間接キスは粘膜接触です! 実質アレ
小説大賞に応募するために7月半ば位かな? その日までに十万字を書き上げたいと思います。普通にこの文章を書いていて馬鹿がおるわ…と、思ってしまいました。多分無理です。いや、絶対無理です頑張ります。
今回は前置きみたいな感じです。
少し行儀は悪いがしょうがない。ほらコラテラルダメージってあるじゃん? それ。
いや、全然意味違うな。さすがにそれは無理があったか。良い、悪いとかの意味をさておいてもそれ以前に間違った言葉使ってしかも意味すらもあってないとか日本人の風上にも置けないな。風上ってどこだよ。
そもそも今、この体は日本人だと断言できる材料はないので思考する意味すらないんだけどな。
そんな言い訳を作りながらサイドテーブルに置いている冷えてきたおかゆを手に取る。
俺、猫舌だから熱いの食べられないんだけどね…と、今日の天気並みの雑談で言ってきた友人を「そっか…人生の半分を損をして生きているんだな…今度おごるわ」と、嘆きの表情で言ってきた友人Bを俺は忘れないだろう。因みに俺も猫舌なのでおごってもらった記憶がある。あの時のラーメンが旨かったな…。
「(…今考えると猫舌で人生を損しているって話なのに熱いのが美味しいラーメン食べに行くとかどんな思考回路していたんだろうな)」
恐らく美味しいものを食べれば治るとか考えていたんだろう。なにそれ可愛いな。
昔の記憶に縋りながら一生懸命おかゆをかき込む。
まぁ、日本じゃないって時点で嫌な予感はしていたんだけどね…。
勢いよくかき込んでもまだ、半分以上も残っているおそらくお湯に溶かしただけであろうオートミールを見つめる。
いや、別に俺はオートミールが嫌いなわけじゃない。言ってしまえば好きな分類に入るとも言える。あれは、懐かしい高校時代。食べたことのなかったオートミールをコンビニで発見し、ドキドキしながらレジに向かった夏休み後半の昼下がり。
炎天下の中自宅へと帰宅し、親のPCで調理法を調べ、牛乳に浸した時の何とも言えない吐しゃ物感。あれは今でも繊細に思い出せるぜ…。
と、考えながら段ボールを塩水でふやかしたような味の吐しゃ物を無心で口に運び続ける。
ああ、確かに栄養価は高いさ。食欲がない病人や病み上がりの人にとってしてみれば液体を混ぜてかき込むスタイルの食事は救世主とも言えるだろう。だがお湯はイカンよ…。
無心で機械のように口に運んでいたのだがそれを疑問に思ったのかカレンさんが聞いてきた。
「お味の方はいかがですか? 自分なりのアレンジで塩を加えてみたのですが…」
謎の塩水感はそれだったのか…。
そもそもの問題で最初に食べたのが高校時代のあれだけでそれ以来オートミールを食べていない俺の記憶はあの時で固定されてしまっているのだ。
大人になって味覚が変化して好き嫌いが変わるってよくある話じゃない。それと同じようにあの時と同じような調理法、味なのだが大人の俺からしてみると不味いって可能性が微生物の核並みにある。
これはお世辞でも美味しいと言った方が良いのか。そう考えてしまうのだが肉体は子供である。なら、正直に言っても良いよね。言いも悪いも俺次第なのだが。
「…何も言わないけどさ。食べてみてよ」
「え、それじゃあ間接キス…まさかルリ様…?」
「この器ごと投げてやろうか…」
その持ってきた台車に乗っている食器は何のためにあるんだよ飾りか? と、口から出る寸でのところで抑えた。別に言ってもよかったのだがそれだと何故か喜びそうな未来が見えたので止めた。こんな未来予知は嫌だなぁ。
どこか満足いったのか「では、失礼して」そう言ってスプーンを受け取り口に運ぶ。
ゆっくりと味わうように咀嚼し飲み込む。
「例えるなら薄味のゲボですかね…」
「どうして味見をしなかったのか小一時間程問い詰めたいんだが。何故ゲボを食わせた…」
「あの…その、見た目が良かったのでつい…やっちゃいました」
「今度からは食べ物を扱わないでね…次は解雇っすわ」
え、まじすか? と驚愕の表情を浮かべるカリンさんを尻目に最後の一口を終え、完食する。初めての食事がこれで良いのか。そう、先が思いやられるのだが朝をお漏らしで迎えた俺が言える立場じゃなかったなこれ。
「あの…お口直しに私は…」
「さすがに女同士でも年齢差で捕まるんじゃない?」
「安心してください。そんな法律はこの国には存在していませんので」
「それのどこに安心する要素があったの…?」
でも強姦は犯罪だよね。そう言うとほぼノータイム、反射的に「同意じゃ…」と返すカリンさんは一体何者なのか。疑問が湧いて出てくるがゴキブリ並みのどうでもよさなのでスルーする。
食べ終わった食器をカリンさんが受け取る。その際に「申し訳ございません。ですが残しても…」と言ってきた。
「いや、食べ残しは何するかわからないじゃん」
「…チッ」
「…え?」
立場とは。メイドとは。
メイドとして仕えている立場なのに舌打ち聞こえるようにして仕事をするメイドはいったいなんなのだろうか。哲学だな。
「ですが私としてはルリ様のお体が最優先ですので少しでも異変を感じたら…」
「いや、そもそも異変を感じさせるものを食べさせないようにしろよ」
「テヘ」
「それで許せるほど胃は強くないからね…」
そんな会話をしながらも片づけを終え、簡単な清掃を終えたカリンさんはでは、と部屋を後にする。扉に手を掛け、開けようとしたとき何かを思い出したのか立ち止まった。
「ああ、そういえば何ですがカリンさん、ではなくカリンとお呼びいただけますか。年と経験では私の方が上ですがルリ様は貴族なのですから」
「うーん、経験の説明は必要だった?」
「では、食後の一時を楽しんでください。また時間が経ちましたらある程度の勉強を始めていかないといけませんので」
「ある程度?」
「主に国間の情勢。ルリ様のお父様、侯爵の爵位をお持ちになっている領地主としての立場…とかですかね。これはルリ様の記憶と並行していかないといけないのであまり詳しくは言えないです。では」
ぎぃ、と立てつけが悪いのか。油をさしていないのか。それまたその両方か。
扉の開閉音を響かせながら部屋を出ていく。
最初の敬称無しは…まぁ、確かにそうなのか?
俺からしてみるとメイドがはっちゃけている方が変だと思うのだが…。母親…の年齢まではさすがにいかないものの、おそらく自分の二倍ほどはある人を呼び捨てで言えとは中々キツイものがあるな。
だが、言ってしまえばそんなことは問題ではない。問題として足らないのだ。
呼び捨てなんて時間が経てば慣れるだろうし慣れなかったら胃が持たなくなる。胃薬は…あるのかな。
そう、問題とはカリン…が言っていたある程度の勉強のことである。聞いた限り上辺だけどもある程度の量を超えているのだが…。何故この年にもなって社会科的な内容をしなくちゃいけないのだ。しかも分野的に日本史と世界史っぽい。例えるならその二つが妥当だと思うが…妥当も糞もないな。キツイ以外の言葉が出てこない。
そんな目先のことにクヨクヨ言っていてもキリがないので瞼にかかる心地よい眠気に抵抗むなしくベットに倒れ込む。言ってしまえば寝てしまえばどうでもよくなるのだ。
一回寝てしまえば頭の中はスッキリとするし物事を論理的に考えるとこができる。論理的とか初めて使ったな。
体に感じる、包み込まれるような抱擁感を感じながら夢の世界に引き込まれるように落ちていく。