表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
三部「ゆめみ時…」霊界と忍と時神の話
300/560

ゆめみ時…2夜に隠れるもの達13

 「……はっ!」

 ライは声を上げた。

 「ライ?」

 隣でトケイが不思議そうにライを見ていた。

 「……え?」

 ライはゆっくりあたりを見回す。目の前には困惑した顔のセイが立っており、半蔵と才蔵がセイを気にかけていた。

 ……戻ってきた……?

 ライ以外は先程の記憶を見ていないようだ。時間もまったく進んでいない。トケイ達はライが突然、声を上げたことに驚いていただけだった。

 「お姉様とトケイはそのまま監視してください。そして敦盛さんを探してください。」

 セイは半蔵と才蔵に言い放つと笛を握りしめたまま歩き出した。

 「まあ、情報はないですが探せない事もないでしょう。更夜達を排除してから探しに行きますよ。ここにいる他の忍達にはもう行ってもらいましょう。」

 才蔵はセイにそう答え、手をすっと上げた。刹那、ライ達のまわりにいた忍達は全員消えるようにいなくなった。それを確認した才蔵は何事もなかったかのようにセイの後を追って去って行った。

 「じゃあ、それがしはここで女神とトケイの監視でもしていましょうかね。他のやつらが攻めてくる可能性もねぇとはかぎらねぇですからね。」

 半蔵は不気味に微笑むとライとトケイの前に座り込んだ。

 才蔵が出て行ってしまってからトケイはそっとライに耳打ちをした。

 「まずこの縄を解いてさ、あいつを倒してから更夜とスズを助けに行かないといけないよね。」

 「助けに行きたいけど……この縄をどうやってとるの?」

 ライも半蔵に聞こえないように精一杯声を落としてトケイに答える。二人がこそこそと話していると突然半蔵が笑い出した。

 「ふふ……。お前さん達ねぇ……全然隠せてねぇですよ。忍、なめてねぇですかい?」

 「!」

 ライとトケイは驚きの表情で半蔵を見つめた。

 「それがしを倒すとか……げぇむ感覚はやめなさいな。それがし達は軽い気持ちでこの仕事やってねぇんですよ。それからなあ、それがしはおめえさんらに傷つけたくねぇ。大人しくしておくのが良いって事です。」

 「それは嫌だ。僕はお前の言う通りになんて動かない!」

 トケイは意気込みながら半蔵に声を上げた。

 「やれやれ。ではそれがしがもっとも得意としている影縫いをかけてあげましょうかね。」

 半蔵はため息交じりに針をトケイの影に向けて投げ、人差し指を立てた。

 「……っ!」

 突然、トケイがその場に倒れた。ライは突然倒れたトケイに困惑しながら叫んだ。

 「えっ!トケイさん!トケイさん!どうしたの!」

 「忍法影縫いの術ってか?」

 困惑しているライに向かい、半蔵がにやりと笑った。

半蔵が指を少し動かした時、トケイが突然、操り人形のように立ち上がった。

「う……動けない……。」

トケイは苦しそうに声を発していた。体がまったく動かないようだ。

「お前さんはもう、それがしの傀儡人形ってわけです。指でこう動かすと……。」

半蔵は人差し指を少しだけ動かした。刹那、トケイは意思に反してライに殴り掛かった。

「と、トケイさん!?」

「や、やめろ!」

 怯えるライにトケイは必死で拳を戻そうとするが身体がまったくいう事を聞かない。トケイは焦って半蔵に叫んだ。トケイの拳は何故かライの額すれすれで止まった。

 「と、まあ、こういう事だ。この子を傷つけたくはないだろう?だったら大人しくしていなさいな。」

 半蔵はケラケラと笑う。反対にトケイは額から粟粒の冷や汗をつたわせ、体を震わせていた。

 「……。」

 「逃げられると思ったら大間違いだ。それがしら忍は常に本気。じゃねぇと殺されちまいますからねェ。おめえさん達には傷をつけるつもりはねぇですがおちょくっているわけでも手を抜いているわけでもねぇですよ。ただ、傷つけずに動けなくするだけです。だから大人しくしてろ。」

 半蔵の威圧にトケイとライは怯えながら黙り込んだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ