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出会い 1-1

「ふぁ〜、今日も学校だりぃな……」


 未だ完全に目が覚めきっていないなか、あくびとともにポツリと呟く。

 眠気と格闘しながら学校まで歩く道のりは、実際には自宅から15分程という通学距離も倍以上に感じる。

 

「よう、恭介! 今日も全然寝てねぇのか?」


 背中をドンと叩いて挨拶してくるこの男は三枝朋也、俺の幼稚園からの付き合いで、いわゆる親友という奴だ。

 コイツは俺とは違い成績優秀で運動神経抜群、その上イケメンでモテまくる。朋也の親友だからと、何度も女子から朋也のアドレスや交際情報など聞かれるという苦い思い出がコイツと一緒にいるとつきまとう。

 

「朋也か……。昨日バイト終わりに、後輩の子が相談あるとかで2時間ぐらい話し込まれて、帰ったの2時だからな。そっからメシ食って風呂入ってたらあんま寝れなくてな……」


 ありのまま昨日のコンビニのアルバイト話しを朋也にする。ちなみにコンビニ店員を選んだのは、あまり目立たずに、普通に学生生活を送りたいという気持ちからだ。

 ハイスペック野郎の朋也と一緒に居ると、全てのステースが普通の俺は、地味にいるのが一番だと思い知らされる。

 

「まあバイト忙しいのは分かるけど、俺らもう高二だぞ? ちゃんと勉強しとかねぇと、後々辛いぞ?」


 上からの発言に多少イラっとしながらも、分かってるよと相槌をしながら、朋也と一緒に学校へ向かう。

 まあ朋也は純粋に俺の心配をしてくれているだけなのは分かってるいるが、どうしても嫉妬心が飼い慣らせないものだ。


 そして学校に到着し、自分たちのクラスである『2-B』の教室に入る。また補足だか、俺と朋也は何の因果か、幼稚園から高二の今までずっと同じクラスである。


「あ、おはよう吉野くん、三枝くん」


「来たわねホモコンビ」


 自分の席に座ると、横の席の松村麻衣と、星野鈴が声をかけてきた。

 

「おい、鈴。誰がホモコンビだ。変な事言ってんじゃねえよブス」


 俺と朋也をホモコンビと茶化してきたのが星野鈴だ。顔は可愛いが見た目はちょっとだけ派手。性格は男まさりといったところで、更に口が悪い。

 鈴とは高校入学してからの仲だ。高一から同じクラスで隣の席という事で、最初はツンツンしていた鈴だったが何だかんだ仲良くなった。

 そして俺のブスという発言に「泣かす」と言って立ちあがり、掴みかかろうとしてくる。


「まあまあ、鈴ちゃん落ち着いて。先生も来ちゃうから」


 鈴をなだめながら静止してくれてるのが、松村麻衣だ。麻衣は中学からの友達で、可愛い顔に清楚な見た目と性格、更に巨乳ということもあって男子からの人気がめちゃくちゃ高かった。

 麻衣とは同じ部活とクラスということもあって一気に仲良くなり、良く俺と朋也の三人で遊んだものだ。

 そしてこの三人は、気づいてるのは俺だけだか、三角関係にある。俺は麻衣の事が好き、麻衣は朋也の事が好き、朋也は麻衣の気持ちに気づかないまま友達としてしか見ていないとう悲しい関係性を秘めてる。

 

「ーーホラ、お前ら早く席につけ」


 そこへ担任の先生が入ってきた為、俺たちの抗争は終わり席に着く。

 

(……そういえば進級してからもう二週間経つけど、この担任の名前なんだっけ?)


 担任のHRが始まる中、俺は眠気と再び闘いながらふとそんな事を考えていた。







 ーーーー放課後。


 俺は眠気が限界に達したため、今日は一人で真っ直ぐ自宅に帰ると朋也たちに言い、帰宅途中であった。

 

「……なんで今日に限って、全然寝れないやつの授業だらけなんだ?」


 今日は予定もないし、爆睡してやろうと最後の力で帰宅への歩みを進める。


 そんな中、前方から法定速度以上のスピードでフラフラしながら乗用車が走ってくる。


「飲酒運転か? 危なそうだな」


 一車線道路でガードレールもないこの道だと万が一の危険があるかと思い、走ってくる乗用車の途中に公園がある為、そこの入り口に少し入りやり過ごすことにした。


 乗用車が近づき、通過していくであろう様子を見ていると、乗用車は公園の入り口で急カーブをして俺の立っている方めがけて猛スピードで突っ込んてくる。

 

 乗用車はほとんど速度を殺さないままカーブし、距離も近過ぎたため、気づいた瞬間にはもう間に合わない。

 乗用車が俺にぶつかる直前、ドライバーの顔が一瞬だけ見えた。


 帽子とサングラスをしていたが、骨格的に男であろう。そして、その口元は笑みを浮かべているようであった。



 ーーーーそして、俺の身体と意識はそこで吹き飛んだ。








「ーー起きない」

 

 少女の声がした。


 気づくと目の前は、一切の色がない真っ白な空間が広がっていた。


 だが目の前の光景を視覚で把握している感覚はない。身体の感覚が全くないし、まるで霊体が何かになっている気分だ。


 これが死後の世界なのかと考えていると、真っ白な空間に突然、小学校中学年程の幼い少女が真っ白なワンピースに身を包んだ姿で現れたのだった。


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