ラビット
マリア抱きしめて揉みしだ――
「そして私は……あ! ごめんなさい……私話しすぎました……」
長々と話してしまっていたことに気づいたのか、マリアは静流から気まづそうに目を逸らす。
話を聞けば聞くほど、暗くなっていくマリアの顔を見ていた静流は、相当思い詰めていたんだなと、心配をかけさせないように大丈夫だぞと微笑む。
「それで、その後はどうなったんだ?」
「それは……」
再び俯いたマリアは、気を失ったあと近くを通った人に病院まで連れていかれたと言った。
その後、お見舞いに来た近所の人に妹の様子を見てきて欲しいと頼んだ所、ヒイロの死、そして、コハクが家に居なくなっていた事が分かったのだという。
自分の安易な行動により妹二人を守れなかった事を悔いたマリアは、コハクを探しつつ、ルルが居るギルドに復讐しようとしているらしい。
それも一人で毎日毎日探し続けている……休みもせずに。
何とも言えなくなった静流は、右手で後頭部を掻きむしりながら、マリアの頭をぽんぽんと軽く叩き、
「まぁその……マリアはよく頑張ってるんじゃねぇの? 正直俺の人生に比べりゃ何億倍もすげぇよ」
「……そんな事ない……だって私は……あの子達を助けてあげられなかった」
そう言って涙目になるマリアと目を合わせた静流は、それは違うぞと微笑みながら言葉を続ける、
「結果の前に努力したやつは凄いよ……それで結果出したヤツはもっと凄いだけだ、だからマリアはすげぇし、まだまだこっから挽回も出来るだろ?」
「…………なんでそんなに静流さんは優しいの? 私なんか助けたって何も無いし、いいことも無い……」
体育座りをしながら顔を埋めるマリアは、ボソボソとそんな事を言う。
静流はなんだか恥ずかしくなり、顔が赤くなるのを感じるが、勇気を振り絞って口を開く、
「まぁその……マリアは女の子だし……可愛いし、おっきいし……あ、心がね!?心が海洋級なんつってな! うんうん! 守りたくなる、つい抱きしめて揉みしだだだだだ大事にしたくなるというかね? ね?」
《さすが私の主様、結局は顔と体なのですね》
「お前は少し黙ってろぉ!?」
ずっと黙っていたリイスに下心を上心にされた静流は、赤面しながら潰れたマリアの胸を血眼になってガン見する。
「ふふ、不思議な人ですね静流さんは……嬉しいなぁ……私の事守ってくれる人なんて少なかったから」
目を擦りながらそんな事を言うマリアにドキッとした静流は、まぁまぁ、そんな所よねぇと下手な口笛を吹きながら立ち上がる。
「そんでマリアよ、突然かもしれんが、俺もうそろここから出たいんだけど……なんかいい方法知らない?」
「え?」
じゃあ逆にどうやって入ってきたの? と言いたそうな顔を見せるマリアにそりゃそうよねと苦笑いする静流。
そんな表情を見たマリアは本当に不思議な方ですねと笑いながら、静流をお姫様抱っこし――
「ん? なにこれ俺がさくね?」
「飛躍ッ!」
その後マリアの今日の能力である跳躍強化により、あれほど高く見えていた壁を難なく飛び越える事に成功したのだった――
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