変わり時…3時の世界7
エビスは持っていた箒をポイっと捨てると天界通信本部内へと足を進めた。日本風の城になぜか自動ドアがついていた。
「こっちだよ」
中はとても広く、普通のオフィスビルのようだった。ロビーを通り、エレベーターの前まで来るとエビスは最上階のボタンを押した。
しばらく待つとエレベーターが降りてきたのでそのままマナ達は乗り込んだ。
エレベーターはスムーズに上り、最上階部分で静かに停止した。機械音と共にドアが開くと畳の大部屋に繋がった。
「うわあ……。変なオフィス……」
マナが思わず声を漏らしたのも無理はなく、畳の大部屋に沢山の座布団と机が置いてあり、その机の上にびっしりとノートパソコンが敷き詰められていてそのノートパソコンに向かって作業している社員だと思われる神々は着物姿でどこからどうみてもなんか変だった。
その宴会席のような部屋の真ん中に廊下のような歩けるスペースがあり、エビスは当たり前のようにそこを歩き始めた。
慌ててマナ達も後を追う。
エビスは一番奥の障子戸の前で止まるとかなり乱暴に声をかけた。
「パパ―!パパのお客さん来たー」
エビスの声で障子戸の奥でガタガタと慌てる音が聞こえた。
「コラ!エビス!ちゃんとノックしてから声かけなさいって何度も言っているだろう!パパはお茶をこぼしてしまったじゃないか。……今開ける。ちょっと待ってなさい」
障子戸の奥で若そうな男の声が響き、エビスを強めに叱った。
マナ達は顔を見合わせて少し苦笑いをするしかなかった。
「なんかずいぶんと若そうな声だけど……なんかお父さんっぽいね……」
「そうだな……。ま、神の外見なんて当てにならないからそこだけは覚えとけ。相手は蛭子神だ。あの三貴神の兄貴だぞ……」
マナとプラズマがこっそりとひそひそ会話を交わしていると静かに障子戸が開いた。
声通りの若い男性が障子戸から顔を出してきた。髪が肩先まである端正な顔立ちの青年だった。羽織袴姿でマナ達を紫色の瞳でじっと見つめていた。
よく見ると三貴神によく似ている。
「……あなた達が天津が言ってた者達……か?天津から連絡は来ているが……」
突然に声をかけられてマナは口をパクパクさせながらなんとか返答した。
「は、はい!伍の世界から来たマナ……です。あなたが蛭子神さんですか?」
「そうだが」
蛭子は動じることなく堂々と答えた。
「この神も……何か強い力を感じる……」
後ずさりをはじめたマナをプラズマが押し返す。
「おい、しっかりしろよ……俺だって怖いんだから……」
「そ、そうだね……」
マナとプラズマが怯えている横で健はエビスと楽しそうに会話をしていた。
「あの野郎はなんであんなに平和なんだ……クソ!」
プラズマが軽く毒を吐いた時、蛭子が「とりあえず中へ」と社長室へ入る事をすすめてきた。
「し、仕方ない……。いくぞ。マナ」
「う、うん……」
プラズマとマナは流れで社長室へ入って行った。健とエビスは楽しそうに会話をしているので放っておくことにした。




