安心安全で無料のこのゲームがヤバすぎる!
よろしくお願いしますー!
――達也のライフ残り4日
「ふっ、テストに一点集中だ!! な! 静流!」
「お前の場合、テストが一点集中だけどな……」
達也の前回の定期テスト(オール1点)を指さしながら、静流は頭を抱えこむ。
「過去のテストから次のテストを予想する大作戦はまぁまぁいいとは思うけど……達也。お前家で何してやがる」
「げっ…………」
あからさまに目を逸らしてごまかす達也に、静流は、お前まさか……。と、白い目で見る。
「ま、ゲームはゲームでも金稼げるし!?ほら、みんなバイトとかはテスト期間でもしてんだろ!」
生粋のゲーム好きの達也は、例えタンスに足の角をぶつけたとしても、麦茶と間違えてめんつゆを飲んだとしてもゲームを手放さない男なのだ。
そんな達也は椅子にふんぞりかえりながら、教室にいるクラスメイトに指を指して鼻を膨らます。
「あのな! お前はしちゃいけない人間なんだよ! 他のやつらは点数悪くても30点とか取ってんだよ! それに比べてなんだこれ! 狙ってんのか!」
「それほどでもぉ」
「褒めてねぇわ!」
膝を擦り合わせて気持ち悪く照れる達也の顔面に静流は、牛乳が乾いて臭くなった雑巾を擦り付ける。
「もぐくむもかや、臭! くっさ! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」
「もういっそ死ね! …………ん? てかお前、ゲームで金稼いでるって今言わなかったか?」
「あ…………」
口が滑ったとばかりに両手で口を覆う達也に、雑巾をチラつかせる静流。
そんな静流に観念したのか、達也は制服のポケットから1枚の手紙を取り出し、静流をちょいちょいと手招きした。
「いいか、これはあんまり人に言っちゃいけない事だからな……」
「お前……やばいやつに手出してんじゃねぇだろうな……」
「まぁそれは大丈夫だ。安心安全で無料だから」
「お前それダメなやつの代表例みたいなやつじゃねぇか…………」
ため息混じりに手紙を覗き込む静流は、一瞬にしてある文字に目が飛び込んでいた。
「異空間にて戦うだけ……β版の為深いことは出来ませんが、ダメージなどは地球に帰ってきた時に全てなかったことになります……い、異空間!?!?」
「しーーー!!! だから言いたくなかったんだよ! お前の厨二病悪化しちまうと思ってさぁ!」
「おま、おま、おま、おま、おま、おま、おま、おま、おま、おま、おままままままままままままま」
「静流がバグっちまったぁぁぁ!!!」
震え上がる静流を牛乳雑巾で落ち着かせた達也は、咳払いをした後、冷静に口を開いた。
「いいか静流。確かにこれは面白そうに見える。だがお前は絶対やるな」
「な、なんでだよ! 俺がこういうの好きって知ってるだろ! 頼む!」
机に頭を擦り付け、土下座を超えて三点倒立する静流に対し達也は首を横に振りながら、
「いいや、まず招待状がないと出来ないんだ、招待状は俺の知ってる限りだと2パターン。スマホに届くパターン。家に手紙が届くパターンだ。まぁもし仮に届いたとしても絶対開くな……出られなくなる」
「どういうことだ?」
達也は少し黙ったあと、重く口を開いた。
「お金も稼げる。ダメージをくらっても死なないし地球にも帰って来れる。一人一つ能力も与えられて厨二病心もくすぐられる。だがな……」
「…………?」
「このゲームのルールを知ってる人はいない」
ルールを理解しないでゲームをする程恐ろしいものはない。と、達也は苦い表情を浮かべていた――
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