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第2話『大事な名前』

「カナタ、ランチタイムだぞ!食堂か?弁当か?俺はカナタの愛妻弁当が食べたいな」


クラスメイトに騒がれてるにも関わらずそれらを気持ち良い程に無視して俺に話し掛ける隣の席の変態。

たまたま隣が空席だった

なんて事はない。

こいつが来るまでは地味な優等生タイプの男が座っていたはずだ。

ただ、俺が色々とショックで固まってる間にかわってやがったんだ

「うるさい。ってかあんた誰。気やすく話し掛けんな」

鞄から弁当を取り出し席を立つ。

変態の周りに集まっていた奴らが非難の目を向けてきたがどうでもいい。

変態だってふざけてるだけなんだ。軽く流さないでどうする。

ふざけてキスとかいっそ埋めてやりたいがなっ!

まぁ、とにかく俺が合わせてやる義理はない。


「そんな子ほっといてあっちで私たちと一緒に食べよぉ?」

「いや、俺たちとくおーぜ」


下心丸見えの奴らが我先にとアプローチしている姿はくだらないと思いつつ、滑稽で見ていて楽しい


「んーしょうがないか!」


スッと立ち上がった変態は一回軽く指を鳴らした。

そして軽快な音がしたと同時に視界は光で白一色に染まった。

眩しさにきつく目を瞑ると空気が震えたような感覚が身体をめぐり、次の瞬間には騒ついていた教室、いや、学校中が静けさに覆われていた。

信じられない事はまだ続く。

瞼の下からでも分かる光が弱まったのを確認して目を開けると、まるで時間が止まったようにクラスの奴ら全員が動きを止めて銅像のように身動き一つしないのだ。


「人間ってのはなんでこんな群れたがるんだ?おかげで二人っきりになれやしない」


突然の怪異をものともせず嫌悪の目で周りを見渡す男。

変態がいた席に座っているからには変態野郎なのだろうが、まったく風貌が違う。


ダークグレーの長めの髪

燃えるような、赤い目

白く細い指の先端にある黒く塗られた長くも形よい爪


そして、背中からワイシャツを破って存在を見せつけている黒い翼


普通なら気味悪いものでしかないそれらは男の妖艶さを引き立てるものでしかなかった。

そしてこの怪奇現象の元凶はこの場に相応しくないこの男が起こしたと語っている。


「おまえ、なに・・」


擦れた、声と言えない声が喉から漏れる。



俺は



俺はコイツを知って、いる


彼の名前は...


「れ、な」


たった一言

たった二文字

ひどく懐かしい名前

混乱のままに目を向けると男は椅子から立ち上がり、距離を一気に縮めてきた。

お互いの吐息がかかる程近くに


「そうだよ。俺はレナ・グレシェル。君の幼なじみ。そして君のパートナー」

間近で見た男の目は高級な宝石のように輝いて瞳の奥には強い焔が灯っていた。

そして俺はそれの虜になってしまった...


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