モモとナナとソティア
白いオーブへと姿を変えた影を見送ったあと、静流はソティアに正座させられていた。
「それで、あなたはなんで邪魔したんですか……?」
「いや俺は、ただあのおじさん助けたくて……咄嗟に体が…………」
本当申し訳ない。と、頬をかきながら答える静流。
すると、ソティアの後ろからピョコっと満面の笑顔で緑髪ツインテール女が、
「ソティアちゃんソティアちゃん。多分この人、弱すぎてモンスターと人間の区別もつかないんだよ! 使えないね! 弱いね! へなちょこだね!」
「お前1回その緑の髪の毛に適当な色混ぜて、汚ねぇ色にしてやろうか?」
大した事してない緑髪クソ女にシンプルな悪口を言われた静流は、経験値の件忘れてねぇからなと理不尽なガンを飛ばす。
「こらナナ! いくら弱くて、ウザくて、邪魔くさくて、臭くてもそんなこと言っちゃダメでしょ!」
「はーい」
「はーいじゃねぇわ! 寄ってたかってお前らほんとひでぇな!!」
ナナの5倍辛口判定のソティアに激昂しながら、静流ははぁとため息をついた後、まぁ今回に関しては俺が悪かったよ……。と頭を下げた。
実際今回静流が手を出していなければ大男も死なずに済んだだろう……。
そう思っていた……が。
「ちょっと待て! よく考えたらあの大男殺したのお前じゃねぇか!」
「……?」
いくらあの影を倒すためと言えど、大男の体を消滅させたのはソティアだ。
静流は反撃だぜとばかりに、お前だ、お前だ、お前だ! と子供のように騒ぎ立てる。
そんな静流に対しソティアは、どこまでも可哀想な人ですね……と呟いたあと、パチンと指を鳴らし、
「え……」
そこにはソティアがもう一人……。
「これは私の能力、分身……まぁ、戦闘力とかは半分になっちゃうけど……」
そうボソボソと説明するソティアに割って入ったナナが、一度触れた人なら作り上げることが出来るんだよと教えてくれた。
「こら! 何でもかんでも言わないの! こんな人に話す価値なんてないんだから!」
「はーい」
殺す。
この時静流の殺意はMAXに達していた。
いづれお前らごめんなさいって頭地面に付けさせてやるぜ! 今はまぁ、許してやる俺勝てないし! と心に収めた静流は、怒りを収め、何も無かったようにソティアに質問する、
「てことはあの大男はソティアのシードで作りあげた人だったのか……じゃあこの大男も?」
納得と頷きながら、静流はずっと直立不動でいる大男2の肩を叩きながらソティアに聞く。
するとソティアは、それは違う。と首を横に降ったあと、右足を後ろに思いっきり振り上げ……。
「あんたは……いつまで寝てるのっ!!!」
「いいいいいったぁぁぁぁい!!!」
全力で振り上げられた足は大男の股を直撃。
反射的に飛び上がった大男は、女の子の声で騒ぎながら転げ回る。
「え、お前そのガタイでそんな声だすの……? 引くわ…………」
挙句の果てに女の子座りで泣きじゃくる大男を見た静流は、顔をひきつらせながら距離をとる。
そんな静流の態度に怒ったのか、大男は立ち上がり、涙目で掴みかかる。
「うるさいわね! 私だってこんな姿嫌なのよ! もう嫌! 解除!!」
可愛らしい声で怒鳴った大男は一瞬にして光に包まれ……。
ロングストレートヘアで桃色の髪の毛の女の子に変身した――
「は!?!?」
「これが私の本当の姿なんだからね! あんな筋肉ゴリゴリな男じゃないんだから!」
プンプン怒るその女の子からは甘い香りがした。それに、さっきから襟元掴まれてるから距離が近い……。
は、、、、は、、、、!
女の子との接点ゼロの静流の脈は爆発寸前である。
そんな静流の心情などつゆ知らず、モモは、ちゃんと分かってるの!?と顔をずいずい近付ける。
「おう、あう、ひい、うう!」
そんな変な声しか出ない静流を、気持ち悪いわねこの男……。と投げ飛ばしたモモに、ソティアが声をかける。
「ねぇモモ、今まで何してたの……?」
「ん? そりゃあ勿論! 寝てた!」
「そっか……じゃあ今日の晩御飯はなしね」
「ええ!! やだやだ! なんでぇぇ!?」
仕事しないからでしょ……。とそっぽを向くソティアの腰にしがみつくモモ。
そんでもってモチャモチャするソティアとモモをニコニコしながら見るナナ。
この三人可愛い……。
顔わね。
果物屋に突き刺さる静流は、冷静にそんなことを思っていたのだった――
お読み下さりありがとうございますー!
宜しければブクマ、高評価などなどお願いしますー!<(_ _)>〈 ゴン!〕