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ゆめみ時…1夜を生きるもの達15

 ライはこちらを睨みつけているショウゴに怯えながらマゴロクを仰いだ。

 「主は話したくないと言っているよ。とにかくあんたは主を現世に連れてってやればいい。」

 マゴロクは冷たい声でそうつぶやいた。

 「それはできないってば……。ん?」

 ……『青色』?あれ?この人達、魂に色がついてる……おかしいな。いままで『色』なんて見えなかったのに。

 ライはもう一度、ショウゴとマゴロクを見比べた。

 「……?」

 マゴロクの少し戸惑った顔を瞳に映しながらライは確信した。

 ……この人達……魂の色が同じ……。そうか!魂の元……基質が一緒なんだ。あ、でも確か魂に先祖とかは関係ないんだよね。本で読んだ。

……弐の世界の魂が生まれ変わる時、基質だけ持って壱の世で生まれ変わる。その時に弐にいた元々の魂が消えるわけじゃなくてその魂は弐に残り続ける。

……壱では基質を持っただけの新しい魂が命として生まれ、弐では元々の魂がいるって事。つまり分裂って感じ。壱に降り立った時に新しくなれる生物が自分の子孫とはかぎらない。

……だっけ?天記神の図書館でこの辺の記述は読んだ事あったけど実際に元が同じ魂に会った事ははじめて!魂の色って気づいてなかったけどわかるものなんだ……。

 ライはふんふんと一人で納得した。

 「マゴロク、何をしてもいいから言う事を聞かせろ。俺はノノカを殺したいんだ!」

 ショウゴはいらだちながら立ち上がった。

 「しかたないなあ。俺はやりたくないんだけど……傷をつけるのは最後にして、まずは女が嫌がる事からしてやろうか。これで効かなけりゃあ暴力しかない。」

 「!?」

 マゴロクは深いため息をつくとライの身体にそっと手を伸ばした。ライは糸縛りを受けていて身体が動かせない。

 「え……?やだ!やめて!」

 ライは再び絶望へ落とされ、叫んだ。

 「大丈夫。いずれ気持ちよくなる……。」

 マゴロクの声がライの耳元でする。マゴロクは糸縛りを切り、ライを地面に寝かせた。

 「ひっ……。」

 マゴロクはゆっくりとライの太ももを触り、もう片方の手で胸あたりを撫でる。パニック状態のはずだがライの頭はぼうっとしてきて何故か頬が紅潮してきていた。糸縛りを解かれたのに逆らう気がまるで起きなかった。

 「あんたが望みを持った時、もっとほしいと願った時、俺の言うことをなんでも聞く。」

 マゴロクの声がまた耳元でした。マゴロクの指先が太ももを触る。

 「うっ……ん……。」

 ライの身体が電撃を走らせたかのように意思とは無関係に動きはじめた。

 「あんた、ずいぶん色っぽい声出すな……。足触っただけ。こういう風にされるのが好きなのかね?……俺の催眠に完璧にハマったな……。はじめからこれ、使っていりゃあ良かった。」

 マゴロクが冷徹な笑みを浮かべる。

 「そんな……やだ……やめて。」

 ……何これ……頭がおかしくなりそう……。

 ライは潤んだ瞳でマゴロクを見つめていた。怖かった気持ちはどこかへ消えてしまい、段々とこの快感を求めずにはいられなくなっていく。指が触れるたびに反応し、喘いでいる内、自分がいままで何をしていたのかわからなくなってしまった。ただ、目の前にいるマゴロクに触られ、快感を覚える事に幸せを感じていた。

 「んん……そこ、いい……。」

 ライは身体を痙攣させながらうっとりと言葉を発する。

 「そうかね……。それは良かった。これは肩」

 マゴロクの冷酷な声も今のライには甘い言葉のように聞こえた。

 「あんたがもっと求めるなら俺があんたをもっと気持ちよくさせてあげよう。」

 「も……もっと……。」

 ライが喘ぎながらマゴロクに手を伸ばす。

 「ただし、あんたが俺の言うことを聞くならだが。」

 「きっ……きく……。」

 「では主を現世に連れて行け。」

 「そしたら……。」

 ライがマゴロクに甘えた声を発した。マゴロクは再び指を滑らす。そしてある一点を触った。

 「っ!」

ライの身体がびくんと大きく動いた。

 「ここかね……。今の快感をもっと味わいたくないか?」

 マゴロクは自身の指をライの唇に当てる。

 「……わ、わかった。現世に……ん……つ、連れてくね……。そうすればもっと……。」

 ライは口元に笑みを残してふらりと立ち上がった。

 「これでよしと。神にも効くんだね、これ。拷問にいかないで正解だった。ショウゴ君、かかったよ。……って、なに真っ赤になってんだ?腕とか触っただけだが」

 「っち、しれっとやりやがって……。」

 ショウゴは顔をわずかに赤くすると表情変わらずのマゴロクに向かい叫んだ。

 ライがうっとりした顔のまま、ショウゴに向かい歩き出した刹那、人影が一瞬通り過ぎ、ライを抱えて走り出した。

 「なんだ!」

 ショウゴは突然の事に驚きの声を上げていた。

 「……ん?サスケかね。余計な事を。」

 マゴロクは人影を追い、ショウゴの前から消えるようにいなくなった。



 気がつくとライはサスケに抱えられていた。あたりは目まぐるしく流れていくのでよくわからない。おまけに暗いので現在位置も謎だ。サスケの足音はまるでないが走っているようだ。あたりは夜の空間とときたま吹く風の音しかなかった。

「マゴロクはけっこう幻術も得意なんだィ……。ワシは派手なのが得意だけんどねェ。ホレ、目を覚まさんか!更夜の居場所に連れてってくれな?」

 サスケはぼうっとしているライの目を覚まさせた。

 「……もっと……もっと……気持ちよく……って……ふえ!?なんで私を抱きかかえているの!?」

 ライは潤んだ瞳をサスケに向けていたが突然、我に返った。

 「はーん、効き目は絶大かィ。ずいぶんな乙女ちゃんなこって。」

 「……えっ!ええ?」

 ……わ、私……何言ってたの!?今……。

 ライは顔を真っ赤にすると黙り込んだ。

 「黙られると困るんだがァな。さっきからマゴロクが後ろついて来て困っているんだィ。今、同じところを動き回っているが先に進みたいんで更夜の場所、教えてくれな?」

 サスケは今、マゴロクに追われながら同じ所を円形状に走っている。

 「更夜様?わからないよ……。」

 「わからねィ?あんた、仲間っぽいからてっきり居場所知っているのかと思っていたがァね。知らねぇんかィ。じゃあ、てきとーに進むしかねィな。」

 ライの言葉にサスケは呑気に答えた。

 「あ、あの……。」

 「ああ、あんたはこれから人質だァよ。」

 「人質!?」

 ライが不安げな声を上げた刹那、サスケは先程とは比べ物にならない速さで走り出した。

 ……はっ、速い!子供みたいなのに……。に、忍者って怖い……。

 ライは震えながら目を瞑り、サスケにしがみついていた。

 「どうだィ?マゴロク、ワシについてこれるかなァ?」

 「ちぃ!速いな……サスケ。手負いじゃなければもっと速いだろうに。サスケをあそこまでしたのは……更夜かね?」

 マゴロクは八身を使って逃げるサスケにかろうじてついていっている状態だった。

 「残念だがねェ、まともには追わせねィよ。ははは!」

 サスケは軽く笑うと爆薬を投げた。爆発の音と砂塵が舞い上がる。視界が悪い中、マゴロクは必死でサスケを探した。

 「甲賀流、微塵隠れかよ……。さすが得意忍術だけあるね……。だが派手過ぎだろ。っち……見失ったね……。こりゃ。」

 マゴロクは舌打ちをするとサスケを追いかける術を探しはじめた。

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