ゆめみ時…最終話夜の来ないもの達10
ふと気が付くとライ達は真っ白な世界にいた。弐の世界にいるのとは少し違う、ふわふわと浮いたような感覚があった。
「ここは……。」
ライは辺りを見回した。まわりはただ真っ白で何にもなかった。自身の足を見ると足が地面についていなかった。というよりも地面がなかった。
浮いているような感覚だと思っていたがどうやら本当に浮いているようだ。
「何……?ここ。」
スズが不安げにライを見上げる。
「ま、まさか……伍の世界!?」
トケイが上ずった声でライ達に叫んだ。
「ここが……伍の世界……ですか?でしたら私達は消えてしまいます……。」
セイがトケイの言葉を聞き、怯えながら何もない真っ白な世界を見つめた。
ライ達が不安げな顔で一か所に固まっていると機械音声のような声が耳に届いた。
「霊的な者達がここに来るとは……珍しい。」
「だ、誰っ!」
ライが声のする方を向き、声を上げた。
「私は弐と伍を結ぶ結界。」
「弐と伍を結ぶ……。」
スズが小さくつぶやいた刹那、ライ達の前に幼い少女がホログラムのように現れた。
少女は髪の毛から肌から服からすべてに色がなかった。ただ真っ白な少女。目にも瞳はない。ただ、頭に刺さっているツノのようなものだけ機器によくついている電源のマークが緑色で描かれていた。
「この世界のKとも言う。」
「K!?」
トケイが真っ白な少女に思わず聞き返した。
「私が立っている先へは行かない方がいい。この先が伍の世界との境界である。踏み入れたらあなた達は消えてしまうだろう。」
白い少女は表情無く淡々と言葉を発していた。
「……消えてしまうって……結局伍の世界って……。」
さすがのスズも少し質問が弱気になっていた。
「あなた達は時神と芸術神。知らなくてもいい事実だが……ここまで来てしまった以上、話すしかないだろう。」
白い少女が自分のすぐ後ろを振り返って見つめ、口を閉じた。
ライ達は息を飲んで少女が話す続きに耳を傾けていた。
「……この世界が分かれたのはここ、百年間の内である。百年近く前に世界で大きな戦争が起こっていた。壱の世界も反転する陸の世界もどちらも国同士で激しく争っていた。負の感情が渦巻くひどい世界だった。日本だけならまだしも、世界中で同じ時期に一気に起こった戦争だったからいままでとは比べ物にならないくらいの負の感情が世界を渦巻いた。」
「……世界……大戦……。」
ライが目を伏せ、悲しそうにつぶやいた。
「そう……。世界大戦だ。……世界ではそれぞれの神を上辺に持ち上げて争い……日本では……アマテラス大神を持ち上げていた。」
白い少女は伍の世界だと思われる遠くを見据え、息を吐くと続きを話し始めた。




