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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
二部「かわたれ時…」太陽神と厄神の話
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かわたれ時…最終話時間と太陽の少女〜タイム・サン・ガールズ15

覚えている方は飛ばして構いません部分です!

(さん)だが(いち)の世界。


太陽が昇り、お昼をまわっていた。突然、アヤ達の前に太陽神達、使いの猿が現れた。


太陽の者達はアヤ達を殺そうと必死になって襲ってきた。夕方になるギリギリまで身を隠して太陽に侵入し、陸に降り立つはずだったアヤ達は出鼻をくじかれた。とりあえず太陽までもう行ってしまい、危険だが暁の宮で身を隠し、陸へ行く予定に変更した。


 何故、時神を太陽神達が消そうとしているのかはよくわからないが陸に行ってしまった参のサキが重大な手がかりであるとアヤ達は思っていた。


 現在、アヤ達は太陽神達の攻撃を必死でかわし、暁の宮に入り込んだばかりだ。


 不思議な事に誰もいない。この時の暁の宮は自動ドアとエスカレーターがある最新式の設備であった。エスカレーターだけが静かに動く音がする。


「で、ここのエスカレーターの三階にワープ装置があるのでござるが……静かすぎて怖い……。」

サルが不安げな顔で時神達を見回した。


「確かにな。なんか罠にでもはまっているのか?」

栄次が不吉な事を言うのでサルの顔がさらに青くなった。


「命令が変わったんじゃないの? だってさっきまで追って来た太陽神が追っかけてこないじゃない。」

「小生には何も命令が聞こえんでござるが……。」

サルはそわそわと耳を傾ける。


「当然じゃない。あなたは命令を破ったんだから。」

サルは不安そうにアヤを見た。しかし、なぜか言ったアヤ本人が動揺していた。


「え、今の私じゃないわよ。私の声だったけど私、しゃべってないわ。」

「おいおい……冗談よせよ。じゃあ、今の誰なんだよ。」

プラズマも驚いた目でこちらを向いた。


「……。鏡と影……でござるな。」

サルが細い目を少しだけ開いてあたりをうかがった。


「鏡と影?」

気がつくとアヤ達の周りを丸い鏡が浮遊しながら複数まわっていた。


「なんだこれは……。」

「なんかやばそうだぞ。」

栄次とプラズマはまわる鏡を油断する事なく目で追った。


「影がその人の形をつくり、鏡が光を反射させて色をつける……太陽神の高等な術でござるな。」

「つまり何なのよ。サル。」

「……クローン。同じ者同士で殺し合うための術でござる。」

そうこうしている間に鏡からアヤと全く同じ人物が現れた。続いて栄次、プラズマも出現する。


「鏡は本来、神への……太陽神への供え物だったがこんな事に使われていたとはな。」

「この術は禁忌のはずでござる。」

サルは刀を構えた栄次に弁明した。


「とりあえず、敵は俺達の足止めか同士討ちを期待しているらしいな。」

栄次の声と同時に自分の分身が襲ってきた。四方八方は鏡に覆われて逃げ出す事はできない。


「そうでござるか。この宮自体がもしや鏡……。」

サルは分身の攻撃をかわしながらつぶやいた。


「宮自体が鏡だって? じゃあ、まんまと罠にはまったわけだね。」

プラズマは正確に銃を扱ってくる分身を避けながらサルの近くによる。プラズマはある程度弾丸を予想して避けている。いつ当たってもおかしくない状況だ。


「さすが自分だけあって脳天ばかり狙ってくるな。」


「うむ……この状況……どうすれば好転するのでござるかなあ。」

サルは剣と鏡の盾で分身と応戦している。


「なんかこの術を止めるパスワードとかないのか? だいたい、術なら解除の方法があるはずだ。」


「うう……それは太陽神しか知らぬ極秘のものでござる故……。装置は五階にあるのでござるが……。」

プラズマとサルは肩で息をしながら攻撃を必死で避けている。


「この中で一番、安全なのは……私よねぇ……。」


アヤは状況を見ながら分身と対峙していた。アヤの分身は何もしてこない。


彼女はもともと何もできないただの高校生だ。性格まで受け継いでいるのだったら戸惑って何にもしてこないだろう。これは間違いなく太陽神達の盲点であるはずだ。


「アヤ……お前は平気なのか?」

分身とつばぜり合いをしている栄次が近くで立っているアヤを横目で見てきた。


「え、ええ。別に……。」

「じゃあ、今のサル達の話聞いたか?」

「え? ええ。なんかパスワードがあるとかないとか……。」

アヤは戸惑った顔を栄次に向けた。


「術を止めに行って来てくれないか?」

「え? 私が?」

「アヤしかいない。」

「できないわよ。パスワードわからないじゃない。」


「すまない。動けるのはアヤだけだ。」

確かにこの状況で動けるのはアヤだけだ。アヤは少し迷ってから走り出した。


「……っ。どうなるかわからないわよ!」

捨て台詞のようにはいてアヤはがむしゃらに走った。四方八方にある鏡を避けながら廊下に出る。パスワードは知らない。


でも何かできるかもしれない。特に計画があるわけではなく、当たって砕けろ精神でアヤは駆けだしたのだ。


「危険な予感を感じたらすぐに戻って来い。」

栄次の声を聞き流しながらアヤは走った。



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