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流れ時…2タイム・サン・ガールズ7

「で……?あんた学校行くんじゃなかったかい?なんか知らんが夕暮れになってしまっているが……。」


 サキが小学生のサキにやんわり話しかけた。


 「じゃあ、おうち帰る。」

 「じゃ、じゃあ、あたしもついてっていい?一緒に寝かせてよ。」


 サキは頭が混乱していたのでとりあえず一度寝ようと思った。


 「いいよ。あたしは自分が寝るとこがあればいいから。」

 小学生サキは怪しむ風もなくサキの要求を飲んだ。二人はなんだかわからず今度は自分の家目指して歩き出した。


 山道のような坂を登るとサキの家があった。それは先ほどまで自分がいた家そのまんまだった。


 「家は変わってないな……。あたしんちだわ。」

 サキはほっとした顔で家を眺めた。


 「あんたの家じゃなくてあたしの家だけど……。」

 小学生サキがサキを呆れた目で見つめる。

挿絵(By みてみん)

 「もうなんかいいや。さっさと寝よ。」

 サキはさっさと家に入り込んだ。


 家の中もヒメちゃんが現れた時と何にも変わっていなかった。

 だが、一つだけ変わっていた。


 「お母さん、この人うちに泊めるわ。」

 「!?おかあさん?」


 小学生サキが当たり前に出した言葉にサキは驚いた。


 サキには両親がいなかったはずだ。親の顔もわからない。

 そういうレベルだったのだがこのサキには母がいると言う。


 顔は見たかった。でも身体は無意識に後ろに退いている。

 会うなと言っている。


 しかし、時すでに遅しサキの母と思われる女性がキッチン方面から顔を出した。


 「いっ……!」


 サキは女性の顔を見て蒼白になった。


 「どうぞ……。」

 部屋に招き入れる女性は目がなかった。

 いや、あると思われるが不思議と目が見えない。


 髪の毛は額まで上がっているのにどうしても目だけが見えない。

 なぜか目から鼻にかけて黒く霞んでいた。


 髪は若そうなのに白髪でポニーテールにしている。

 口角が上がっているので笑っているようだ。


 「いらっしゃい。もう一人のサキ。」

 「あたしがわかるのかい?」

 「わかるわ。私の子供だもの。」

 「!」

 サキは何とも言えない気味悪さを感じた。


 「それと……一匹だけ帰還命令を無視したやつがいるわね……。」

 「?」


****


 ジジ……ジジ……とノイズ音のようなものが耳に響く。

 サルは慌てて聴くことに集中した。


 「どうしたの?サル……。」


 アヤが心配そうに見つめる中、サルは細い目をわずかに開いて声を拾う。

 間違いなく太陽からの通信だ。


 いつもはこんなにノイズが入らないのだがやはり太陽になにかよからぬことが起きているのか。


 「太陽から通信でも来ているのか?」

 「まあ、そうなのでござるが……何を言っているのかほとんどわからんのでござる。」

 栄次の言葉にサルはふうとため息をついた。


 「で、結局アヤの家に押しかけちゃったけど夕方になるまでここから出ない気なのか?」

 プラズマはカチカチ忙しなくなっている時計に耳を傾けながらサルに目を向ける。


 ここはアヤの部屋。

 隠れる場所が見つからず結局ここに戻ってきた。

 迷いながらだったがアヤの家は無事にあった。


 「……むむ……。」

 「おい、大丈夫か?」

 「……ど、どうやら、き、帰還命令が出でいたらしいのでござる……。」

 サルはプラズマの言葉に耳も傾けず、ただ頭を抱えた。


 「帰還命令って太陽から?」

 「そうでござる。聞くなと言われても身体が勝手に動く……これが太陽神の使いサル。やはり一度太陽へ行きとうござるな……。」


 「ダメよ!危険なんでしょ?どうせ行かなきゃならないんだからそれまで落ち着きなさいよ。」

 アヤがなだめ、サルは浮かせた尻を元に戻した。


 「わかったのでござる……。無視を決め込むでござる!」

 「とりあえず気が散るならトランプでもやるか?」

 プラズマがトランプを回しながらにこりと笑う。

挿絵(By みてみん)

 「またババ抜き?」

 アヤは呆れた目をプラズマに向けた。


 「だってさ、あんまり複雑なのだと皆わかんないだろ?バックギャモンとかをやろうなんて言ったらルール説明するのもめんどくさいしさ。」


 「なんでトランプでバックギャモンなのかわからないけどあなたの言いたいことはわかったわ。時代がバラバラだし、一匹はサルだものねぇ……。」


 「そういうこと。栄次とかにルールを説明するのにババ抜きって簡単だろ。ジョーカーをひくな!同じやつが来たら前に出せ!それだけでいい。」

 「まあ、確かにね。」


 プラズマはちゃぶ台を持って来て置くとトランプを配り始めた。


 「何度も言うが……俺は人の心がだいたい読めるのだがな……。」

 栄次がつまらなそうにトランプを受け取る。


 「まあ、これなら集中できるから大丈夫でござるなあ。」


 サルは自分のトランプを眺めながらさっと顔を青くした。

 おそらくババが配られていたのだろう。


 「わかりやすい男ね……。」

 アヤは頭を抱えると自分のトランプを眺めた。


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