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ゆめみ時…4夜は動かぬもの達5

 静寂が包む夜の世界、ノノカのお姉さんの世界にいるライ達は陸の世界にいるという人形と会話しているセカイを黙って見つめていた。


ライ達はオムライスを食べ終え、今は一か所に固まりセカイの会話を聞いている。


 「ロク……少し頼みたいことがある。」

 セカイが一言声を発するとセカイの目の前の空間がわずかに揺らぎ、少しだけこことは別の空間が現れた。


まぶしい太陽光と木の枝が映る。その木の枝にちょこんと座っている手のひらサイズの人形。銀髪で手前の方だけ髪が長い。


後ろの方は短く切りそろえられていた。紺色に柄がついている羽織と紺色の袴を履いている。目は大きい。やや可愛らしい顔つきをしているが男の子のようだ。


 「何?僕に何か用?」


 男の子は足をゆらゆらさせながらセカイに声をかけた。どうやらこの別の空間は陸の世界らしい。


 「弐の世界で異常事態が発生している。この世界から陸の世界への道を開いてほしい。」


 「君がいるその世界で関連がある者でないとこちらに来れないよ。」

 「問題ない。関連する。陸で生活する特定の人物にこれから起こることは夢であると認識させる必要がある。」


 「それは少し世界がおかしくなるかもしれないよ。でもま、陸の世界の人を夢か現かわからないようにすることはできるよ。弐の世界のエネルギーの一部を使って個体が持つ感情エネルギーと化学反応を起こさせれば。」


 ロクと呼ばれた銀髪の人形は深く頷いた。


 「これから陸の世界に行ってもらう人物は壱の世界の人間で現在睡眠中で弐に来ている。壱の世界での矛盾もそちらで対応してほしい。」


 「では壱の世界にいる僕の兄貴……イチには僕が連絡をしておこう。それで……」


 ロクが続きを話そうとした刹那、セカイがハッと上空を見上げた。


更夜達もいち早く気が付き、セカイにならって上空を見上げる。夜の闇を縫うように降りてきたのはセイだった。それを追うように闇に紛れてトケイも飛んできた。


 「……どうしたんだい?エネルギーの交換と陸への門の手続きなんだけど……。」


 ロクは不思議そうにセカイに尋ねた。ロクとセカイはお互い映像を流しながら会話をしているらしく、ロクは弐の世界で何が起こったのかよくわかっていなかった。


 セカイはライ達を横目で見ると口を開いた。


 「私はこれからロクと手続きをしなくてはならない。すぐに終わる。だがその間、私を守ってほしい。」


 セカイはそう一言言うとロクに向き直った。


 「……サスケとマゴロクは何をしているんだ。」

 更夜は仕方なしに刀を抜いた。


 「更夜、あんたは休んでてよ。傷口開くよ。」

 「そうです!更夜様はケガしているんですから!」


 スズとライが更夜を必死に止めた。


 「しかし……お前達では……。」

 「大丈夫。ここには神様がいるんだから!ね?ライ。」

 スズはライの背中をポンポン叩いた。


 「うん!セイちゃんは私の妹だから!私が頑張らなくちゃ!」

 ライが意気込んでいるのを見て更夜はため息をついた。


 「頑張るのはいいが、攻撃してくるセイを回避しながらセイを攻撃するトケイの攻撃も弾かなくてはならないんだぞ。」


 更夜は憐夜を背に回しながらこちらに向かってくるセイを眺めた。


 「ここは弐の世界。芸術神が強くなる世界です!私も負けません。」


 ライは筆を取り出した。こちらに向かってくるセイは笛を取り出す。そしてセイはその笛を乱暴に吹き始めた。不規則で耳障りな旋律がまわりの木々を破壊していく。


 「ま、まずはセカイを守るよ!」


 ライは筆を器用に動かして空中に何やら絵を描き始めた。


その絵は徐々に形を映し出し、やがて大きな壁になった。壁といっても透明な下敷きのようなものである。


その結界に近い壁をセカイのまわりに飛ばした。その壁はセカイを囲うように建ち、固定された。


 「ライ、あの透明な板みたいの何?」

 スズがセイの演奏に耳を塞ぎながら苦しそうにつぶやいた。


 「防音、丈夫な結界だよ。」

 ライは結界のある部分を指差して答えた。結界をよく見るとパソコンやアンドロイドでよく見る無音のマークが描かれていた。


 「な、なるほどね。」

 「この世界は特に想像したものを描きやすいわ!」


 ライはまた何やら描き始めた。ライが描いていたのは更夜だった。更夜を五人ほど描き、出現させた。


 「わっ、更夜が五人も!」


 「お姉ちゃんのマイがいたら演劇をしてもらって、もっと動き方のバリエーションを増やせるんだけど私はあくまで止まった固定ポーズを描くことしかできないから動き方は簡単なことしかできないけど、更夜様だったらきっと強いから。」


 五人の更夜は感情なくバラバラに動き始めた。セイを抑えようとする更夜とトケイの攻撃を回避する更夜でわかれて行動しているようだった。


 それを見ていた憐夜と更夜は不思議そうな顔をしていた。


 「お、お兄様がいっぱい……。」

 「……神とは不思議な者だな……。憐夜、流れ弾が当たったら危ない。俺の後ろにいなさい。」

 更夜はライ達を心配そうに眺めながら憐夜を背中に回した。


 「や、やっぱり無理かな……。」


 ライが出した更夜は形だけの更夜なのでトケイとセイに次々と撃退され消されていった。


 ライは再び、筆を動かし、更夜を出現させる。


 「わたしも手伝うよ。」

 スズはライに向かい大きく頷いた。


 「で、でもスズちゃん……。」


 「大丈夫。この世界なら弐の世界の時神現代神として時間停止ができそう。」


 「あ、そうか。スズちゃんは弐の世界での時神現代神だったんだね。更夜様が過去神でトケイさんが未来神だった。」


 スズは軽くほほ笑むと足元から時間の鎖を出して見せた。


その鎖を攻撃を仕掛けたトケイに巻き付ける。トケイの時間は止まり、数秒逃げるタイミングができた。その間に攻撃を仕掛けられた五人の更夜の内の一人はトケイの攻撃をかわす。


 トケイを傷つけず、セイも傷つけずに均衡を保つにはスズの力はかなり強力なものだった。先程よりもやられるスピードが遅くなってきた。


 「すごい。これで少しはもつかもしれない!」

 ライがやる気になってきた時、マゴロクとサスケがやってきた。


 「ん?こりゃあ……何が起こってんだィ?」

 「さあ?」

 サスケとマゴロクは五人もいる更夜に首をかしげながら素早くライ達の前に現れた。


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