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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」エラーの出た神
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変わり時…4狂う世界1

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


ある田舎町。まわりは山に囲まれている。辺りはとても静かだ。その中、ひとりの少年の姿が目立った。


……そうか。そういう方向にいったか。やはり世界のシステムは崩壊の方へはいかない。はっきりした。

……だけど、壱の世界にいる神はマナの行動を許さない。壱の世界の日本を守っている剣王は特に……。


野球帽をかぶった少年、リョウは木の枝に座りながら海を眺めていた。寄せては返す波は不思議と止まっており、絵の中のように不気味だ。木の葉っぱも風に揺られた状態で止まっていた。満月が止まった状態のまま辺りを照らす。


「時間が止まった。僕も時を渡れない。ここからは黙ってみていよう」

リョウは目を満月に向けた。


※※


マナはスサノオに自分の思ったことをやれと言われ、とりあえずプラズマと健の安否確認をする事にした。ふたりの元へ行こうとした刹那、剣王が刀を構えて前に立った。


「待て。それがしは君を好きにはさせないよ」

マナが冷や汗をかきながら一瞬止まった刹那、ごうっと弓がうなる音がした。


「おっと」

剣王は軽やかにかわすと弓矢が放たれた方を見た。

目線の先でプラズマがボロボロになりながら弓矢を構えて目をすがめていた。


「君はスサノオのデータをなかったことにはしないんだな。辻褄があわなくなった子達は倒れてるのに。しかし、まだ立てたのかぁ。あの子は本気じゃなかったとはいえ、しぶといなぁ」


「あいつ、なんなんだよ!容赦ねぇなー。死ぬかと思ったぜ」

プラズマは今にも倒れそうだが気を失っている狼夜に悪態をついた。


「プラズマさん!」

マナがプラズマの元へ再度走ろうとしたらスサノオが声をあげた。


「未来神は一度、伍に入って俺を見ているからデータに誤りがないことになったんだな!あ、それから俺はもう壱にいるのが辛くなってきたようだ。マナ、眼鏡を取ったときに見える神社にこい。剣王を何とかしてな」


スサノオは足から徐々に電子数字に分解されていた。こちらの世界がスサノオを排除しようとしたようだ。


「え?スサノオ様!?眼鏡……」

「じゃ」

「ちょっと……」

困惑しているマナにスサノオは笑みを浮かべて消えていった。


「なんだかわからないけど厄介なやつが消えたみたいだねぇ」

剣王は再び刀を構えるとマナの眉間に合わせた。マナがどう動こうか迷っていると倒れているはずの健の声がした。


「とりあえず、剣王を抑えますか?」

健はプラズマの横でフラフラと立ち上がった。


「お前、大丈夫か?」

プラズマが心配そうに健を見据えた。


「はい。私も伍の世界に飛ばされてスサノオに会っているので気を失わずにすみました」

「いや、そっちじゃなくて怪我だ、怪我」

健もプラズマ同様にボロボロだったが元気そうだった。


「健さん……良かった」

マナはとりあえずふたりが無事でほっとした。


「私も無事のようだな。一瞬、気を失ったが」

驚くべき事にマイも平然と起き上がった。起き上がったマイに剣王は眉を寄せた。


「なんで君は目を覚ましたのかな?君は楔だがスサノオの記憶は抹消されたはずだよ」

「さあ?私にはなんにもわからんよ」

マイは剣王にケラケラと笑みを向けた。


それを横目で見つつ、健は仮説を口にした。


「マイさんは語括神、演劇の神です。そして主に人形を使ってシミュレーションをするんですよね?Kと同じ力を持っているのでどっかでリンクしたんじゃないですか?ほら、Kは改変後の記憶を持ってますから」


「だが私はスサノオを知らない」


「じゃああなたははじめから辻褄が合っていないのに世界が合わせようとしなかった不思議な神ということになりますね」


「とりあえず、剣王を黙らせようか……ククク……」

健の言葉を遮り、マイは剣王を見るように顎で合図した。


剣王はどことなく苛立っており、身体から神力があふれ出ている。


「仕方ありません。平次郎!」

健は先ほどと同じように五芒星を書き、人形を召喚した。

倒れていたえぃこ、びぃこは光の粒になり消えた。

入れ替わりで現れた人形はまたも手のひらサイズで青い短い髪をした少年の人形だった。


「君は平次郎殿か」

剣王はその人形を知っているようだった。


「剣王、今回は我が主の頼みだ。そちらにはつかない」

平次郎と呼ばれた人形は堅苦しく剣王に答えた。


「なるほどねぇ。それがしがKの使いを借りる時、知らなかったが君の使いだったのか。契約書だけで顔を見ていなかったからわからなかったよ」

剣王はにやりと健を見て笑った。


「はい。私のです。あなたがよく使う、きぅ、りぅ、じぅの三姉妹ドールは私の妻の使いです」

「ほぉ……」

健と剣王の間で解決され、マナ達にはよくわからない会話だった。


この三姉妹ドールと平次郎に関してはサキが関わった事件で登場するため、その事件を知らないマナ達がわかるはずもない。


「なんだかわからないけど、皆!剣王を倒すよ!」

マナは剣王を黙らせるという強行を取ることにした。


「身の程知らずだねぇ。それがしは今、余裕はないぞ」

剣王から恐ろしいまでの剣気と神力が溢れだした。

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