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変わり時…3時の世界13

 「私はKなので弐の世界に送られた神を元に戻せるので、一思いに……」

 「だからどうしたらいいの?」

 健は呑気に弐の世界へ送った後の事を話し始めた。マナは目を回しながらもう一度訪ねた。


 「えーと……どうしたらいいのでしょうか?」

 「俺に聞かれてもな……」

 健はとなりで戸惑っているプラズマに目を向けた。


 「マナ、とりあえず、自分を信じて色々やってみろ」

 「そんな無茶苦茶な……」

 マナがまごまごしている中、イドさんとえぃこ、びぃこはずっと攻防戦を続けている。イドさんはずば抜けて強い力を持っているわけではないが相手の隙をついたり、弱点をみつけたりするのがとてもうまい。その影響か、えぃことびぃこはイドさんを抑え込めないでいた。


 無茶ぶりをされたマナはこのままでは状況が変わらないと思い、とにかく何かやってみることにした。

 まず、手をイドさんにかざして念じてみた。イドさんに何も変化はなかった。

 今度は片手をかざしてみた。しかし、何もなかった。

 続いて目をつむって祈ってみた。それでも変化は特になかった。


 「もうやり方思いつかないよ!」

 マナが頭を抱えた刹那、えぃことびぃこの攻撃をかいくぐったイドさんがマナに飛びかかってきた。やはり狙いはマナのようだった。


 突然だったのでプラズマも動けず、マナは声も上げる事ができなかった。咄嗟に体をかばい、右手を斜めに切った。


 「……っ!?」

 イドさんの動きが一瞬止まった。マナはそのままバランスを崩してしりもちをついた。


 「ひぃ?」

 マナは動揺した頭のままイドさんの足元を見て小さく悲鳴を上げた。イドさんの足元に緑色に光る五芒星が回っていた。


 「な、なんですか?これはっ!」

 焦っているイドさんを茫然と見ながらマナは口をパクパクしたままだった。

 そのうちにイドさんは五芒星に囲まれて突然にその場から消えてしまった。


 「消えた!」

 「弐の世界に送れたみたいですね」

 「え?……あ……」

 目を白黒させているマナに健が冷静にそう言った。


 「よくわからんが……ほんとに便利な能力を持っているようだな」

 プラズマは顔を引きつらせながら軽く頷いた。

 

「今、私どうやったの?」

 「右手を振った……か?」

 マナは動転しながらプラズマに尋ねた。プラズマは首を傾げたまま、自信なさそうに答えた。


 「ま、とりあえず、中に入りますか?」

 健はさっさと話を進め、ワイズの城の内部を覗いている。


 「……あんたはほんとに呑気だな……。まあ、そうだ。とりあえず、入れるみたいだから入ろうか」

 プラズマも頷き、マナを促して城の中を窺った。


 えぃことびぃこが健の元へと戻って行き、健のスーツのズボンをよじのぼって胸ポケットにすっぽりと入り込んだ。


 「ねぇ、まだ私達いるの?」

 「もうちょっといてほしいな……」

 口をとがらせているえぃこに健は小声でお願いしつつ、ワイズの城についている自動ドアを潜った。


 「あいつ……いきなり入りやがったな……」

 プラズマもマナも仕方なく健を追い、城の中へ入った。


 城の中は不気味なくらい静かで誰もいなかった。促されているように近くにあったエレベーターが開いた。金閣寺を悪く派手にしたような外観だったが内装はオフィスビルのようだった。タイルの床はきれいに掃除されており、開いたエレベーターがやたらと光っている。


 「……なんか怖い……」

 「誰もいないからな……。これは堂々と来いってことか?」

 怖気ついたマナの背中を押しながらプラズマがエレベーターへと歩き出した。

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