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流れ時…4ドラゴン・キャッスル・ヒストリー13

しばらく暗いトンネルを通った後、やけに明るい場所に出た。

あちらこちらによくわからない機械が置いてある。


「お……っと。ここは……。」

「竜宮の制御室なんだナ?シャウ!」


龍様とシャウがほぼ同時に声を上げた。

いままでの道とは違ってしっかりと舗装されたフロアだった。


「何度も誰かが出入りしているらしいわね。」

アヤはホコリひとつない機械を見回しながらつぶやく。


「ここに繋がってやがったのか?なんか拍子抜けだぜ。

ここは三ノ丸、竜宮の制御室。


ここは龍神なら誰でも知ってるぜ。

なんで加茂が知ってんのかはわかんねぇけどな……。」


「忍び込んだことがあるんだナ!シャウ!」

「だから……お前……。」


楽しそうなシャウを呆れた目で見つめる龍様。


「竜宮のアトラクションもここでいじっているの?」

「……え?そうだが……。あ……。」


アヤの発言に龍様達は止まった。


目は一斉にカメに向く。


「わ、わちきはこんな穴通ってないさね!わちきは三ノ丸からここに入り込んださね?天津様に見つかりそうでしくしく泣きながらいじったさね?きゃあ!」


カメが突然悲鳴を上げた。


「どうしたんだ?」


龍様が戸惑っているカメを見つめるがカメの焦点は何もない所に集中している。


「……なにか記憶をみているようね……。」


カメの目の前には天津彦根神、オーナーが歩いている。

オーナーは頭に大きなツノが生えており、緑色の長髪、整った顔立ちをしている。


袖なしの着物を着ており、着物から出ている腕は筋骨たくましい。

そして所々、龍のうろこが見えている。人間型になるのは苦手なようだ。


―カメ?どこにいる?ここは入ってはいけない。

私に許可なしに入る事は許さない。聞いているのか?カメ!―


オーナーはカメを必死で探している。


そうだわぁ……この時、わちきは天津様に見つからないように隠れながらアトラクションをいじっていたさね……。


―カメ、早く出て来なさい。今なら鞭打ち程度で済ませる。

カメ、私をこれ以上怒らせるなァ!―


オーナーの声がだんだんと鋭くなっていく。

見つかったら殺されるかもしれない。

そういう恐怖とこの時カメは闘っていた。


アトラクションを勝手にいじる事は禁忌だ。


わかっていたが龍の使いとなったカメはもう自由がない。

現世に勝手に行くなど言語道断だ。


おまけに何をするにも龍神の許可が入り、龍神と共に動かなければならない。


いつも龍神の命令を大量に抱えていた容量の悪いカメにとって現世に行っている余裕はなかった。


だから……無理やり行く事にしたのだ。


すべてを混乱させて龍神達がそれを必死に戻そうとしている間に現世に行って自分の用事をすませる事にした。


それで制御室に忍び込んだのだがすぐに天津彦根神、オーナーに見つかってしまった。


ここまで来てしまったため、もうやるしかなかった。

カメは泣きながらアトラクションの配線をめちゃくちゃにした。


―カメ!―


オーナーの声がどんどん自分に近づいてくる。

配線をぐちゃぐちゃにしたが天津彦根神から逃げきる自信はなかった。


自分の計画が失敗に終わったとその時悟った。


どんどん近づく声にカメはしゃがみ込んで膝を震わせながら耳を塞ぐ事しかできなかった。


……殺される……


…コロサレル……。

こっちにコナイデ……お願い……怖いよぉ……誰か……助けて……。


自分で起こした事なのだがあまりの恐怖心で誰かに助けを求めていた。


その他は何も考えられなかった。

震えている手をなにげなく見るとカメは何かを握っていた。


なんの配線だかはわからないがどこかの配線のようだった。


―しまった!……やつが……目覚める……!―


―はーはははっ!ずいぶんと久しいなあ?天津!―


オーナーが焦った声を出したすぐ、別の男の声がした。

何が起こっているのかカメにはわからなかった。


―ぐあああ!―


刹那、オーナーの叫び声が制御室に響き渡った。

カメは何事かと機械と機械の隙間から思わず飛び出した。


しかし、そこにはオーナーも謎の男も誰もいなかった。



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