ゲームスタート
ランキング1日も入っていられて幸せでしたありがとうございます( ;꒳; )
――ガキンッッッ!!!!
そんな金属音よりもっと重々しい音が辺りに広がる。
静流が最後にとらえた画は、豪速の太い足が、達也の顔面に打ち込まれる瞬間。思考よりも先に体が反応し、背中が粟立つのを感じる。
しかし、この場には静流以上に戦慄する者がいた――
『は?』
そんなふの抜けた声が仮面の下から漏れ、同時に冷や汗が流れているのがわかった。
達也の顔面に打ち込んだまま固まるマッチョ仮面を見た達也は、効かねぇよとため息をつきながら、右手に持っていた白身のナイフを相手の鍛え抜かれた太ももに一閃する。
『ぐぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!』
「ったく、いきなり襲ってくんなよ……間に合わないとこだったぞ」
豪速の回し蹴りを顔面で受け止めた達也は平然とそういいのけながら、ナイフを構える。
勿論静流には何が起こったのかは理解できなかった。これが能力の力なのかと察してはいたが、この2人の次元が違いすぎる。
高速移動とパワーを持ち合わせるチート級戦闘力の仮面野郎と、そんな力をも上回る防御力を持つ達也……。
これは、本格的に俺は無能なのでは? と冷や汗を流す静流は、とりあえず邪魔にならないようにと、そろそろと石壁に背中をくっつける。
太ももを切られ、達也との間合いから即座に離脱したマッチョ仮面は、左手を切られた太ももに当て、修復を始める。
「お前……本当に能力を奪えるんだな」
「ククッ、お前が初めて俺にコレを使わせた好敵手だしなぁ、特別に教えてやるよ」
修復している手をトントンと指さしながらそう答えたマッチョ仮面は、修復を終わらせ、首を鳴らしながら右手を突き上げる。
ちなみに、修復が施された太ももの切り傷は完全に塞がり、完治していた。
そんな驚異的な化物に反射的に足に力を入れた達也は、ただならぬものを肌で感じ取り、己の能力を解除する。
『ククッ、さすがトップランカーさんだ、判断が的確だなぁ。……まぁ1人しか守れない無能 能力だもんなぁ』
「…………!?」
『悪ぃなぁ俺は触れた相手の能力を読み取る力も持っててなぁ、お前の弱点わかっちまった』
そう言って、クククッと笑ったマッチョ仮面は右手に力を込め……。
銀色の大剣へと姿を変えた――
「おいおいおいおい! どうなってんだアイツ! チートどころじゃねぇだろ! 達也! もういいから逃げるぞ!」
「静流……この場所から逃げ切るのは不可能に近い、戦うしかない」
「いやまぁ別に本当に死ぬわけでもねぇし、いいけどよ……さすがに怖すぎるぞこいつ」
そういって、ひょろひょろなファイティングポーズをとった静流に対し達也は、ごめんなと小さく謝りながら、己の能力を静流にかけた。
『ククッ、なぁそこのルーキーさん、お前これが本当にゲームだと思っているのか? ……ククッ、悪ぃが俺に殺された奴は本当に死んじまうんだぜ?』
「お前……それどういう――」
目の前の化物の言っていることが全く理解できない、いや、したくない静流は、達也に嘘だよな? と声をかける……が。
答えは残酷なものだった――
達也の俯く姿と先程のごめんという謝罪。それだけで意味がわかった。
ここはゲームの世界でゲームじゃない。ルールが曖昧な腐った世界。
この時静流は達也のある言葉を思い出していた。
ルールがないゲーム程怖いものは無い――
と。
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やっと熱い展開になってきたんじゃないの……?