リイス
現れる女の子!
「んで、君はだれなんでしょーか?」
静流は石壁にもたれ、青空のみが見える空を仰ぎながら問いかける。
姿が見えない子と話す変な感覚に陥るが、ゲームだしまぁ……と割り切る。
《私……ですか? 私はこのゲーム、SPゲームのアドバイザーです……》
「アドバイザー?」
なんでそんなことを聞くのか、と言わんばかりの疑問に満ちた声に、静流も疑問で返す。
すると、私も逆に聞きたいのですがと一言、
《なぜ、主様は私とお話してくれるのですか?》
と。
静流にはその意味を理解するまでに少し時間がかかってしまったが、何となく察してしまった。
その答えは己の手にある黒いカード……。
【順応】の存在だ。
「もしかしてこのゲーム、一人一人のプレイヤーにアドバイザーっているのか?」
まさかと思いそんな質問をしたが、答えは計算通りのものだった。
《それは勿論ですよ主様。でも皆様……私達の声を聞いてくれないんです……》
それを聞いて静流は、己の力の想像以上の強さにうち震えた――
この世界にルールがない?
それは違った。
ただこの世界のルールを聞き取れなかっただけ、アドバイザーは一人一人のプレイヤーに対し親切に存在し、プレイヤーを見守っていた。
言うならば静流は、
「俺だけのアドバイザーってことか……」
《……?》
誰もが手に入れれなかった最強の相棒を手に入れてしまったのだ――
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「んじゃ、早速だがアドバイザーさん! 君の名前を教えてもらってもいいかな!」
《主様テンション高くないですか? なんだか気持ち悪いですよ? それに私に名前なんてありませんし……》
「君やっぱり結構ズバズバくるね……アドバイザーってみんなこんななのか……」
ザクっと突き刺さる言葉に、精神的ダメージを食らいながらも、静流は名前がないと不便だなと考え込む。
《私たちは主様のサポートをするだけの存在ですので――》
静かな声でそう言うアドバイザーに対し、静流はじゃあと口を開く、
「それじゃあ君は今日から富士山だ!」
《フジ……サン?》
松〇修〇リスペクトわろた。
《主様……申し訳ないのですが、なんというか……嫌な気持ちになりましたので。違う名前にして貰えないでしょうか……》
「だよね……」
調子に乗ったことを反省した静流は、再び真面目に考える。
キツイ口調。
メイド。
ロリボイス。
ロリボイス……。
ロリボイス…………。
ロリイス。
リイス……。
「よしリイス! 今日から君はリイスちゃんだ!!」
そんな静流の意外にセンスのある名前に対し、アドバイザーは少し照れた口調で、
《……む。主様の割には、ちょっと可愛い名前じゃないですか……ま、まぁ主様がそう呼びたいのならば、呼べばいいんじゃないですか……》
「なんかキャラ変してね?」
《うるさいバカ死ね! この埃! 埃! 埃ぃー!》
あ。
この子。
興奮したら可愛くなるタイプの子だ……。
好きッッッ!!!
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( ̄^ ̄ゞ