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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
二部「かわたれ時…」人形に宿った武神の話
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かわたれ時…4人形と異形の剣3

 「あ、あの……結局マヨネーズはかけますか?」

 最初に現れた茶色の髪の少女が律儀にもこんな事を聞いてきた。


 「かけるか!どっからそれ持って来たんだよ……。」

 サキがうわーっとドン引きの顔を向けたのでみー君は慌てて否定した。


 「神の肌もきれいですわね。サンプルとして一切れ持って帰ろうかしら?うふ。」

 黒髪の少女はみー君の首筋あたりまで登って来ており、しきりにみー君の顔を触る。


 「うわっ……やめろ!てめえら!なんなんだよ!」

 「なでなでしてー。すりすりしてー。」


 金髪の少女はみー君の胸に身体全体をぴったりとつけ甘えている。


 サキの表情は曇る一方だった。


 「いや……だからちげぇって……。お前ら、なんなんだって聞いてんだよ!」

 みー君の質問に三人の少女は元気に答えた。


 茶髪の少女が

 「長女きぅ!」

 黒髪の少女が

 「次女りぅ!」

 金髪の少女が

 「三女じぅ!」

 とそれぞれ変なポーズをとりながらビシッと自己紹介をした。


 「それじゃあ何にもわからんだろうが!」

 「ま、まあ、名前はわかったねぇ……。」

 サキは後ずさりしながらみー君を見ていた。


 「だからそういう事じゃなくてだな……。存在を聞いているんだ!存在を!」

 みー君の言葉に三人はハッとした顔になり、もう一度自己紹介をした。


 「ちりめん三姉妹!」

 紹介はそれだけだった。


 「だから……そういうことじゃなくて……おい……もっとわかんなくなったぞ……。」

 みー君が困った顔をサキに向けた。


 「知るかい……。見られても困るよ。みー君のシュミだろう?」


 「だからちげぇって何度も言っているだろうが。マヨネーズ頭からかけっぞ!」

 みー君の機嫌がだんだんと悪くなっていく。そのみー君に茶髪の少女、きぅと名乗った少女が素早くマヨネーズを渡す。


 「……はあ……。あのな……冗談だから……。」

 みー君は呆れた声をあげた。


 「で、君達はみー君の所有物かい?」

 サキがあらぬ質問をした。


 「だからちげぇって言ってんだろ!」

 みー君が反論したがサキは少女達に微笑みながら質問をした。


 「あ、違います。私達はKの者でして……。」

 きぅがマヨネーズのボトルを重そうに引きずりながら答えた。


 「K!?」

 みー君とサキは驚いて目を見開いた。


 「あ……いえ。口を滑らせてしまいました……。」

 「お姉様、何一番言ってはいけない事を言っているのかしら?」


 あたふたしているきぅにりぅがみー君の頬をペシペシ叩きながらつぶやいた。


 「ごめーん。だって私達、交渉役の人形じゃないじゃないですか……。戦闘方面なのに秘密主義とか無理です……。」

 きぅは顔面蒼白でりぅに言い訳をした。


 「なでなでしてー?ちゅってしてー?」

 三女であるじぅは先程からみー君に甘えまくっている。


 「じぅ!うるさいわよ!」

 「今はそんな事を言っている場合ではありません。」

 りぅときぅに同時に怒られ、じぅの瞳に涙が光る。


 「お、おい……まてまて……。な、泣くなー。」

 みー君が慌ててじぅをなぐさめた。


 「う……わあああああん!」

 「うぐあ!思ったよりうっせえ!」


 なぐさめたが意味をなさず、じぅは思い切り泣き始めた。みー君は耳を塞ぎ、戸惑うばかりだった。


 サキは素早くみー君からじぅを離し、頭を撫でてやった。


 「よしよし……。あたしがなでなでしてあげるよー。」

 サキが頭を撫でてやったところ、じぅはすぐに泣きやんだ。そして満面の笑顔をサキに向けた。


 「なんだい。けっこうかわいいじゃないかい。ねえ?みー君。」

 サキは微笑みながらみー君を仰いだ。


 「俺を見るな……。」

 みー君は困惑した顔をサキに向けた。


 「そこの……えーと……きぅだっけ?あたしはこないだKからハムスターを借りたよ。一応Kは知っているけど。」

 サキはきぅを安心させるべく話かける。


 「あ、いや……そのKとはまた違うKでして……。まあ、同じ所にいるんですけど……その……主に剣王との交渉をやっているKの方で……ワイズの方ではありません。」


 きぅは言いづらそうだったがペラペラとシークレットだと思われる事を話しはじめた。


 「お、お姉様!ダメよ!ペラペラしゃべりすぎじゃないかしら?」

 話し出したきぅをりぅがビシッと止めた。


 「Kが沢山いるのかい?あ……まあ、いいよ。そこは聞かないけど、なんでこの暁の宮にいるんだい?」

 サキの質問に今度はりぅが答えた。


 「それならお答えするわ。あなた達が門を開いた隙に忍び込んだのよ!」

 どこか偉そうにりぅがこちらに向け指を差す。サキはため息をついた。


 「そうかい……。あんた達、悪そうな奴じゃないと思うけど忍び込んじゃダメだよ。ただ、ここに入り込んだだけかい?他に用事は?」

 サキは少女達が答えやすいように質問をする。


 「それも私がお答えするわ!私達は交渉で剣王につくよう命じられた人形!あなた達が知っているKの使いよ!その私達がなぜここに来たか!それはずばり怪我人形がいるからよ!私達は剣王を裏切って彼女を助けたいって思ったのよね。」


 りぅがなんだか今、一番大切な事を言った。


 「人形?あんた達は人形なのかい。で?なんだい?怪我した人形?……がいるのかい?」


 サキはKの使いには人形もいるのかと改めてKの謎を解き明かしたくなったが今は怪我人形とやらに興味がいった。


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