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ゆめみ時…1夜を生きるもの達3

 「ん?何?」

 「どうしたのよ?」


 スズとトケイは声を上げたライに驚きながらも話を聞く体勢になった。


 ……あ、えっと……どうしよう……。なんか待ってとか言っちゃったよ……。

 特に意味もないのに……。なんて言おう……。


 ライは唾をごくんと飲み込むとしかたなく口を開いた。特に何か考えがあったわけでもない。


 「も、もう少し、いさせてもらってもいいかな?」

 「ん?」

 「んん?」


 ライの発言にスズとトケイは固まった。何故ライがまだいるつもりなのか考えているようだ。


 「あ、えっと……も、もう少し、この辺を見てみたいの!」


 ……ああ、更夜様の側にもっといたいなんて言えない……。


 ライは顔を赤くしながら叫ぶ。


 「え……あ、そう……。」

 スズは困惑した顔をトケイに向ける。

 トケイも首を傾げていたがすぐに頷いた。


 「まあ、いいんじゃない?僕はお客さんだと思えるよ。」

 トケイは無機質な目でライを見つめる。


 「ちょ、ちょっとでいいの……。その……。」

 「ははーん。さては更夜が目当てかなー?」


 スズが意地悪な顔でライを仰いだ。ライはブンブンと頭を横に振る。


 「ち、違うよ!」

 ライが顔を真っ赤にして否定しているのでスズはふふっと笑った。


 「まあ、いいわ。うちでお茶でもしましょうよ。」

 スズはどこか嬉しそうな顔でライの肩をポンポンと叩いた。


 「ほんと!ありがとう。」

 「あれ?本当に嬉しそうだね。」

 トケイがライの瞳を覗き込むように見てきた。


 「トケイ、彼女は本当に喜んでいるの。」

 スズに言われ、トケイがなるほどと軽く頷く。


 「あ……その……。」

 ライが戸惑っているのでスズはそっと手をとり歩き出した。


 「スズちゃん!?」

 「落ち着きなさい。それじゃあ話もろくにできないわよ。ね?」


 スズは突然、きれいな娘に変身した。

 

 先程の子供姿とは違い、何故か彼女は成長した。年齢はライよりも年上か。

 大人っぽい顔つきなのでよくわからない。


 紅いきれいな着物はしっかりと大人サイズに変わっている。


 「あ、あれ?なんか大きく……。」

 ライは目をパチパチさせてスズを仰ぐ。


 「これが本来のわたし。

 まあ、子供の時に死んだんだけどいつまでも子供だと正直きついのよね……。


 だから姿を大人に変えているの。弐の世界は魂で肉体がないから実体をつくるのにかなり自由なのよね。そこが魅力❤」


 スズは妖艶な声でライの耳にささやいた。女のライでさえ、なんだか恥ずかしくなり顔を赤くする。不思議な魅力を放つ姿だった。


 「は、はあ……。」

 「さ、行こう?お茶をお出しするよ。」


 スズは言葉がないライをただ引っ張り、家の中へ入って行った。



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