敗北者の呟き
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「は、はい!? ぼ、僕はその、も、モンスターを倒すと言っただけでして!」
《あん? 俺らがモンスターだってか? てめぇぶっ殺すぞぉ!》
「ひーーーー!!!」
聞く耳を持たず唾を飛ばしながら怒鳴る大男は、あのマッチョ仮面にも劣らない筋肉量だ。
背中に背負っているゴツゴツの棘付き大剣がまた似合う。
そんな屈強な姿にビビり散らす静流がペコペコと頭を下げる中、ひょろひょろが俺らに口出ししてんじゃねぇ! と、胸ぐらを掴む左手に力を入れると同時に、果物屋のおじさんの言葉になってない言葉が聞こえた。
「た……たす………け………………」
(あ、あのじいさん死んだな)
顔の原型をほとんどとどめていないおじさんは涙目で静流に訴える。
(まぁ、俺にはどうにも出来ん、ごめんな! ……てか、大男の後ろの二人動かなすぎだろ!)
大男の後ろで直立不動でボーッとしている大男2、3はサングラスで目元が見えないためか、表情すら変えていないように見える。
そんな二人が出る幕もないのはきっとこの大男が強すぎるからだろう……。
《ちっ、邪魔が入っちまったがまぁいい、とりあえずてめぇからだ! くそじじぃ!》
「あ…………あ………………」
(あー終わった、あのじいさん終わった、百終わったわ)
ターゲットを静流からおじさんに戻した大男は右手を振り上げ、威嚇する。
口をパクパクすることしか出来ないおじさんはもう無言だ。
《死ね、くそじじぃぃぃぃッ!!!》
強く握られた拳がいよいよ放たれてしまった……。後はおじさんの顔にめり込むだけ。
(ごめんじいさん、助けてやりたいけど俺には……)
武器もないし、筋力もない……。そう俺には……。俺には……。俺には…………。
誰も守ることが出来ない――
先程から脳内でリイスが、あのおじ様助けないと殺られてしまいますよ……。と心配そうな声を上げているのも知っている。それでも静流は聞かないふりをする。
だって、現実的に無理だし……。
そう思った静流が現実から目を背け、耳を両手で塞ぎ、その場を離れようとした時だった――
静流の口は勝手に動いていた。
「……ステータスリセット。アジリティーにオールセット――」
刹那――
方向転換と共に加速した静流は、大男の拳の速度を上回る。
大男2、3がやっと表情を変えたのを視界にとらえたが気にしない。
拳の先とおじさんの僅かな隙間を狙い走る。
「やらせねぇ」
そして、5メートル程の距離を一瞬で詰めた静流は、拳とおじさんの間に入り混むことに成功し、
叫んだ――
「ステータスリセット! バイタリティにフルセットォォォッッ!!!」
《なっ!?》
大男は瞬間的に飛んで来た先程まで弱者と決めつけていた男に目を見開かざる負えない。
そしてそれをちゃんとやり遂げることの出来る……。
防御力――
ズシッ!!
《コイツ、素手で……!》
拳の起動を予測した静流の最大防御、左手に右手を重ね全力で受け止めた大男の拳は勢いを失い、完全に静止していた――
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