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短編集 冬花火

氷点の記憶

作者: 春風 月葉

 彼女はシャボン玉のような人間だった。

 周りの風向きに合わせてふらふらとする様も、繊細で少しの傷で壊れてしまいそうなところも。

 彼女の白いワンピースには大小様々な淡い青の水玉模様がついていて、まるでシャボン玉のようだった。

 彼女は大切な思い出をすぐに忘れてしまう。

 覚えておこうとするほどに、大切な記憶は爆ぜてしまう。

 失くした記憶にも、記憶を失くした事実にも彼女は気づけない。

 彼女の記憶はきっとシャボン玉なのだ。

 氷点を超えるとシャボン玉は凍るらしい。

 ただ、大きなものほど凍る際に飛び散って壊れてしまう。

 彼女はシャボン玉のように、大切なことばかりを失ってしまう。

 小さな思い出だけを残して、一番を失くしてしまう。

 だから私は、今日も彼女に忘れられる努力をする。

 これからもずっと、私だけは彼女の記憶に残れない。

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