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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
二部「かわたれ時…」太陽神と厄神の話
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かわたれ時…最終話時間と太陽の少女〜タイム・サン・ガールズ14

少女のサキと参のサキは特に何も会話せず山の中にあるサキの家にたどり着いた。


その後をサキとみー君が続く。サキとみー君は道ではなく草木が覆い茂る危ない所を進んでいた。万が一、見つかってしまったら色々とまずいからだ。


「サキ、大丈夫か?」

「あたしは大丈夫だよ。」

サキは荒い息を漏らしながらみー君を見た。二人はようやくサキの家付近まで来ることができた。木々の中に隠れ、家の様子を伺う。


「張り込みって言ったらアンパンと牛乳か?」

みー君が少女のサキと参のサキを観察しながらつぶやいた。


「アンパン、牛乳なんて古いよ……。今はおにぎりとかがいいんだってさ。腹もちがいいしねぇ。」

サキは、てきとうに会話をしながら家の中に入って行く少女サキと参のサキを見ていた。


「……そうかよ……。なあ、あの家の中で変な神力がするんだが……。」

みー君がぼそりと言葉を発した。


「変な神力だって? あの家の中には今、あたしが二人とお母さんがいるだけだよ。」


「二人のサキの方じゃない……。あれの神力は感じ取れる。もう一人の神力だ……。お前の母親か……。アマテラス大神の神力の他に厄神の力を感じる……。」


「……厄神!」


サキは目を見開いた。部屋の中の状態は知っている。この時は参のサキと少女の時のサキとアマテラス大神を纏っていた母だけだった。ずっとアマテラス大神を纏っていたと思っていた母は厄をも持っていたという事か。


「はっきりとした事はわからんが感情を負の方向へ動かす厄神のようだな。」

「お母さんが厄神の力も持っているって事かい?」

サキの問いにみー君は顔を曇らせ首を傾げた。


「それはわからない。そう感じる程度だ。」

「そうかい……。とにかく調べるしかないねぇ……。」

 サキは何とも言えない顔で自分が住んでいた家をじっと眺めた。


 日も完全に沈み切り、月が顔を出した頃、幼いサキが外に出て来た。


 「……お母さんが太陽神と猿に禁忌、鏡の間を命令してた……。」


…このままじゃ時神が危ない。何とかして助けないと……。でもあたしはお母さんを裏切りたくない……。とりあえず、宮に顔を出してみよう。


……でもどうやって顔を出せばいい?ここは(ろく)だ。


幼いサキは困っていた。


「まったく! 何やってんだい! この時のあたしはコンパクトミラー使って暁の宮に顔を出したんだよ! 時神がちょうど今、大変な事になっている時期だ。急がないと。」


サキは少女サキが何もしないのをイライラしながら眺めていた。


「サキ、カリカリすんなよ。」

みー君はとなりで呆れた声を上げていた。


「ああ、もうイライラするよ。強行に走るよ!」

サキは咄嗟に自分が持っていたコンパクトミラーを投げた。


カツンと地面にミラーが落ちた音がし、幼いサキは落ちたミラーに気がついた。


「鏡……。」


幼いサキは鏡をじっと見つめた。この鏡からは太陽神の神力を感じた。当然だ。これはサキの持ち物。サキがため込んだ太陽の光も一緒に鏡に入っていた。


「凄い……。鏡が光っている。よし。この鏡なら虚像として太陽に顔を出せるかもしれないね!」


 幼いサキは鏡から溢れ出る眩しい光をそっと抱きしめた。


 「ふう。あの鏡、役に立ちそうで良かったよ。まあ、あの鏡自体、あたしがアヤを助けるために必死で探して拾った鏡なんだけどねぇ。」

 サキは安心したようにみー君に笑いかけた。


 「いや……サキ……。」


 みー君は今のサキの話で一つ明確になった事があったがサキが気がついてなさそうだったので黙る事にした。


 ……お前が拾ったっていう鏡も未来のお前が投げた鏡だったんじゃないのか……とみー君は心の中でつぶやいた。


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