かわたれ時…最終話時間と太陽の少女〜タイム・サン・ガールズ20
「ん?流史記の神力だな。」
みー君は歩きながらヒメの神力を感じ取った。もう階段は登りきっている。今は門から中へ入ろうとしているところだった。
「だねぇ。ヒメちゃんの神力の方には行ってはいけないって言ってたから裏門から入ろうか。」
サキは暁の宮の表門ではなく裏門の方を指差した。裏門も表門と同じくきれいに装飾されている。
「で?お前は母親の位置、わかっているのか?」
みー君は裏門に向かいながらサキに質問を飛ばす。暁の宮はかなり広い。長く暁の宮に出入りしたみー君もまだすべての場所を知らない。
「うん。なんとなくだけど。」
サキが短く言葉を返した刹那、暁の宮最上階で瓦屋根が吹き飛んだ。かなり大きな爆発だったのか炎があたりを渦巻いている。かなりの衝撃と音がサキ達を貫いた。
「なんだ!」
「もうそんな時間帯なんだ!あそこにお母さんがいる……。時神も。」
「ふふふふ!」
みー君とサキが爆発した場所を同時に見上げた時、マイが不気味に笑った。
「……?」
サキは突然笑い出したマイを訝しげな目で見つめた。
「まあ、行ってみると良い。」
マイの発言にみー君は顔を曇らせた。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味だ。」
みー君とマイはお互いを睨みあう。
「みー君、とりあえず最上階まで連れて行っておくれ。」
サキはまっすぐ最上階の屋根付近を睨みつけていた。
「連れて行ってくれって……中に入らないのか?」
「お母さんは最上階の部屋にいるんじゃない。この時は屋根の上に時神といたんだ。」
「そうなのか?……それじゃあ飛べば行けるな……。」
みー君はどこか必死の表情を浮かべているサキにそっとつぶやいた。
「頼むよ。みー君……。」
サキに向かい頷いたみー君はサキの手をとると大きく地を蹴った。みー君は風となりサキとマイを空へ巻き上げる。風は台風のようだったがサキはみー君にしっかりとつかまっていた。
竜巻に巻き込まれたかのようにサキはグルグルと回っていたが気がつくと瓦屋根の上にいた。
「うう……気持ち悪い……。みー君、なんとかならなかったのかい?」
「悪いな。俺は厄災の神なんで前も言ったと思うがこういう風になる。」
サキは吐きそうな顔でみー君を見上げたがみー君はケロッとした顔をサキに向けていた。
「ここは最上階じゃないのかい?」
「一つ下だ。いきなり最上階に行ったら時神とかに会う可能性があるんだろ?」
「そうだねぇ。」
みー君の言葉にサキは軽く頷いた。
「弱々しいがお前の神力も上から感じる。……お前の母親から厄が出て行った形跡はない。お前の母親は相変わらず厄を持っている。」
「じゃあ、あたしの中にある厄っていうのはいつ……あたしの中に……。」
サキは焦りの表情を表に出した。もうそろそろこの歴史は終わってしまう。解決できずに終わるのはサキの選択の中になかった。
「もう少しだ。もう少しであなたは面白いものが見れる。」
マイがクスクス笑いながら険しい顔をしているみー君を見上げた。
「……なんだと……。お前、何か知ってやがるのか?やはり。」
みー君がマイを問い詰めようとした刹那、マイがオレンジ色の空を指差した。
「見ているのだな。はじまるぞ。」
「……。」
マイの言葉を最後にみー君とサキは言葉を失った。
みー君とサキが最上階付近にくる少し前、アヤとプラズマは最上階にいたサキの母、アマテラスと対峙していた。栄次は少女のサキと現在交戦中だった。サキの母は意識のない参のサキを連れ時神二神、アヤとプラズマに余裕の笑みを浮かべていた。




