表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
509/560

変わり時…3時の世界14

怯えつつエレベーターに乗り込んだマナ達は最上階に行くと思われる「天」と書かれたボタンをとりあえず押した。


ドアが静かに閉まり、その後、ありえない早さでエレベーターが上昇しはじめた。


「うわっ!!なんだこれは!」

プラズマが驚いて声をあげた。

エレベーターは立っていられないほどの早さで上昇をしている。


「立っていられない!なにこれ?おかしいよ!」

マナも壁にしがみつきながら叫びだした。


「なんだかおもしろいエレベーターですね」

健だけは不思議と冷静にエレベーターを分析していた。


「おもしろくねぇよ!こええよ!この欠陥エレベーター作ったやつ、誰だ!」

プラズマは床にへたりながら呑気な健に叫んだ。

エレベーターは上昇を続けながら徐々に「天」のボタンへと近づいていく。近づくにつれ謎のラップ音楽が大音量で流れ出した。


「君と僕らのおいしいチーズ!広げてみるは大きな地図!みんなで一緒にさあチーッス!そしてピースだ!はいチーズ!」


謎のラップは激しくマナ達の耳をおかしくした。


「なんだ!この下手なラップは!うるせぇぞ!」

プラズマは半分怒りながら天井を睨んでいた。


「耳がおかしくなりそう……。東のワイズってほんとに変わり者なんだね……」

マナの不安はどんどん大きくなっていた。


「なるほど、チーズを全部かけてるんですねー」

健だけはなぜか呑気だった。


しばらく爆音と重力に逆らっているとエレベーターは突然止まった。止まった瞬間にマナ達は一度天井にぶつかり、床に叩きつけられてしまった。三人がつぶれた蛙のような有り様になった時、エレベーターのドアが静かに開いた。


「つ、着いたのかよ……。もう心が折れそうだ」

プラズマがつぶやいた刹那、目の前に仮面を被った男とサングラスをかけた少女が現れた。


二人とも袴を身につけており、少女の方はそれにカラフルな帽子を被っている。

不思議な格好だ。


「ワイズと……天御柱……か」

プラズマが、顔を曇らせたまま立っている二神を交互に見ながらため息をついた。


「はー、お前が元凶の小娘かYO!弐の世界に飛ばせる能力があるみたいで危ないから他の神には手を出させないようにこちらに招いたんだYO。龍雷水天を弐に入れたのはお前だNE?」


少女、東のワイズはプラズマを見ずにマナに直接声をかけてきた。


「私もよくわからないですけど、そうみたいです。あなたがワイズさんですね?」

マナは息を飲みながらなるべく丁寧に尋ねた。


「そうだYO。お前は伍の世界云々で来たんだよNE?はっきり言って迷惑だ。伍の世界は関係ない。私はお前のエラーを許さないYO」

ワイズは威圧的に声を発した。


「伍の世界のKが壊れてしまったらこちらの世界も影響がでます!でると思います!」

マナも負けじと声を荒げた。


「こちらの世界に影響はないYO。こちらのKはこちらでしっかり存在している。今現在、向こうと繋がっている必要はないはずだYO。いい機会だからここで完全に伍と切り離してしまえばいい。お前の要求は呑めない」


ワイズはそうはっきり言い放った。


「それじゃあ困るんです!向こうにも沢山の人間とこちらの世界を思うKがいるんです!力を貸してください!」

マナはさらに必死にワイズに言い寄った。

しかしワイズは首を横にふった。


「向こうの人間は神を信じていない。救う必要はないYO。これが我らの意思」


「……こちらのKの意思ということですか?」


「神としての意見だと思ってくれてけっこうだYO」

ワイズはマナの質問に濁すように答えた。ワイズは他の神に自分がKであることを伝えていないようだ。


「私の意見は全く聞いてくれないってことですか?」

マナはワイズを思わず睨んでしまった。向こうの世界で救ってくれるのを待っているケイの顔が浮かんだ。


「悪いがこちらの安定を脅かすのは嫌いなんだYO。こちらで拘束し、後で何とかすることにするYO」

ワイズはサングラスを指でクイッと軽く押し上げると仮面の男に鼻で合図した。


「ワイズ、いいのか?」

「いい。やれ」

仮面の男の問いかけにワイズは乱暴に答えた。


「マナ、こりゃあやばいぞ!」

プラズマが危険を察知しマナを引っ張った。


「やばいって……いっ!?」

突然立っていられないような威圧がマナ達を襲った。

大量の汗が溢れだし、気を失いそうになるまで時間はかからなかった。


「天御柱が神力を解放したんですね。厄神の力は私も苦手ですよ。えぃこ、びぃこも苦手です」

健も珍しく動けずにいた。

健が召喚した人形達も力なく健のスーツのポケットを握っていた。


「あー、だめだわー。この力、苦手ー」

「眠くなるー」


えぃこ、びぃこは力がなくなってしまったのか健のスーツのポケットに入り込んでしまった。


「くそっ!動けない!意識がっ!おい!マナ!しっかりしろ!」

プラズマは飛びそうな意識を戻しながら放心状態のマナを揺する。


「い、息が……はあはあ……」

マナは荒い息を必死で整えながら仮面の男を見上げた。


……この神がサキさんが言うみー君……


そう思った瞬間、仮面の男がさらに神力を解放しマナは気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ