変わり時…4狂う世界13
電子数字で分解され、再び元の体に戻った時に自分は高天原にいるということを瞬間的にわかった。
やはり、現世とは雰囲気が違う。
しかも鬱蒼とした森の中だった。
「無事つけたみたいだな……フフフ。これはいただきだ」
マイの悪い声を聞き流しマナはまばたきをした。
「あれ?ここ……」
マナは辺りを見回して気がついた。
「さっきのとこだな。偶然に」
プラズマも目を細めてつぶやいた。
少し先に剣王の居城がある。歴史神ナオが現世から剣王の城に帰る時に使用していたようだ。
ちなみにナオは剣王軍にいる神だ。
時間は完全に止まっているが気絶している神々がいる中、アヤがひとり辺りを不安げに見回していた。一緒に逃げた歴史神ナオとアヤの友達、歴史神のヒメは気絶したまま動いていない。
マナ達に攻撃を仕掛けてきた狼夜とかいう剣王に連れられてきた霊も先程と同じように動いていない。
頭を抱えてうずくまっているのはアヤだけだ。
「アヤさん!気がついた!!目を覚ましてる!ラッキーだね!」
マナが声をかけると怯えたようにアヤがこちらを向いた。
「マナ……とプラズマと……私は何をしていたの?覚えてないわ」
アヤの不安げな声にプラズマが苦笑いを浮かべた。
「そりゃあな。アヤは気絶してたから。いままで」
「気絶?」
「やっぱり、アヤの時間だけ解除されてやがる。これもアマノミナヌシとやらの……ま、まあそれより、なんだか俺もよくわからないんだがあんたが必要なんだとよ」
プラズマは「な?」とマナに確認してきた。マナは小さく頷く。
「うん。アヤさん、世界のために一緒に来てほしいの」
「来てほしいって……何があったのよ?時間が止まっているじゃないの。皆気絶してるみたいだけど、あなた達はなんで平気なのかしら?」
アヤは案の定、誰でも最初に言うであろう質問を投げかけてきた。
「近々世界を変えるためなの。今はとにかく一緒に来て」
「あなた、変わったわね。はじめて会った時とはだいぶ違うわ」
アヤが言うのもよくわかる。マナは肝がすわって今はすごく冷淡な顔をしている。自分が貫き通す事は貫く。そのためならばなんでもやる。
この時のマナはアヤに細かく説明する気はなかった。アヤに説明したら敵にまわるかもしれないからだ。
「なんだか冷たい感じだわね」
「そうかな?とりあえず一緒に来て。私にはアヤさんの力が必要だから」
マナは軽く微笑むとアヤの手をとった。アヤは訝しげではあったが素直にマナに従うことにした。
「説明する気はないのね?」
「ないよ。ごめんなさい。アヤさんはついてきてくれるだけでいいの」
マナはアヤの肩をポンポンと叩いて頷いた。
「そうなの……。わかったわ」
「ふむ。ずいぶんと強引だな。フフフ……」
マイが隣で笑っていたがマナは構わずにプラズマを仰ぐ。
「で、どうすればワイズさんのとこに行けるの?」
「どうやって行こうかね?鶴が使えないんじゃ歩くしかないか」
プラズマはマナにそう答えた。




