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流れ時…最終話リグレット・エンド・ゴースト2

栄次は山道沿いにある古い神社内で眠った。古びた誰も参拝に来ていないような神社だ。


「おはよう……。……いつもここで寝ているの?」

「なんだ。お前、ついてきたのか。」

栄次を起こしたのは謎の少女の声だ。


「うん……。あれ?仕事は?……平成の時代、仕事するの大変って聞いたよ。」


「まあな。俺はもう、どこかで働くのはやめているんだ。俺は弱小神じゃない。


金は高天原からおりるし、飯は神の使いである鶴が用意してくれる。


俺の本当の仕事は過去の管理だ。人間に交じって働くというのはもうずいぶん前にやめている。」


「ふーん……。人間の時を管理する神が人間に関わらないっていいのかな?」

 「いいわけないが俺自身が嫌になった。」


 「なるほどね。気持ち、わかる気がするよ。」

 声はまた栄次のまわりをまわり始める。


 「……おい。昨日言っていた黄花門というのはどこにある?」

 栄次はどこにいるかもわからない声に話しかけた。


 「黄花門に行きたいの?」

 「ああ。少し興味がある。」


 「いいよ。連れて行ってあげる……。」

 声の主は楽しそうに笑うと栄次の側に寄り添ってきた。


 「しかし……実態はないはずなのだが……なぜかぬくもりを感じるな……。」


 「今、あなたの目の前にいるんだよ。チュウできる距離だよ。


ねぇ、チュウしてもいい?ふふっ。」

 少女は栄次をからかい笑う。


 「そういう事を俺とやるのは不適切だな。とりあえず黄花門へ連れて行ってくれ。」

 栄次は呆れた声で少女にささやく。


 「あーあ、テレてもくれないんだね。」

 少女は少し残念そうにつぶやいた。


 「お前、俺をいくつだと思っている……。まあ、お前ももうとっくに七つの娘ではなくなっているのだとは思うがな……。」


 「まあ、そうだね。……じゃあ、そろそろ行く?」

 少女が声を発した刹那、とても柔らかい風が栄次の髪を撫でて行った。


 「ところでどこへ行けばいい?」


 「わたしの声についてきて……。おーにさんこちら、手の鳴る方へ~。あ、鬼じゃなかったね。おにぃさんこちら~。」


 「鬼ごっこか……。ふっ。」

 少女の声に栄次はわずかに微笑むとそっと立ち上がった。

 



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