となく壮大に拍手をする中、リイスだけが完全に取り残されていた。
「あの……A2様……中位アドバイザーというのは……何をすればよろしいのでしょうか?」
下級アドバイザーであるリイスが知るはずもないその名の意味を聞くと、A2は少し黙ったあと一言――
「あなたは今日から人間と同じ生活を送ってもらいます」
と。
その言葉にリイス含め、意味の知らなかった上位アドバイザーは阿鼻叫喚をあげるのであった――
お読み下さりありがとうございます!!
宜しければブクマなどなどお願い致します!!<(_ _)>