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幼女「お兄ちゃん、ニンテンドースイッチやりたくない?」 僕「やりたい!」

作者: white6

盆休みも残り二日となった夏の暑い日、僕は公園のベンチで一人うなだれていました。ケヤキの木陰は、半日の間夏の太陽の暴力的な日差しに晒された、僕の身体の熱を癒してくれましたが、精神こころの疲れのほうは、どうにもなりません。


朝からもう3件。どのゲーム屋さんにも、ニンテンドースイッチが置いてありませんでした。


夏休みの前半をバイトに明け暮れて溜めた金で、ニンテンドースイッチとゼルダの伝説を購入し、盆休みの間、骨の髄までゲーム廃人になるのが今年の夏の予定だったのに、品不足という現実が全てを台無しにしていきました。


自分の家の近所のゲーム屋は全滅。ちょっと足を伸ばして、隣町まで自転車でやってきたのですが、ここでも同じ有様でした。


「はぁ……、もう帰ろう……。盆休みの最後は寝て過ごそう……」


盆休みが終わると、再びブラックバイトの日々と、全く手をつけていないレポート課題という恐るべき現実と対峙しなくてはいけません。僕は肩を落としながら、とぼとぼと駐輪場に向かって歩き出しました。


「お兄ちゃん、ニンテンドースイッチやりたくない?」


後ろから声がして、僕は振り返りました。


そこには、麦わら帽子に純白ワンピース姿の、小学生くらいの女の子が立っていました。木漏れ日に照らし出されたその少女は、なんだか映画のワンシーンから抜け出してきたみたいだな、と思いました。


「えっと、ニンテンドースイッチ? まぁ、やりたいっちゃやりたいけど……なんで?」


「あのね。私、誕生日プレゼントでニンテンドースイッチ買ってもらったんだけど、使い方がよく分からないの! 今日、友達みんなで遊びたいんだけど、パパもママもいないから、どうやってネットにつなげばいいのかとか分かんないし。お兄ちゃんならコンピュータとか詳しそうな見た目してるし、ねっ? 私んちに来て、ニンテンドースイッチやろうよ!ゼルダの伝説:ブレス・オブ・ザ・ワイルドやスプラトゥーンもあるよ!」


「ええっと……、それは良くないよ。知らない大人の人なんか呼んだら、パパとママが心配するよ?」


「バレなきゃ大丈夫だよ! それにPSVRもあるよ!」


「PSVR……!」ピクツ


「パパがゲームオタクで、買ってきたはいいんだけど、プレイする時間がなくて、置物状態なんだよね~」


「そ、その……バイオハザード7はある?」


「もちろん! 暑い夏はクーラーガンガンに効いた部屋で、サイダーでも飲みながら、みんなでキャーキャー騒ぎながらホラーゲームするのが最高だよね!」


「ご、ゴクリ……! い、いや! ダメだダメだ! 僕は大人なんだ! 子供と混じってゲームなんてする歳じゃないよ!」


「えぇ~ ミニファミコンもあるんだけどな~ お兄ちゃんレトロゲーム嫌い?」


「み、ミニファミコン!ゴクリッ!」


ミニファミコンとはニンテンドーから発売されたゲーム機で、ファミコンの名作ゲーム数十本をひとつにまとめた、レトロゲーマー垂涎の商品です。


「ねぇねぇー 最新ゲーム機だけじゃなく、昔のゲーム機もいっぱいあるんだよー? ゲームキューブのカービィのエアライドで、最強機体であるハイドラの奪い合いしたり、大乱闘スマッシュブラザースで相手のコントローラーを引き抜くリアルチートでリアルファイトに発展したり、ゴールデンアイの4画面プレイで、他プレイヤーの視点を盗み見たり、電車でGO!とかダンスダンスレボリューションとかの特殊コントローラーであえてRPGなどのジャンルをプレイしてキャラクターの変な挙動を楽しんだり、カービィデラックスの食べ物口移し回復法で友達と微妙な空気になったり、ソウルキャリバーでおっぱい大きい女の子キャラを選んで『べ、別におっぱいがデカイから選んだわけじゃない!このキャラが使いやすくて強いんだよ!』と変な言い訳したり、グランドセフトオートでストーリー度外視で一般人を殺しまくるのを見てみんなで笑ったり、バイオハザードのラジコン操作が無駄に上手いのを見てるだけの子から賞賛されたり、中古ゲーム屋でひと山いくらで売ってるクソゲーをみんなで酷評しながらなんだかんだでエンディングまでクリアしたりしたくない?」


「ご、ゴクリ! ゴクリゴクリ!」


「ねっ? おうちに来てくれる?」


「いくッ!」


そうして僕は女の子に連れられて、高級アパートの一室の居間へ連れてこられました。僕は頭の中は、これからプレイすることになるゲームのことでいっぱいでした。しかし、すぐにその部屋の違和感に気付きました。テレビやソファーはあるけど、ゲーム機が一台もありません。


「あ、あの……ニンテンドースイッチは? PSVRは? ミニファミコンもゲームキューブもプレイステーションもニンテンドー64もないみたいだけど」


「ふふふ……、そんなものははじめからないんだよッ!」


突然、ソファーの裏から10人ほどの小学生女児が飛び出してきて、あっという間に僕の服をひん剥いてオチンチン丸出しにし、縄跳びで両手両足を拘束しました。


「ちょ、ちょっと!? これはいったい!?」


「ほーんとオタクってチョロいわ! ゲームをエサにしたらノコノコ家までついてくるんだからな!」


「だ、だましたのか!? ニンテンドースイッチも、PSVRも最初からなかったんだな!? クッソー! 俺をどうするつもりだーッ!?」


「とりあえず最初は私たちの自由研究『大人のおちんちんはどうすればおっきくなるのか』の実験動物モルモットになってもらうッ!」


「い、イヤーッ! やめてッ! 助けて! おとうさーん! おかあさーんッ!」


その後、俺は幼女たちに体を散々弄ばれた後、ほとんど手がつけられていない夏休みのドリルを徹夜でやらされました。逃げ出そうと思ったのですが、撮影した動画をyoutubeにアップすると脅されたので、従わざるを得ませんでした。


ようやく解放されたのは二日後で、盆休みはもう終わっていました。


僕は泣きながら、歩き出しました。携帯を見ると、バイト先から何度も着信が来ていました。


欠勤の理由を、どう説明しよう。夕焼けの空を眺めても、太陽は何も答えてくれませんでした。


終わり


知らない幼女にはついていかないようにしよう

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