表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/47

マリア・ガーネット(中編)

更新ギリギリじゃー!


 私達は呪われている――


 生まれた時から恵まれない人生――


 そんな私たちに転機が訪れた――


「今日から私があなた達のお母さんよ!」

「「「やったぁ!!!」」」


 三女であるヒイロが生まれてから一年で母は亡くなった。

 そしてある日、近所の人にお世話になりながら生活していた私達に新しい母が出来たのだ。

 新しい母はおっとりとした性格でとても優しかった。

 もともと学校の先生をしていた分、子供との接し方も知っていて、ヒイロとも直ぐに打ち解けていた。

 

 幸せだった。


 この能力シード社会を気にしなくていいと思えたから。




 しかしそんな生活は二年も持たなかった――




「がはっ!!」

「お母さん!?」


 新しい母はマリア《私》の能力シードのせいで倒れ、

 

「お母さん! お母さん!」

「マリア……大丈夫よ……お母さんはね……あなた達が幸せな――」


 その後母は、笑顔のまま眠るように死んでいった。


「…………………………」


 薄々気づいてはいた、本当の母を殺したのも私の能力シードだと。

 その時の死因は死の呪い(デッドカース)

 それを知った近所の人が、呪い耐性のある人を探し、新しい母を見つけてくれていたのも気づいていた。



 それも無意味だった――



 私の能力シードは人を傷つける呪い。



「姉ちゃん姉ちゃん、なんで私達の前からお母さんはいなくなっちゃうの?」

「………………ごめんね」

「仕方ないよ……また三人で頑張ろうよ」


 ヒイロはその小さい体に悲しさを溜め込んでいた。今にも泣き出しそうな顔で私に抱きつく。

 そんなヒイロを見た二女のコハクは、また三人で頑張ろうよとニコッと笑う。

 その笑顔の奥にある悲しさ、寂しさは、姉である私が一番理解出来た。


 私はこの子達の幸せを奪っている最低な姉。


 そう思った私は、もういっその事嫌われてしまおうと、全てを明かすことを決意した――



「二人とも……話があるの…………」

「「なぁに?」」


 全て話した――


 私の能力シード、毎日一日限定のランダムスキルが発現する、今日を生きるヘウツライフの事。

 コハクの能力シード、発動時身体能力を10倍にする変わりに明日死ぬ力、明日死ぬデッドライフの事。

 そしてヒイロの能力シード、昨日を繰り返すエンドレスライフの事……。

 ヒイロの能力シードに関してはギルド側でも詳細がわからなくなっていると言われていた為、内容は話せなかった。

 そして最後に二人のお母さんを殺してしまったこと――


「……そういうことだから。お姉ちゃん、悪い人なんだ」

「そんなことない……姉ちゃんは優しくてカッコイイ姉ちゃんだもん!」

「うん! ヒイロの言う通り、お姉ちゃんは私達の大切なお姉ちゃんだよ!」


 全てをうちあけてもなお、コハクとヒイロは私を抱きしめてくれた。


「コハク……ヒイロ…………」


 そして私は変わった。

 絶対に守る。

 何としてでもこの二人を守ると決めたんだ――



~~~~~~~~~~~~~~~~~



――二年後


 私は18になり、コハクは14、ヒイロは10歳になっていた。


「いってくるね、コハク、ヒイロ」

「うん! 行ってらっしゃいお姉ちゃん! 今日はお姉ちゃんの好きなパンケーキ作って待ってるね!」

「私も手伝って作るー!」


 パンケーキを作ると言うコハクに、手をあげてお手伝いを率先するヒイロ。

 そんな2人を見た私は、今日も頑張ろうと山奥へ向かった――



 ちなみに、私は幸い、能力の制御に成功していた。

 一年以上かかったが、己のその日の能力の理解、使用するタイミングもコントロール出来るようになった。

 コハクやヒイロは使うと死んでしまったり、未知数なものなので一度も使用させていない。


 もういい。私だけで苦しむのは十分。能力シードなんか使わなくたって生きていける。あの二人には死ぬまで能力シードを使わせたくない。



 そう思っていた――



~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ただいまーお姉ちゃんくたくただよぉ」

「う……うう、お姉ちゃん……助けて!」


 いつも通りクエストを終えた私が帰ると、泣きじゃくったコハクが私に抱きつく。

 どうしたの? と頭を撫でながら部屋に入った時私の頭は真っ白になった。


「ヒイロ……?」


 そこには血に染った部屋があり、その真ん中には倒れているヒイロの姿があった。


「どう……して………………」


 ただよう血の匂いとパンケーキの甘い匂いが私の心を蝕むなか、私は膝から崩れ落ちることしか出来なかった――

 



 

お読み下さりありがとうございます!!


宜しければ評価感謝、ブクマお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ