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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」現人神になった人間
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変わり時…1交じる世界7

 やはりこの学校は自分がいてよい学校ではないと気がついたマナはアヤとサキに感謝しつつこの学校から一度外に出ることにした。

 こっそり校門を抜けて商店街を歩く。


 ……ここはどこだかわからないけど……とにかく……神が存在している……。

 マナは色々と考えながら当てもなく商店街を進む。


 「……。」

 ふと神社の鳥居が見えた。鳥居の階段で奇妙な格好をしている男を発見した。

 狐耳に赤いちゃんちゃんこ、白い袴……。瞳は青い。

 狐耳の男は大きく伸びをしながらおにぎりを食べていた。


 「……変な格好の人だな……。」

 マナは先程のように眼鏡を外してみた。前を歩く通行人は特に変わりはなかったが狐耳の男は沢山の電子数字に変わった。


 ……日穀信智神にちこくしんとものかみ……実りの神様。穀物の神……。

 ……やっぱり……あのひとも神だ……。

 神は……眼鏡を外すと電子数字になる……。マナが先程覚えた事実だ。


 しばらく観察を続けていると後ろから突然声がかかった。マナは驚きすぎて飛び上がってしまった。


 「ひい!」

 「あ……そんなに驚かすつもりはなかったんだよ。あんたがマナか?俺の未来見でちまちま出て来ていた女。そんでなんでか俺がこのいちの世界に来ちまった原因の女。」

 声は男だった。マナは恐る恐る後ろを向いた。目の前には赤い髪をした秀麗な顔の青年が涼しげに立っていた。


 「だ、誰?」

 マナは警戒しながらも眼鏡を少しずらした。もしかすると神かもしれないと思ったからだ。

 しかし、赤い髪の男は電子数字にはならなかった。


 「じゃあ……人間?」

 「ん?俺は人間じゃないぜ。時神未来神、湯瀬プラズマだ。」

 プラズマと名乗った男にマナはまた混乱した。


 「え?え?だって神様は電子数字になるんじゃないの?」

 「何言ってんだ?あんた?」

 マナの言葉にプラズマは首を傾げた。


 「あ、えっと……なんでもない。」

 マナは疑問を心にしまう事にした。今、そのことを言うのは混乱を生みそうだからだ。

 ここでマナはもう一つ、この世界について知った。


 ……神様は自分が電子数字であることを知らない。そして電子数字じゃない神もいる?


 「……あんた……どっから来たんだ?」

 プラズマが端正な顔を若干曇らせて尋ねてきた。その『どこから来た』という言葉は場所を指していないという事はマナも理解できた。


 「……実は……よくわからないの。」

 マナは素直にプラズマにそう言った。本当によくわからなかった。


 「あんたは人間なのか?不思議な感覚を纏っているようだが。」

 プラズマはマナにとても興味があるようだ。マナは警戒しつつも素直に話す事に決めた。


 「よくわからないんだけど……私、現人神あらひとかみなんだって……女の子から言われたの。」

 「現人神……。じゃあ、あんたは人間と神の中間にあるって事か?」

 「よくわからない。ここがどこかもわからない……。」

 プラズマの質問にはマナは何一つ答えられなかった。


 「そっか。それじゃあまずはあんたがどっから来たかだなあ。俺の未来見で出てきた時には俺とあんたは近々起こる未来で一緒に行動をしているらしい。でもあんたは未来から来た者じゃないって事はわかる。俺はよんの世界には敏感でね。」


 「……肆の世界?世界ってそんなにいっぱいあるものなの?私もこの世界に着くまで三回くらい場所が変わったの。」

 マナがそこまで言った時、妄想症だった例の少女の言葉を思い出した。


 ……向こうの世界、行ってみる?


 「……向こうの世界……。そうだ!私は向こうの世界に行ったんだ!」

 「おい、向こうの世界ってなんだ?」

 マナが自己解決をしているのでプラズマはいぶかしげにマナを仰いだ。


 「あ……えっと……違う。向こうの世界に行ったって事は……えーと……そう!向こうの世界からこちらの世界に来たって事だわ!」

 「向こうの世界って言うと……まさか……あんた……。」

 マナの言葉にプラズマが戸惑いの色を見せた。


 「宇宙空間みたいなところでスサノオ様に会ったの……。それから……。」

 「あんた、の世界からこっちに来たのか!?まいったなあ……。」

 マナが最後まで言い終わる前にプラズマが目を見開いて叫んだ。


 「伍の世界?えっと……五番目の世界って事?なんでそんなに世界がいっぱいあるの?」

 マナは頭をひねりながら知っていそうなプラズマに問いかけた。

 しかし、プラズマは首を傾げた。


 「知らん。伍の世界はこちらでは全く資料がない。俺だって肆の世界から来たんだぜ。あ、肆の世界って未来の世界なんだってな。まあ、あんたとは同一じゃないけど俺もここじゃあ異世界人って感じか?なんか違うかな?」

 「と、いう事はプラズマさんは私とちょっと近い立場にあると?」

 「たぶん。」

 なんだか煮え切らない答えが返ってきたがマナはなんとなく安心した。自分と同じような境遇の人がいたという事がマナの警戒心を解いた。


 「私、ここで生活をしていかないといけないみたいなんだけどここはバイトとか通貨とかどうなの?あなたは私よりも早くにこちらに来たみたいだから、知っているかな?」

 なんとなく話せそうな感じだったのでマナは質問をしてみた。


 「んあ?あー……たぶんバイトはあるし、通貨はここは日本だから『円』だな。」

 「私達の世界と一緒だ。ここは神がいるだけで私達の世界と変わらないって事かな?」

 「あんたの世界は神がいないのか?」

 「いないよ。」

 プラズマの言葉にマナは小さく頷いた。だから戸惑っているのだと思いながら。


 「ふーん。なんか寂しいなあ。……ああ、こっちの世界は後、戦争がない。世界が分断される前の過去にはあったが。未来は……あんたがどう動くかによってたぶん変わる。俺の世界の時代で起こる……自然共存派戦争もあんたが動くことでなくなる可能性がある。どう動くかまでは色々障壁があって見えなかった。たぶん、そこから沢山の可能性があったんだろう。……あの戦争は……こちらの世界の人間と伍の世界の人間の戦争だったんだ。いつの間にか世界が融合している未来を見てしまった。」


 「世界は分断されていたって……スケールが大きすぎる……。私がその戦争を失くすことができるかもしれないの?」

 マナの質問にプラズマは軽く笑った。


 「まあ、あんたがこっちに来たことでその戦争が起きるってのも間違いじゃない。俺の未来見からするとあんたは天秤だ。戦争が起きる原因を作ったのもあんたでなくす可能性を持っているのもあんただ。俺には力はないがあんたの通る道を確かめる必要がある。俺はだからあんたを探してた。見た感じだとあんたはいいやつっぽいな。」


 「……。」

 マナはプラズマの言葉で詰まった。自分がおとぎ話の世界の主人公になったような気がしてきた。


 ……まるで物語の主人公だ。

 だが事態はマナが考えているほど甘くないらしい。戦争が起きるのは本当でその戦争の引き金が自分で争うのは自分の世界の住人達とこちらの世界の住人達。


 プラズマの言っていることがすべて正しいならマナは慎重に動く必要がある。


 ただでさえ平常心を保つのが必死なのにそんなことを言われたマナはさらに頭を抱えた。

 自然共存派戦争は『時神アヤが関わった事件で少し出てきた』が今のマナが知る由もなかった。


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