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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」未来に逆らう神
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変わり時…2向こうの世界11

 図書館の位置を近くにあった地図看板で確認する。

 「えーと……。」

 マナが地図を凝視していると眼鏡の脇から電子数字が見えた。


 「え?」

 「マナ?どうした?」

 「数字が見える……。」

 「数字?」

 「うん。」

 マナは戸惑うプラズマにそう答えると、とりつかれたように凝視したまま眼鏡を外した。


 マナの目に沢山の電子数字が映る。そのうち電子数字の線が伸びて、地図に何かを書き込みはじめた。

 目で追うとまず、病院のまわりに正三角形に配置されている三つの神社が白い光の線となり結ばれた。その後、その三つの神社がすっぽり収まるくらい大きな五芒星が描かれ始めた。正三角形は五芒星の真ん中にきれいに収まるように描かれた。


 「……これは……?レティ達と見たものとは違う線の引き方……。」

 「……俺には何も見えないが。」

 先程からしきりに目を動かしているマナに、プラズマは不気味に思いながら答えた。

 五芒星の先端五つが場所を指すように光り出した。


 「……一番上の点が図書館……下の点二つは歴史資料館とプラネタリウム……これはまあいいとして……この左右の点の『クラウゼの家』と『けんの家』って何かしら……。」


 「ええ?人の家がこの地図に載っちゃってんのかよ……。プライバシーないのか。怖いな。」

 プラズマは青い顔をしていたがマナは「違う。」とすぐに声を上げた。


 「この家はさっきの地図だとわからなかった。よく見て。プラズマさん。プラズマさんには見える?」

 「……見えんな。何も見えん。」

 マナの問いかけにプラズマは目を凝らしてみたが結局何も見えなかった。


 「私には見える……。でもこれ……やっぱり人の家?」

 「ん?ちょっと待て。あんた今、誰と誰の家って言った?」

 「クラウゼさんって人と……健さんって人の……。」

 「……両方イニシャルがKじゃねぇか……。」

 プラズマの言葉にマナはハッと顔を上げた。


 「ほんとだ……。でも……名前的に男の人だよね?男の人はKじゃないんじゃ……?少女だけって言っていた気がするんだけど。」

 「そんな事わからないだろ。こちらの世界で得体のしれないKがいたっておかしくない。俺は偶然じゃない気がする。」

 「……確かに……。どうする?先に図書館行く?それとも……。」

 「図書館に行こう。俺はレール国が気になる。」

 「う、うん。わかった。行こう。」

 マナは地図をもう一度確認するとプラズマの肩を担いで歩き出した。地図は目を離したすきに元の地図に戻ってしまっていた。


*****


 しばらくビルが連なる道を汗だくになりながら歩いた。微妙に坂道だったのもつらかったようだ。

 三十分ほど歩くと大きな図書館が現れた。落ち着いた感じの建物でシックな感じだった。


 「こっちの図書館もあまり変わらないな。まあ、当たり前か。」

 「うん。まあ、何にもなくても少し涼んで行こう。なんだかすごく暑い。」

 「そうだな。」


 プラズマとマナはとりあえず図書館内に入った。冷房がかかっているのか図書館内は涼しくなっていた。館内は恐ろしいくらいに静かで人がいなかった。沢山の本が本棚にきれいに並べられている。歴史書や参考書、伝記もあった。


 「えー……静かだな……。絵本って言ってたから絵本コーナーか。」

 「絵本コーナー……。」

 マナが辺りを見回すと子供の椅子が置いてある部分があった。


 「絵本は子供用だからあっちかな?」

 マナはプラズマを連れてキッズコーナーへと足を進めた。もう少しでキッズコーナーへと入りそうなところで男性客が二人閲覧コーナーの椅子に座っているのが見えた。


 マナとプラズマは一度立ち止まった。

 立ち止まった理由は客がいて驚いたからではない。彼らが読んでいる絵本だった。


 「あ、あれ……。」

 彼らは絵本を立てて読んでいたので表紙が丸見えだった。

 表紙は『レール国物語』。白猫と金髪の少女がほほ笑んでいる絵が描かれている。


 「……あれか。」

 プラズマが小さくつぶやいた時、男性客二人がこちらを見た。


 「あ、えっと……。」

 マナとプラズマが戸惑っていると男性客の内の一人が絵本を持って歩いてきた。


 歩いてきている男性は黒い短い髪に健康的な肌、大きな目をしている。スーツを着ているが可愛らしい顔つきだった。椅子に座ってこちらを窺っている男性は金色の髪に青い瞳、そして眼鏡をしていた。こちらの男性は目つきが鋭く凛々しくて少しとっつきにくそうだった。こちらもスーツを着ていたがこちらはとても似合っていた。

 どちらの男性も整った顔立ちの青年だった。


 「この絵本が気になりますか?あ、私は健と申します。」

 「健さん……って……。」

 黒髪の男性の自己紹介を聞き、プラズマとマナは顔を見合わせた。


 「じゃ、じゃあ、あっちにいる金髪の方はまさかクラウゼさん……とか?」

 「……。そうです。よくわかりましたね……。」

 マナがこっそりつぶやいた言葉に健と名乗った男性は首を傾げた。


 「……もうめんどくさいんではっきり言うがあんた達、Kと関係があるのか?」

 プラズマが回りくどい挨拶を取っ払い、単刀直入に聞いた。若干、無礼だったかもしれない。

 しかし、黒髪の男性、健は表情を変えずに小さく頷いた。


 「……少し、向こうでお話しましょうか。その様子だと……クロノス……リョウ君の事も知っているでしょうし。」

 健は金髪の男性クラウゼがいる席を指差して会釈をした。


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