マリア・ガーネット(中編2)
久しぶりの投稿ですが覚えていますかー!!
更新遅れて申し訳ないです!m(_ _)m
私は、妹に能力を使わせてしまった――
私が守ると決めたのに――
三度目の誤ちだ――
「お姉ちゃん……パン……ケーキ…………」
「…………っ!」
どうにか一命を取り留め、痛々しい治療の跡が残るヒイロは私の手を握る。
「昨日……パンケーキ……上手く作れたんだよ? えらい……?」
「うん……偉いよ…………ごめん…………ごめんねヒイロ!」
「なんで……謝るの?」
よしよしと笑いながら私の頭を撫でるヒイロの目を、私は見ることが出来なかった。
涙が止まらない。
妹をまた苦しませてしまっている。
そう思うだけで苦しく、逃げ道がないように感じた。
「お姉ちゃん、ヒイロ、ご飯できたよ、みんなで食べよ!」
暗い空気を払拭するように気を使うコハクは、お粥をお盆に乗せながら部屋に入ってきた。
ベットからゆっくり起き上がったヒイロは、苦しそうな笑顔を見せながらご飯だー! とお粥を受け取る。
《いいマリア、どんな時でも笑いなさい? 笑顔は自分だけでなく周りの人も明るくできる。絶対に裏切らない。自分の笑顔を信じなさい――》
そんな二人を見ていると母の言葉が蘇る。
まだコハクが2歳くらいの頃だ、母はよく私にそう言っていた。
笑いなさい、どんな時でもと……。
教えられた私が1番出来ていない。
傷がまだ痛むはずなのに笑顔を見せるヒイロはきっと、私を悲しませないために無理をしているのだろう……。
それなのに私は――
「ねぇ、お姉ちゃん。私たちを置いていかないでね……」
小さな声で呟いたヒイロの言葉に対し、私は大丈夫だよと笑ってあげることが出来なかった。
ごめんね――
そのままヒイロとコハクを置いて部屋を出た私は、俯きながら己の得物である弓に手をかける。
「殺す」
私が留守にしている間にヒイロとコハクを襲った集団。
乱嵐。
その中には能力を結晶化させ、アイテム化させられる者がいる。きっとそいつの命令でヒイロとコハクの能力を奪いに来たのだろう。
計算外のヒイロの能力に全滅した部下の腹いせとしても、きっと格段に強い奴らが来る。
「その前に私が叩く」
レアアイテムである忠誠矢を矢筒と共に背中に背負い、家を出た私は、唇を噛みながら血しぶきだらけの部屋を思い返す。
「あんな力が暴走したら……」
ヒイロの力を目の前で見た訳では無いが、死体が無くなるほどの威力……。
私ですら想像できない力がヒイロにはある。
私みたいにコントロールが出来ないヒイロが暴走を起こしたらきっと……。
想像をするだけでゾッとする未来に私は頭を横に振りながら駆け出した――
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