ゲームエンド中編
ごめんなさい。後編で終わらせるつもりが中編生み出してしまいました……
「達也ぁぁぁぁぁ!!!!」
爆発により巻き上がった土煙が視界を奪う中、静流は大声で叫んでいた。
必死に、声が枯れるほど叫んだ。
――完全な自爆だった。
静流は自分の淡く光る体を見ながら、血が滲むほど唇を噛む。
情けなかった。
マッチョ仮面の言っている通りだった。
反論の余地なんてない。
俺は無力だ。
俺は親友に守ってもらうことしか出来なくて、守ってやることの出来ない無能。
そんな言葉が静流の脳裏に流れ込む。
苦しかった。
またあの時みたいに達也に助けられて、俺は何も返せてない。
そんなことを考えても自分には何も出来ない。
それが悔しくて。情けなくて。辛かった。
そして、そんな負の感情を心の奥から湧き上がらせる静流に対し、追い打ちをかける様に『それ』は土煙から現れた――
『……ククッ、さすがに今のはビビったぜ……』
「……っ! なんで……なんでお前が生きてるんだよっ!! さっきの爆発で死んだんじゃねぇのかよ!」
声が震える。
それは恐怖そのものだった。
――強すぎる
そんな言葉が脳裏によぎり、足が勝手に震えるのを感じ取る。
目の前で堂々と立ってみせるマッチョ仮面の白面は、出会った時よりも何倍も怖かった。
やれやれと首を振るマッチョ仮面は、手から粉々になったなにかをこぼれ落としながら、右腕を構え、まだ土煙が残るほうを向きながら口を開く、
『ククッ、それはアイツも同じ事だ……残念ながらなッ!』
そう言って、右腕を扇代わりに振るったマッチョ仮面は、ククッと笑ったあと、くそアイテムだぜ本当に。と、舌打ちをしながら、左手に残っていた粉々の何かを投げ飛ばした。
――直後
土煙が晴れる中から、先程と変わらない達也の姿がゆっくりと現れた。
所々出血し、防具の一部が剥がれてしまっているが、それは爆発によって受けたダメージでは無かった。
ふらふらと立ち上がる達也は、まじかよ……。と引きつった笑顔を見せながら、重い口を開く。
「お前……なんでそんなアイテム持ってんだ……。そのアイテムは確か、人との絆が無いと作れないアイテムだろ……」
マッチョ仮面の左手を指さしながらそう質問する達也に対し、マッチョ仮面はククッと笑ったあと、平然とした顔で、
『俺が殺したやつから奪った。なんか問題あんのか?』
と、殺人者のオーラを出しながら冷徹に答えた――
空気が重くなり、精神的重圧に耐えられなくなりそうになる。
恐怖は人をダメにする。
恐怖は人の力を蝕む。
わかっていても恐怖するのが人間。虫の抵抗とばかりに睨みつける静流も、あっけなく気圧される。
怖かった。
殺人者の怖さを初めて知った。
それだけでは無い。
静流はほかの何かにも恐怖していた。
それが何かは分からない。
が。
静流でさえ見たことも無い、怒りと悲しみがごちゃ混ぜになった表情を、達也は浮かべていた――
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( ̄^ ̄ゞ