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明かし時…最終話リグレット・エンド・ヒストリー14

 ナオは再び上辺の世界へと戻ってきた。アヤの意識がナオから外れたため、そこまで親しくなかったナオは心の深部にいる事ができなかったようだ。

 帰ってきたナオははじめにムスビと栄次の声を聞いた。


 「ナオさん!トケイがっ!」

 「ナオ!トケイが!」

 同時に同じ言葉を発した男二神にナオはビクッと肩を震わせたがムスビと栄次だとわかると安心し、ひと息をついた。


 「大丈夫です。アヤさんがトケイさんの改変をしているのですよ。おそらく。」

 ナオはトケイに目を向けた。トケイは力なく座ったまま上を見つめており、辺りに電子数字が回っている状態だった。足元には魔法陣のような五芒星が緑の輝きを放っている。


 「これで改変は完了する。」

 ふと足元から声が聞こえた。足元に目を落とすとセカイが無表情のままこちらを仰いでいた。


 「現代神がそう判断した事でこちらの弐の世界で時神が生まれる。やはり世界のプログラムは変わらず、いちの世界のバックアップとしてろくの世界も動くというわけか。後に……時神過去神。」

 セカイは突然栄次に目を向けた。


 「なんだ?」

 栄次は訝しげにセカイに尋ねた。


 「軽く予言をしておこう。近いうちにあなたが過去で関わった者達が現れる。幼い少女と銀髪の青年だ。その者達にあなたはかなり揺さぶられるだろう。」


 「なぜそれを言う?予言などしたら道が変わる可能性があり、世界の不変を望んでいるお前達に不利ではないのか?」

 栄次は相変わらず表情のないセカイを鋭い目で見つめた。


 「不利ではない。どうせ道は変わらない。あなたは過去を生きているさんの世界の過去神。過去に戻れば記憶は辻褄合わせのためになくなるだろう。ただ……望みは薄いがあなたが忘れていなければどうなるのだろうかと世界を少し変えてみたくなっただけ。『近いうちに』と言ったが近いと言っても現代にいるあなたが『近いうちに』なのであって過去を生きるあなたは後、二百年後くらいの事だろうか。」


 「……?」

 セカイが言っている事は栄次にはほとんどよくわからなかった。


 「二百年くらい前に存在している今のあなたは、霊史直神れいしなおのかみがデータだけ現代に持ってきた過去神。現代には現代神がいるがこの今の時代、平成の時代を過去だと思っている世界もある。過去、現代、未来はそれぞれ並行していて現代を平成だと認識している世界もあれば過去を平成だと認識している世界もある。


 あなたは過去であるさんの世界から来たのでろくの世界、この平成の時代は未来に当たる。つまりあなたから見るとこの世界はよんの世界。……あなたは過去神なので、この現代を過去だと認識している世界で近いうちにあなたはその者達と関わるだろうという事。」


 「まあ、よくわからんが……今の俺はその後、二百年後にも世界に存在している……という事だな。そして、俺にゆかりのある者が平成の時代に入った時に現れると。」

 「そういう事。」

 セカイの無表情の顔にはすべてが映っているようだった。


 「……もし、栄次が困っている時は……私達が助けられるといいですね……。」

 「そうだね。」

 ナオとムスビはセカイの話を聞き、これから栄次に起こるだろう事をなんとなく想像していた。


 「それに関わるのはあなた達ではない。時神である。過去の世界での平成ではあなた達はこの事を知らない。助ける事は不可能。栄次が事件に巻き込まれることによって一時的に時空が歪み、現代を平成と考える世界、過去を平成と考える世界、未来を平成と考える世界、それぞれの平成の世に存在する時神がそろってしまうがあなた達には関係のない事。」


 「そう……なのですか……。でも、できる事があれば……栄次には散々ここまで助けてもらいましたし……。」

 ナオは心配そうな顔で栄次を仰いだ。ムスビも横で深く頷いている。

 それを見ながら栄次は軽くほほ笑んだ。


 「問題ないだろう。これは俺の問題のようだ。……ただ……お前達の考えはしっかりと持って行こうと思う。ナオ……お前が言った、この世界は『自分だけの都合ではない』という言葉……その通りだと感じた。それはどんなに時間が経っても忘れずにいようと思う。俺は俺の判断で勝手に事を進めぬようにすることを覚えておこう。」

 「……栄次……。」

 栄次の言葉にナオは悲しげな声を上げた。

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