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明かし時…4ドラゴン・キャッスル・ヒストリー8

 ナオ達は後ろを振り返りながらなんとか竜宮内のロビーまで来る事ができた。この竜宮、なぜか天守閣に自動ドアが付いている。自動ドアはスムーズに動き、ナオ達を中に入れた。

 直後、橙の髪の青年が狂気的な笑みを浮かべて飛んできた。


 「ひぃ!」

 ムスビとナオは悲鳴に近い声を上げたが青年は自動ドアよりも少し前の空間から外へと弾き出され、遠くへ飛ばされた。


 「……。」

 ナオ達が茫然としていると飛龍がロビーの柱に背をつけて軽く笑っていた。


 「ははっ。どうだ?いい結界だろ。」

 「結界……そうですか。あなたがこの素晴らしい結界を張ったのですね……。」

 笑っている飛龍にナオは少し安堵の表情を向けた。


 「そうだ!あたしはここに結界を張って竜宮内のシステムを調べる予定なんだよ。アトラクション制御室であやまって何本かコードを抜いちまった馬鹿なカメがいてなあ。そのコードがどうやらでけぇ封印だったらしくてよ。そっから天津(オーナー)が消えちまったわけ。


 なんで天津(オーナー)が消えたかはわかんねぇんだが。だいたい、竜宮制御室は龍神の使いカメは立ち入り禁止だぜ?入るはずもないからカメ除けの結界を張っていなかったらしい。オーナーをなんとか戻したいんだがまったくわからねぇ。お前ら、あたしが助けてやったんだがら今度はお前らが助けろ。歴史神なんだろ?竜宮のシステムの解析くらいできんだろ?」


 飛龍はまくしたてるように言葉を発した。


 「……手伝うのは問題ないですがシステムの解析を私達ができるかはわかりません。時神過去神がいますので過去を見る事はできるかもしれません。」

 ナオは深呼吸をしながら飛龍に答えた。


 「お、そうか!過去神か!じゃあ、歩いてりゃあ勝手に過去が見えるな。」

 飛龍は栄次をまじまじと見つめた。


 「……俺が役に立つのならば努力するがあまり自信はない。」

 栄次はため息交じりに言った。


 「大丈夫だ。さっさと行くぜ。こっちは時間がねぇんだよ。あたしはあの狂喜乱舞の龍神オレンジ君と戦いてぇんだけどなあ。」

 飛龍は頭を乱暴にかきながらロビー奥の階段を上り始めった。


 「なんていうか……グラマーだけど不良少年みたいな感じだな……。釘バットとか持ってそう……。」

 ムスビが小さい声でナオにささやいた。


 「……少し下品ではありますが今は従いましょう。普段は絶対に入れない竜宮制御室へ入れるのですから。」

 ナオは頭を抱えながら飛龍が消えて行った方向へと足を進めた。


 「ナオさん、ついでだからあの龍神の歴史もチェックさせてもらったらどう?」


 「ええ。あの龍神はかなり昔から存在しているようですね。見せていただきましょう。本当はワイズの城で会った天御柱神(あめのみはしらのかみ)の歴史も見たかったのですが、余裕がありませんでしたね……そういえば。あの女神ならば見る事ができるでしょう。」


 ムスビにナオは大きく頷いた。


 「とりあえず、今は追うぞ。」

 栄次がロビー奥の階段を上り始めた。ムスビとナオも頷くと栄次にならい階段を上りはじめた。

 階段を上り終わった先は闘技場だった。


 「ここは……。」


 「ああ、本当はあたしのアトラクション会場なんだけど今はやってねぇんだよ。本来はここの階段は関係者しか使わなくてあのロビーの奥にあるエレベーターがアトラクション入り口だ。そんでそのエレベーターの横の廊下から観光客用の観光名所と宿泊施設へ行ける。今はここを通った方が速いから闘技場を横切っているんだ。」

 飛龍がナオ達の質問に素早く答えた。


 闘技場はかなりの広さだった。ナオは飛龍が龍の姿になったらちょうどいいくらいかなどと思いながらただ、飛龍の後を追っていた。


 闘技場の真ん中へ来た辺りで突然、空気が変わった。禍々しい神力が再びあふれ始めた。


 「……っ!」

 「……あーあ……結界、破られちまったみてぇだわ。」

 戸惑っているナオ達に飛龍はどこか嬉しそうに振り返った。


 「あ、あんた、なんで嬉しそうなんだよ……。もう一回さっきの結界張ってくれよ!あいつが来るじゃないか!」

 ムスビが怯えながら飛龍に言い放った。


 「もうあそこにいるぜ。」

 飛龍は半笑のまま先程ナオ達が階段を上ってきた辺りを指差した。橙色の髪を持つ青年が血相を変えて突っ込んできた。


 「うわあああ!や、やべぇ!」

 ムスビが叫んだ刹那、飛龍が走り出した。


 「やっと入ってきたかよ!」

 「飛龍……てめぇ……竜宮に結界を張りやがってぇ!」


 橙の髪の男が水の槍を振り回し、飛龍に襲い掛かった。飛龍は手を前にかざして炎を相手に放った。

 橙の髪の男は水の槍で飛龍が放った炎を斬り、さらに突進してきた。飛龍は男の間合いに入り、固い拳で槍を軽々と弾いた。


 二神の攻撃の余波が衝撃波となりナオ達を襲う。


 「きゃあ!」

 ナオはあまりの風に小さく呻いた。


 「ナオさん!」

 ムスビはナオを庇い、栄次はムスビとナオを庇うように立った。


 「そこの……時神過去神、栄次だったか?あんた、強そうだから言うぞ。歴史神達を連れてさっさと先へ行け。こいつはあたしが止めなきゃならねぇらしい!」

 飛龍は男と激突しながら栄次に笑いかけた。


 「……お前一神で大丈夫か?俺も微々たる力だが戦うぞ。女一神を置いて行けない……。」

 「いいから行けって。あたしはいま凄い興奮してんだよ!あたしは戦闘狂だからなあ!……おらおら!どうした?そんなもんか?」

 飛龍は男を心底楽しそうに攻撃しながら栄次に言い放った。


 「……。仕方あるまい……。任せる。お前は確かに俺よりもはるかに強い。」

 栄次はナオとムスビの肩をそれぞれ叩くと走り出した。


 「栄次!」

 「早く行くぞ。俺達がいるから彼女は本気で戦えないのだ。」

 栄次の言葉に茫然としていたナオとムスビは慌てて栄次の後を追った。

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