変わり時…3時の世界15
どれだけ眠っていたかはわからないがマナはどこからかきこえてくる女の声で目が覚めた。
「ん……?あれ?」
「ああ、やっと目覚めたか」
そっと目を開けたマナの目に金髪の少女が映った。少女はマナを覗き込むように立っていた。
「誰?」
「私は語括神マイ」
「神……」
少女は切れ長の瞳に余裕の笑みを浮かべ、着ている白い着物の袖で髪をかきわけた。
「まあ、とりあえずマイだ」
「マイさん……」
「そう。お前達はなんだか面白そうな事をしているね」
マイは心底嬉しそうにマナから目をそらした。マイが見ている場所に目を向けると頭を抱えるプラズマときょとんとしている健が映った。
「皆、私達どうなったの?」
「捕まったんだよ」
マナの問いかけにプラズマが機嫌悪く答えた。
「いやー、私はプラズマさんとマナさんが倒れちゃったので仕方なく捕まりました」
健は半笑いでプラズマとマナを見ていた。
「なんでお前はなんとかしないんだよ……檻に入れられちゃったじゃないか」
「すみません。こっちのが逃げられるし楽なので」
「あ?どういうことだ」
健とプラズマの会話を聞きながらマナは辺りを見回した。
まわりは真っ白な壁。前には鏡のような結界のようなものが張り巡らされている。さらにその先は鉄格子のドア。
全く逃げられそうにはなかった。
「健さんが今言った、逃げられそうにはみえないんだけど……」
マナはおずおずと健を見た。
健は頷きながらとなりにいるマイに目を向けた。
「私は弐の世界を出せますから結界を張っていようが関係なく弐の世界に逃げられます。それと、そこにいらっしゃる語括神マイさんは特殊な能力を持っているようです」
「なるほど……。で?特殊な能力って?」
プラズマが話に入ってきた。
「私の能力は人間の認識、運命を夢を使ってシミュレーションできる。つまり……予知夢……弐の世界の肆(未来)の世界を操れる。認識を持たせられるため人間の脳に記憶を残せる。私はそれでついこないだヤンチャして人間の運命を動かし、ワイズに檻にぶちこまれたのだ。お前達がやろうとしているおもしろいことの助けになれるのでは?」
マイはどこか楽しそうに笑っていた。
「……恐ろしい能力。でも……いい能力。マイさんは私達のすることを手伝ってくれる?」
マナはマイの能力を聞き、先のプランを頭に思い浮かべ始めた。
「面白そうだ。弐の世界に逃げるなら私も連れてってくれ。役に立とう。ふふふ……」
マイは興奮した顔で楽しそうに笑っていた。うさんくさそうだが仲間が増えるのは嬉しい。
「あなたの能力を使ってこっちの世界の人間に伍の世界をみせたい!向こうを夢でも認識してもらえば世界は変わってくるかも。実際にこちらと向こうを繋げる訳じゃないし、いいと思う!」
「まあ、協力はしてやるがどうやってやるんだ?私は向こうの世界とやらを知らんぞ」
マイの言葉にマナは詰まった。
「え、えっと……それはおいおい考えるよ……」
「ふむ。それでもいいが……私はでかい事がしたいぞ。ふふっ。ワイズに一泡ふかせられそうだ」
マイはさらに楽しそうに笑った。
「偉い神様が役に立たないなら地道に仲間を集めてく、それが一番。今は……」
マナは健とプラズマを仰いだ。ふたりはマナに大きく頷いた。
「俺も仲間だ。ここまできたら最後までやろうぜ」
「私もついていきます。なんとなく中立の立場のKとして」
プラズマと健は立ち上がり大きく伸びをした。
「じゃあ、早くここから出よう!とりあえず、弐に避難してそれから伍の世界を見せられるような計画を考えよう!」
マナはすくっと立ち上がると皆を見回して大きく頷いた。
「では、さくっと弐の世界に避難しましょうかー。私が弐の世界を出しますね」
健がさっさと五芒星を描いた。刹那、白い光が現れ、そこから別世界がもやもやと出てきた。
「こんなに簡単にどこでも弐の世界が出せんのか。Kは……」
プラズマが呆れた声をあげた。
「とりあえず、行こう!」
マナが光の入った瞳で足を弐の世界に踏み入れた。




