変わり時…4狂う世界最終話
しばらく進むと穏やかになった。
「いやー、太陽の姫が来てくれて助かった……。アマテラスの神力を持っているからどちらかと言えば俺達の味方だったのか?サキって小娘はああ見えてかなりの強さだ。大丈夫だろ」
プラズマが冷や汗を拭いながら籠内の椅子にもたれた。
「アマテラス大神さんの神力か。サキさんすごいんだね。とりあえず助かったよ……」
「で?現世に入ったようですが」
プラズマとマナの会話を丸無視した健が窓から外をうかがいつぶやいた。
「じゃあ一度籠から降りて隠れようか……」
プラズマはこのまま空を飛ぶ事を凶としたようだ。
「そうだね。落ち着いた所のが策を練りやすいかな?」
「奴らの神力をあなどるな。とはいえ行くしかないのならば気を付けろとしか言えんがな。ククク」
マイが不気味に笑いながらつぶやいた。
「まあとりあえず鶴!降ろしてくれ。後、俺達の事はきれいさっぱり忘れろ」
「わかったよい……」
プラズマの命令に鶴は疲れた声をあげた。
「プラズマさん、忘れろって無理じゃないのかな?」
「問題ない。鶴は先に言った神の命令を全力で守る。つまり、覚えていても忘れたふりをするから、しゃべらないだろう」
「そうなんだ……」
プラズマの言葉にマナは疑惑を抱きながら頷いた。
籠は気がつくと地面に着いていた。素早く籠から外に出たが場所はどこだかわからなかった。
鶴達はさっさと籠を引いて空の彼方へと消えていった。マナ達と長く関わりたくなかったのかもしれない。
森の中だと思われる場所に捨てられたように置き去りにされたマナ達はこれからどうするか相談することにした。
「どこだかわからん。アバウト過ぎたな……」
プラズマは頭を抱えた。
「これからレール国に行くんでしたっけ?クラウゼを仲間にするんでしたよね?だったら弐の世界のが安全ですね。私がいますし」
健が何気なく言った言葉にマナとプラズマは目を輝かせた。
「それだ!」
「ククク……弐の世界ならば無数の世界があって神力関係なしに迷う世界だからな。確かに追っては来られんな。Kの使いを使えば別だかね」
マイは健を面白そうに見つめるとつぶやいた。
「じゃあまず……ここから出て図書館を……ってしなくていいのか!」
プラズマが「そういえば」と思い出したように声をあげた。
「私と健坊やがいるからな」
「けんぼう……」
イタズラな笑みを浮かべながらマイは健を見た。健は坊やが引っ掛かったようだが突っ込まなかった。
「そうだね!健さんに弐を出してもらってと考えたけどそれはマイさんにやってもらおうかな。マイさんにはこちらの世界を伍の世界の人達に見せるという仕事があるんだけど、いい機会だからマイさんを信頼できるか見させてほしいの。マイさんを信じてお願いするけど上部の弐の世界を出してほしい。今度は『ちゃんと出して』ね」
マナはマイの反応を見ながらお願いをした。
「ククッ。生意気な小娘だ。まあいい。おもしろくなってきた。いいだろう。出す。シミュレーションではない上部の弐だが出してやろう。ククク」
マイは今にも裏切りそうな邪悪な笑みを浮かべていたが大きく頷いた。
「信じるよ。よろしくね」
「では開く。共に楽しもうではないか」
マナの言葉ににんまり笑ったマイは弐の世界を開き始めた。




